劇場版
響け!ユーフォニアム
〜誓いのフィナーレ〜

□久美子と出会う下級生

 原作を読んでいるのならこれが誰だか理解ります。そう、小日向夢ですね。しかしこんな声なのですか。アニメ声を想像していたのでかなり違和感が・・・この見た目、奏ではありませんか?
 えええええええええええ!? ゆ、夢はあああああああ!? え、え、ま、まさか、夢は出ないのですかっ!? え、えええええええええええ!?!?!?

□関西弁

 テレビシリーズから引き続き、全員が標準語なのですよね。原作を読んでしまうとどうしても寂しさがあります。それに麗奈が標準語だとより冷たく見えますし、友恵も原作の方が気さくな感じがしますなぁ。糞真面目と言う単語も友恵の性格や声、そして標準語で放たれると急に其処だけ汚い言葉になって浮いています。

□「何だあいつら?」

 冒頭でプレゼントしたストラップをちゃんと使ってくれているのを見て微笑むところと合わせて、秀一の行動に一喜一憂する久美子が微笑ましいです。

□「はぁ」

 本性を隠さない奏の相槌が素敵です。猫を被っている時はそうでもありませんでしたが、本性の方はアニメでも原作同様に魅力的です。

□奏から久美子への相談

 先輩である夏紀が後輩である自分に教えを乞うた事に憤った奏が久美子にその憤懣をぶつけた場面ですが、久美子の「嫌いになれないから?」と言う台詞が無くなっていました。これがあると無いとで大きく印象を違えるのですが、その理由は後半で理解る事となります・・・。

□奏のオーディションに乱入する夏紀と久美子

 原作の方が迫力がありましたなぁ。

□巧くなりたい

 オーディションで手を抜いた奏を説得する久美子なのですが、途中まで原作通りだったものの最後でいきなり話が摩り替ります。これではテーマが根本的に変わってしまうではありませんか!? 今なら「嫌いになれないから?」がカットされた理由も理解ります。酷く失望したのですが、思えば京アニは氷菓でもそうでした。表面上は原作をなぞっている様で話の主題を改変するのです。前から理解っていた筈なのに、期待してしまったのですよね・・・。莫迦。

□斎藤葵

 アニメでは出番が無しですか。救われませんなぁ。

□総評

 『リズと青い鳥』が外伝でアニメ『響け!ユーフォニアム』とは別物でしたから、今回の映画を楽しみにしていました。しかも原作で大好きだった夏紀と奏の話でとても期待していたのです。実際、『リズと青い鳥』ではなく見慣れた『響け!ユーフォニアム』が堪能出来其処は間違い無く満足でした。しかし、削られた台詞があまりにも多いです。「可愛いとは思うけど。優子先輩もたまに履いてるし」、「麗奈はその台詞を聞いてどうして大丈夫だと思ったの?」、「優子先輩は有能やと思いますけど」、「先輩を利用しようとしないんでほしいんだけどなあ」、「久美子先輩は最初から上手に教えてくださってましたよ。不明瞭な指摘がないので、まったく腹が立ちませんし。やはり、『あー、なんかちゃうな』とか『んー、ようわからんけど変』とか、そういうことを言われてはこちらも直しようがないですから」、「い、いえ、いっぱい部員がいますから、私みたいな地味なやつなんて覚えてなくて全然……だいたい、私みたいなダメな存在が黄前先輩の脳の記憶メモリを消費するなんて恐れ多いですし。まず、私と同じ中学だなんて先輩にとって黒歴史ですよね。すみません、輝かしい青春の一ページに泥を塗って」、「私、ダメダメなんですよ、本当。生きている意味が無いゴミ屑なんです。ゴキブリ以下の存在なくせに、こうして黄前先輩の手をわずらわせちゃって。はあ、ほんまゴミ」、「やっぱり黄前先輩は優しいですね。入学して最初に会ったときも親身になってくださいましたもんね。女神か」、「いまだって私みたいなクズに付き合ってくれてるじゃないですか。すーぱー心優しいですよ。いい先輩すぎます」、「あったらこうして悩んではいないんですけど」、「せんぱぁい。夏紀先輩は、後藤先輩みたいに私たちに教えてくださらないんですか?」、これらが特に大好きな台詞で楽しみにしていたのですが、豈図らんや一つもありませんでした! 一つもですよ一つも!? いあ、全部は無理だろうと覚悟していましたが、まさか一つもとは・・・・・・。
 見ていて小日向夢が全く出て来ないので、『リズと青い鳥』の様に夢の話は別に映画化されると思ったのですが、パンフレットの座談会を読むとどうもそういう訳ではないのですよね・・・。まぁ、考えたら夢の話をやるのなら久美子と出会う場面を改変なんかしませんよね・・・。優子の話もありませんでしたし、完全に久美子のみに焦点を当てたのですなぁ。あぁ、こんな事ならテレビシリーズでがっつりやって欲しかったですなぁ。そうすればこんなにカットされなかったでしょう。酷い出来だった訳ではありませんがどうしても残念だったと言う気持ちが強いです。

 

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(19.04.19)