仮面ライダー剣
MISSING ACE

□ブレイドVSジョーカー

 豪雨の中最後の激闘を繰り広げるブレイドとジョーカー。封印の為にブレイドがカードを投げた時は、斃したくないのに封印しなければならない一真の苦悩が伝わって来て良かったです。この戦闘はクライマックスに来るものとばかり思っていましたので、始まっていきなりだったのは驚きました。TVシリーズのラストがこれなのでしょうか。

□白井虎太郎

 成り上がりと言うか典型的なタイプですな。恐らく二冊目は出しても売れないでしょうか。一真が「お前、暫く会わない内に嫌な奴になったなぁ」とストレートな感想を漏らしたのが笑えました。でもその後の行動を見ていると本質的には変わっていないと思います。

□上城睦月/仮面ライダーレンゲル

 何だかうじうじしています。今と同じですな。虎太郎が「暫く会わない内に嫌な奴になったなぁ」と評していましたが、いいえ、彼は以前からこうです(ぉ) もっと成長した所を見せて欲しかったです。レンゲルとしては特に目立った活躍はありませんでしたが、始を復活させる為にブレイドが投げたジョーカーのカードへリモートを発動させると言うコンビプレイは格好良かったです。

□アンデッドVS新世代ライダー

 触手で車を絡め取り大暴れするスキッドアンデッドの活躍は見事なものでした。そしてそんな大量のアンデッドを薙ぎ倒す新世代ライダーの活躍も素晴らしいです。多くのアンデッドの中には上級アンデッドもチラホラ見られましたが、どれも扱いが悪かったのは残念な所。或いは、新世代ライダーの戦闘力がずば抜けて高いのかもしれませんが。またスペードのカテゴリーA――ビートルアンデッド――が登場しましたが、一真と会っても会話の一つすら無かったのは残念です。仮面ライダーと言うのは人間とカテゴリーAの融合、言わば変身する人間とカテゴリーAは一心同体となるわけで、良しにつけ悪しきに付け思う所があると思うのですがねぇ。久々にアンデッド語が発せられたのは嬉しかったです。
 劇場版で初めてお目見えしたのはビートル、ギラファ、リザード、スキッドの四種。TVシリーズへの流用が前提(ですよね?)だからと言うのは分かっていますが、それでも豪華に感じられて嬉しいです。どれも格好良かったです。アンデッドではタランチュラアンデッドも登場しましたが、嶋さんとしての登場が無くその意思すら感じられないのが残念でした。尤も、それがあるとストーリーは更にややこしくなり、尺が足りなくなってしまうでしょうが。念願だった劇場版での再生アンデッド軍団が登場した事には感慨深いものがあります。

□烏丸所長

 四年前に全てのアンデッドを永遠に封印しようとして、もう一人のジョーカーの攻撃を受けて命を落とした。と言う事で出番は短かったですねぇ。

□橘朔也/仮面ライダーギャレン

 この人はよく理解りませんねぇ。当初は変わった様に思えたのですが、一真や睦月の事は信頼しているようですし。烏丸所長の様な役割になるのかと思いましたが、それにもなりきれていませんでしたし、何とも微妙でした。唯、純一が「チーフ! 僕達だけでは手におえません! 来て下さい!」と呼びに来た時は頼られていると言う感じが出ていてとても良かったです(鑑賞している時は状況が状況でしたから素直にそうは思えませんでしたが)。天音に迫った時は凄く雰囲気が出ていましたが、結局あれは素の状態なのでしょうかねぇ。そういえば結局ギャレンにはキングフォームが無いのですねぇ。四年の間に何らかの事情で変身出来なくなったと言う事で、TVシリーズでは出てくれると嬉しいのですが無理でしょうかねぇ。

□栗原天音

 不良になっていました。こんなのに警備員が翻弄されたのが情けないです。こういう莫迦は五、六十発殴って修正すればいいのです。宣伝でアンデッドに襲われるシーンがありましたし、慎や夏美の件もあるのでもしかして死んでしまうのかとも思ってしまいました。

□ブレイドVSグレイブVSアンデッド

 ブレイドとグレイブの互角の勝負から、乱入してきたアンデッドを相手に流れる様に共闘を見せる場面は短いながらも非常にいいものでした。あの共闘場面は全体の中でも好きな戦闘の一つです。ダイヤのカテゴリーK――ギラファアンデッド――が封印される間際に発した声は凄く情けなかったです。あー、よく考えたらグレイブの正体はアルビノジョーカーだったわけで、それに気付いていたのですかねぇ。そう考えると合点がいきます。

