仮面ライダー電王
俺、誕生!

□モモタロスのなつやすみ

 え、え〜と・・・・・・・・・。

□タイトル

 TVシリーズでもセンスの良さが光る電王の副題ですが、劇場版でもそれは発揮されていて良い題名です。でも内容とは関係が無いと思いました(笑)。

□小太郎

 良太郎の子供こと十年前の良太郎が登場してハナから小太郎と命名されていました。この十年前の良太郎がモモタロスを見た時に、現在の良太郎と同じ動きで気絶していて笑いました。若干違った印象を持つ二人ですが紛れも無く同一人物なのだと思わされた瞬間です。
 予備知識が全く無かったので十年前の良太郎が登場し、しかも同行、挙句の果てには電王に変身すると言うのは意外な展開でした。異なる時間の同一人物同士が出会うのは好きなネタですが、今作でその良さは余り出ていなかったかも知れません。

□恐竜時代

 モスラ3・・・(ぉ

□ジーク/仮面ライダー電王ウィングフォーム

 TVシリーズで中途半端に扱われて数週間、遂にウィングフォームの活躍を拝む事が出来ました。まさに『降臨、満を持して・・・』です。変身の際に背中に大きな翼が舞う演出も良く、高貴にして華麗な戦い振りでとても格好良かったです。デザインは余り良いとは思えませんが、その戦い方は難点を打ち消して余りある魅力を秘めております。
 ですが出番の短さが不満です。コブライマジンを撃破後、優雅に歩いている所を後方から不意打ちされてしまいそのまま退場してしまいました。映画だけの新フォームと銘打っているので恐らくは活躍の機会は本作のみでしょう。それを考えるともっと活躍の場が欲しかった所です。

□桜井侑斗/仮面ライダーゼロノス

 電王の全形態が勢揃いすると言う展開がありますので、ゼロノスの見せ場が無いのではと不安でしたが、その懸念は現実となってしまいました。ですがその分、侑斗が活躍してくれました。これぞヒーローと言う立ち居振る舞いで非常に格好良かったです。ところで大分カードを使っていたようですが残り枚数は大丈夫なのでしょうか?

□オーナー

 さっと小旗を投げてウラタロスとキンタロスを閉じ込めていた格子を破壊したオーナーは、じっと逆転の機を窺っていたと言う感じがして格好良かったです。必要以上は前面に出ない所に渋い魅力がありました。

□牙王/仮面ライダーガオウ

 仮面ライダーガオウは格好良くて好きです。個性的な仮面は印象に残ります。モティーフはティラノサウルスだろうと思っていたのですが鰐だそうですね。ただ、強くて格好良いものの、見るからに最強と言う威圧感はありませんでした。映画に登場する特別な仮面ライダーなのですから、そういう方向性が見たかったです(過去の例で言えば仮面ライダーオーガが該当します)。また劇中での活躍がとにかく素晴らしいのです。圧倒的な強さで四人の電王を瞬く間に蹴散らしました。問答無用に強いと言うのが感じられた瞬間です。意外な事に設定上のスペックは取り立てて高い訳でもないのですよね。とにかく強く描写されていたので不思議に感じました。
 変身する牙王は深みの無い悪役でした。掘り下げられなかったので変身後とは裏腹に印象が薄いです。ハナは牙王の事を知っている風でしたがその理由も明かされないままでした。
 毎年の傾向からガオウのスーツアクターは岡元次郎だと思っていたのですが、オッシーだそうです。

□モモタロスとウラタロス

 ウラがモモを助けに来た時のやり取りが良いですねぇ。良太郎とはまた別の相棒と言う感じです。この二人の関係が大好きです。

□「悪いけど時間は消させない」

 この台詞を言った時の良太郎がとても格好良かったです。

□「今回は全員纏めてクライマックスだぜ!」

 電王のソードフォーム、ロッドフォーム、アックスフォーム、ガンフォームが勢揃いすると言う本来はありえない光景、この映画の大きな見せ場ですね。

□ゲストイマジン

 牙王の部下としてモレクイマジン、コブライマジン、サラマンダーイマジン、ゲッコーイマジン、ニュートイマジンが登場しましたがその印象はとても薄いです。記憶に残るよりも早く死んでしまいました。
 今回のイマジンは東映特撮ヒーロー作品に所縁のある方が声を充てられています。言われてみればコブライマジンの声、口調は王蛇そのままでした。同じモティーフなのでより分かり易いですね。しかしニュートとサラマンダーは全く気付きませんでした。個性が薄いので個個がどんな事を話していたのかすら記憶にございません。昨年に続いて怪人の扱いが悪いです。

