ドラゴンボールZ
復活の「F」

□「気付かないか…あの方向に嫌な力を感じる…」

 そう思うのなら見に行ってくださいよ。その上でどうするかはともかく、確認するのに損はありませんしその手間を惜しんで危機に陥ったら間抜けですよ。

□ドラゴンボールで復活するフリーザ

 死んでから一年以内でないと生き返らせられないのではありませんでしたか? それに肉体がバラバラの状態で生き返りましたが、これもおかしいでしょう。それなら過去に生き返らせた事例と合いません。
 願いが一つではなく二つ叶えられると知ったソルベがコルド大王の復活を候補に挙げました。フリーザの肉体を元に戻すのを考えなかったのは、再生装置で時間さえあれば出来る事より出来ない事を重視したのでしょうか。

□「わたしの予想では、そうですね…4ヶ月も真剣に鍛えれば…とりあえず戦闘力130万までは持っていけるでしょうか……」

 え、130万ですか? 第二形態で100万以上は確実と言っていたのに、たったそれだけなのですか? それとも100万以上はフリーザの見栄が多分に含まれていた推測で、実際には遠く及んでいなかったのでしょうか。第二形態で54万、第三形態で55万、最終形態で56万程度に過ぎなかったのでしょうか。
 それにしてもフリーザが修行して強くなるなんてまるで小学生の考えた発想です。落胆しましたわ。

□「(18号がクリリンに)かっこいい…」

 見ている方が恥ずかしくなります。

□「餃子とヤムチャは置いて来た。危険の方が大きそうだ」

 その判断に異論はありませんがこんな二次創作でやりそうな台詞を原作者である鳥山明が考えているなんて信じられません。

□魔人ブウ

 実際の映画ではカットされていましたが、鳥山明による脚本ではクリリンと悟飯がブウに言及しています。例えフリーザが強くなろうともブウが心強い戦力である事が感じられ、またそんな重要な立場なのに不在である理由が示されていて良かったです。

□「す…すみません、…でも超サイヤ人にはまだなれますよ…たぶん」

 多分なのですか。超サイヤ人にも確実に変身が出来るか自信が無いくらい戦いから離れているのですね。本来はとても強い筈の悟飯がその強さに見合った活躍が出来ないのが不満ですが、その事にちゃんと全盛期の力が無いと注釈を付けてくれたのは評価します。
 脚本だと悟飯、ピッコロ、クリリン、天津飯、亀仙人の中では悟飯が一番 強いと(確認の必要も無いくらいに当たり前の事実ですが)明言されていて、実際にフリーザ軍の中でも強力な傭兵を次次と斃す形でちゃんとその強さが表現されているのですよね。映画ではその辺がばっさりカットなので、悟飯の強さが全く感じられなくて残念でなりません。

□兵士との戦い

 亀仙人が異様に強かったのに驚きました。
 しかし数が多いと言えど所詮は単なる兵士が相手なので、それに皆が苦戦する様子は釈然としないものがあります。そしてその戦闘にドラマが存在しないのでさっぱり面白くありません。アクションに拘ったとありますがキャラには拘っていませんよね。物語の一部になっていませんよ。
 この部分は大幅に膨らませて、敵の人数を減らしその分 一人ひとりに個性を与え、それと戦う流れをちゃんとドラマに組み込み見せ場にして欲しかったです。

□重いマントとターバンを脱ぎ捨てるピッコロ

 お約束ですね。しかしそれで本気を出したピッコロが取る行動が光波の連射なのですが、それは服を脱いでも関係ありませんよね?
 ザーボンやドドリアに匹敵すると言うシサミにピッコロが劣勢に追い込まれるのですが、ピッコロはどれだけ弱くなってしまったのですか。

□「意外なことでもなんでもありませんよ、その気になれば、あの孫悟空の息子1人でも一瞬で片がつくでしょう」

 フォローが入ったのは嬉しかったです。実際にはそれくらいの戦力差はありますよね。でも最終的にはフリーザを筆頭にソルベもシサミも、兵士の全員が死んでいるのですから無駄になりましたよね。てか、フリーザと言う強敵が控えているのにそんな戦い方をして消耗するのは賢明とは言えません。

□フリーザの一人称

 最終形態に変身しても一人称が『わたし』でしたがおかしいでしょう。本来は『ぼく』です。変身する度に口調や性格が変わるのが魅力だったので残念ですよ。

□「…ほほほ…なるほど、まだ少しは忠誠心が残っていましたか…」

 違ぇ(笑)。

□超サイヤ人ゴッドのパワーを持ったサイヤ人の超サイヤ人

 これ、要らなくありませんか。普通の超サイヤ人で良いではありませんか。一つだけ良かったのはベジータもこの姿に変身し、悟空と同程度の実力が備わっていた事です。『神と神』に続いてベジータが恵まれた扱いを受けています。

□「ほほ…、わかりやすく金色にしてみましたが単純すぎましたかね…」

 超サイヤ人の意趣返しになっていますよね。でも神神しいと言うより、汚らし・・・ゲフンゲフン(死)。

□「あの2人は絶対に組みませんよ、プライドが高すぎるんです」

 そんな事はありませんけどね。フリーザが手も足も出ないほど強くて一人ではどう足掻いても勝てなくて負けたら仲間や家族が殺されるのであれば、協力して戦うのも躊躇しないでしょう。目算として確かにフリーザは強いけれど絶対に勝てないのではないと見ているのでしょう。

□ゴールデンフリーザの弱点

 同格や自分より強い相手と絶えず戦って来た悟空やベジータと、真剣に戦う機会すら無かったフリーザの差が如実に表れましたね。

□ブルマ

 フリーザを相手に威勢の良い台詞を吐くブルマが本作で一番 楽しい人物でした。

□総評

 根本的な問題として、フリーザを復活させるコンセプトが好ましくありません。巷間 騒がれるほどフリーザに思い入れが無いのもありますし、鳥山明がそんな安直な選択をした事への失望もあります。
 そして戦ってばかりでストーリーが何もありませんね。その戦いも延延とボコスカ殴り合っているだけで退屈ですらあります。鳥山明はサービスでアクションシーンを増やしたと自信満満に語っていますが、これでは完全に裏目に出ていますよ。鳥山明の持ち味は無駄を極限まで省いた凝縮された面白さですから相性が良くありません。アニメスタッフはもっと巧く膨らませられなかったものでしょうか。
 予告編でフリーザの「あなたをフリーザ軍の最高司令官にしてあげます」、ベジータの「てめえはもう終わりだ」、ビルスの「おまえの甘さが招いたことだ」と言う台詞を聞き、悟空の甘さが原因でベジータが裏切りビルスにも見放されるのだと信じて疑っていなかったのですが、全く別物でした。
 悟空のブーツやベジータのスーツが変化しているのは時間の経過が感じられて良かったです。

ミスリード

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(15.04.18)