□志村純一/仮面ライダーグレイブ

 序盤で募金箱を奪った時は何をするのだ、と思いましたが凄く良い人ですなぁ。良くやった、感動した。三人のリーダー的な存在ですが、その中でもどちらかと言えば旧世代ライダーを蔑ろにしていないと思います。実際、尊敬はしているようですし、一真や睦月が戦えない事を考えれば正常な判断です。純一もグレイブも非常に魅力的なキャラクタですので、何らかの形でTVシリーズへも登場して欲しいですね。
 ランスとラルクは基本的に単なる色違いなのですが、グレイブだけはより強力そうなデザインで格好良いです。武器はブレイラウザーの基本を受け継いだのでしょうね。昨年のオーガの様に作品で一番好きなライダーになるかな、と思っていたのですがそこまではいきませんでした。新世代ライダーは能力からしても旧世代ライダーを大きく上回ると言う訳ではありませんし、ブレイドとレンゲルが使えないからその代替品でしかないのですね。後述するように何のカードを使用したのかさえ理解らない、と思ったのですがパンフによればそもそも戦闘システムが旧世代ライダーとは一線を画した存在なのですね。その為カードはマイティ一種のみと言う事ですか。必殺剣技『グラビティスラッシュ』は格好良かったのですが、キックも見たかったと言うのが本当の所です。また新世代ライダーは三人とも専用バイクが与えられていないのも残念です。三人共通で構いませんので、特殊なバイクに登場して欲しかったです(ブラックファングとかに乗っていればなぁ)。それで旧世代ライダーとのバイクチェイスが見たかったです。

□禍木慎/仮面ライダーランス

 これまで戦って来たのは自分たちなのに、後からのこのことやってきた旧世代ライダーが許せない慎。クラブのカテゴリーK――タランチュラアンデッド――を封印して喜んだのも束の間、何者かに殺害されてしまいました。まさかメインキャラで死者が出るとは思っていませんでしたヨ。慎は好きではありませんでしたが、とても可哀想でした。
 新世代ライダーの変身システムは共通してレンゲルが基になっているようですが、ランスは武器もレンゲルラウザーを参考にしているようですね。長大な武器を巧みに振り回してアンデッドを薙ぎ倒す様は格好良かったです。必殺技の『インパクトスタッブ』ですが、正直どの様な技だったのか覚えていません(汗) 大体予想はつきますが。

□三輪夏美/仮面ライダーラルク

 慎が最後に封印したカードを奪い、純一が所持していたカテゴリーKも盗みましたが、慎と同様暗殺されてしまいました。力に溺れ、力を追い求め、死にました。慎と彼女は『ニュージェネレーション』で純一の誘いを断っているのですが、それからライダーになるまでに何があったのか気になります。
 ラルクの武器は他の二人と異なりこれまでに無いボーガンでした。強いて言えばカリスアローとギャレンラウザーの折衷案でしょうか。必殺技『レイバレット』は複数の標的を同時に攻撃していたのが印象的でした。

□アルビノジョーカー

 実は純一がもう一人のジョーカー――アルビノジョーカー――だったと言う展開には大変驚かされました。見込みのある青年だと思っていましたのに。しかしこうなると橘さんと純一の邂逅が見てみたいですね。純一はジョーカーや天音に近付く為に現れたのでしょうが、橘さんはどうして純一を選んだのでしょうか。TVスペシャルとかでそれをやるのはどう? アンデッドとしてはジョーカーを強力な攻撃で打ちのめしましたが、活躍はやや足りない感があります。上記の活躍に加え、ブレイド、ギャレン、レンゲルの三人と激しい戦闘を行い、敗走して超古代の能力を手に入れると言う展開が良かったです。それにしても、彼は14の能力を手に入れてどうするつもりだったのでしょうか。そのままでもアンデッドの中で最強と言って差し支えない戦闘力を備えているでしょうし、目的が今一つ理解りません(この手の疑問は禁句なのかも知れませんが、何故か今回だけは気になってしまいました)。穿ち過ぎ、と言うか妄想の域を出ていないのですが、募金をした心優しい姿が本性で、14の能力で恵まれない子供を救うとか、世界中の洗濯物が真っ白になる様にとかでしたら良いなと思います。どうでも良いのですが、ジョーカー同士は互いの事を何と呼んでいるのでしょうね(何)