□最終決戦

 ガオウの圧倒的な強さが感じられましたし、勝利するまでの流れも、最後まで力を尽くして強敵を打ち倒したと言うのが表現されています。ただ、最後にはガオウと電王ソードフォームの一騎打ちで勝負が決してしまったのが不満です。此処は良太郎とモモ(ソードフォーム)とウラ(ロッドフォーム)とキン(アックスフォーム)とリュウ(ガンフォーム)の全員で戦い、勝利を掴んで欲しかったです。最終的に一人だけで戦うと言うのは好きではないのですよね。他の仲間にも共に戦って、連携攻撃で止めを刺して欲しかったと強く思います。もしも本作で一つだけ不満を挙げろと言われれば間違い無くこれでしょう。それ程に残念でした。
「知ってるか? そういうの、往生際が悪い、って言うんだぜ」
「ああ、知ってるよ! 最後までクライマックスって事だろぉ!!」
 戦闘中にガオウとモモが交わした上記の会話は良かったです。

□電車バトル

 クライマックスは画面所狭しと繰り広げられる豪快な電車バトルです。ゼロライナーにデンライナーが連結され、ガオウライナーキバと派手に激突しました。が、稍淡白だったきらいがあります。劇場版と言う事で過剰に期待していたのもあるでしょう。もう一つ食い足りません。もっと目を張る様な凄まじい映像が見たかったと言うのが正直な感想です。それからガオウライナーは神の路線を走り全ての時間を支配すると言う割りに、ギミックが単純で凄さが見た目からは伝わりませんね。

□両親の顔を見る事が出来た良太郎

 決して時の運行を乱さずに粋な計らいをしてくれたオーナーが素敵でした。

□主題歌『夢で逢えたら・・・』

 見る前は今年も主題歌はタイアップかと思っていたのですが、劇場で見ていてこの曲が流れた時はとても良い曲だと思いました。流すタイミングも良かったのでしょうが、作品に合っていて悪くありません。

□総評

 面白かったです。極端に突き抜けた派手さがありませんが欠点も少なく、オーソドックスに劇場版を見たと言う満足感が存分に堪能出来ました。
 実を言いますと、期待はしていたけれどもそれ程楽しみにはしていませんでした。予告編を見ても胸が高鳴る、心が沸き立つと言う事が無かったのですよね。映画というのは予告編が一番面白いとはよく言いますし、事実例年は予告編を見て本編がとても楽しみになったものです。それが今年はありませんでした。『電王』のTVシリーズを毎週面白く見ているだけに余計に不思議です。本編を見終えた今から思いますと、全体的にパワーが不足していたのかも知れません。本編を含めて、もっと心を抉る様な、良い意味での大きな衝撃を味わいたかったとも思います。
 敵イマジンとウィングフォームの扱いには難がありますが、モモ、ウラ、キン、リュウの四人が本格的なアクションを行い、電王の其其の形態も登場し、ガオウとの真正面からの激突があってと、戦闘が充分に用意されていたのは文句無く良い点でした。
 それから細かい箇所ですが、デンライナーとゼロライナーはCGの質が向上していました。停車中にアップで大きく映した時とか質感がぐんと良くなっていましたよ。
 イマジンの声を除いた友情出演は、田所さんには気が付きましたがトドロキは完全に見落としていました。少し悔しいです。
 いやしかし、昨年のカブトGSLではとうとう宇宙へ行きましたが、今回は時間を越えて過去へ行ってしまいましたよ。もうこうなると来年は未来か異世界しかありませんね。
 総じて、単純に面白いと思える良い作品でした。

(07.08.08)

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