□アルビローチ

 毎年恒例の戦闘員的な存在ですが、何の説明も無く徘徊しておりましたので何なのか理解りませんでした。当初は何らかのアンデッドが特殊能力で分身を作り出したのかとも思いました(色が白いのは能力的に劣る証とか)が、アルビノジョーカーの手下だったのですね。この名前はゴキブリがモティーフと言う事でしょうか。アントロードに並び戦闘員に相応しい選択だと思います。つかゴキブリとは盲点でしたな。確かにぴったりです。TVシリーズでも使い方が巧いと思うオリハルコンエレメントですが、複数のアルビローチを纏めて吹き飛ばしたのも良かったですな。

□14

 超巨大な怪物と化したジョーカーですが、その暴れ回るシーンは最高の迫力でした。初見時はアンデッドらしからぬデザインですし、アンデッドとは別の敵なのかとも考えましたが、実際に見ると全く気になりません。爆発の連続や逃げ回るギャレンとレンゲル、もう本当に素晴らしいです。一つ慾を言えば、敵わないにせよ一度ぐらいギャレンとレンゲルが攻撃を仕掛けて欲しかったと思います。そうする事で余計に敵の強大さが分かると思います。十三のカテゴリーで分けられるアンデッドを上回る存在、14と言うネーミングは巧いですね。バトルファイトの勝利者に与えられる巨大邪神だそうですが、一万年前はヒューマンアンデッドがこれを手にしたの? しかしキングダークやネオショッカー大首領と比べると時代の差を感じずにいられませんな。小生、特撮ヒーロー番組やアニメではCGが嫌いなのですがこればかりは14の方が好きです。余談ですがパンフの解説に誤植があり、『バトルロファイト』とバトルロイヤルなのかバトルファイトなのか分からなくなっています。

□相川始/仮面ライダーカリス

 古代の能力を手に入れたもう一人のジョーカーを斃す為、自ら犠牲になった始。最初からそう言えば一真がそれを許さないのを分かっていて、先ずは一真に死を促す。最初はいきなり何を言っているのだ、と思いましたが真意が分かった時は感動しました。そして一度封印した友を、また殺さねばならない一真の苦しみ。この場面は本当に良かったです。一番の見せ場ですね。

□仮面ライダーブレイドキングフォーム

 相手の力が弱まったので、三人揃って攻撃を仕掛けるライダー達。この時ジャックフォームへと変身して空を飛ぶ二人に対して、フロートの能力で飛ぶレンゲルが少々笑えました。しかし弱まったとは言え全く敵わない。そこでブレイドがラウズアブソーバーにカードを挿入、『エヴォリューションキング』という機械音声が響きキングフォームへと変身を遂げます。所持する全てのカードが全身に宿ったその姿は格好良いなんてものではありませんでした。最高です。武器も大剣となり、それにカードを挿入して強大な敵を一刀両断しました。宣伝で見た時から格好良いと思ってはいましたが、実際に見てもその期待は裏切られる事がありませんでした。しかし唯一の不満を言うなれば、ジャックフォームではあった羽根が無くなった事でしょうか。あの羽根は気に入っていましたのでそこだけは残念です。

□エンディング

 新OPが流れていましたがスタッフロールを見るのに必死で、映像の方を全然見れていませんでした。凄く勿体無い事をしてしまった気分です。他にもパンフを眺めていますと見逃したり、気付かなかった場面が散見していて残念です。

□総評

 本当に凄く楽しめました。格好よく魅せるべき点、笑わせる点、感動させる点、謎解きの点、それら全てを巧く抑えていて非常に高評価です。エンディングが流れた時の満足感も大きいです。しかし僅かとは言え不満も存在します。その一つはライダーについてです。全編息もつかせぬバトルの連続を堪能できるのですが、個個のライダーの活躍がゆっくり拝めませんでした。新世代ライダーに関しては何のカードを使用したのかさえ理解りませんでした。スピード感が削がれるのを承知の上で、一度ずつでいいので必殺技をじっくりと見せて欲しかったです。それでも凄く面白い作品だと言うのは変わりませんがね。
 定番の前作出演者による友情出演ですが、今年は勇治や直也、村上社長が出ていたそうです。残念ながら私はスタッフロールを見るまで全く気付きませんでした。昨年までは全員ではないにせよちゃんと気付いていただけに、一人も気付けなかったのが悔やまれます。

(04.09.14)

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