ゴーカイジャー ゴセイジャー
スーパー戦隊
199ヒーロー
大決戦

□冒頭

 ゴセイジャーがゴーミン、ズゴーミンと戦い追い詰められるところから物語は始まります。ゴセイジャーが戦闘員に苦戦するのは不満が燻りますが、改めてゴセイジャーはヒーローらしいと思いました。ゴーカイジャーと並ばずとも際立ちます。その中にあってアラタは歴代のレッドでも本当に稀有なキャラクターですよね。

□レジェンド大戦の裏側

 テレビ版のレジェンド大戦では姿を見せなかった戦士が、その陰でゴセイジャーやアカレンジャー達を送り出す為に尽力していました。しかし何故かその面子でニンジャマンだけが居ないのが納得が出来ません。逆にデカスワン、ウレウザードファイアー、マジマザー、リオ、メレが参加しているのも不可解ですなぁ。

□ゴセイジャー

 ゴーカイジャーから自らのレンジャーキーを取り返そうとするゴセイジャーですが、あのアラタまでもが簡単に力尽くで奪おうとするほど好戦的で違和感がありました。地球の未来を守らなければならないと言う使命がありますし相手が海賊と言う事を鑑みて何とか許容範囲でしょうか。不意打ちも厭わないなど天使らしからぬ行為です。

□黒十字王

 黒十字総統が生まれ変わった存在だそうです。しかしこういう記念作品の悪役を演じるのが、仮にもガンマジンとしてヒーローを演じた方なのは如何でしょうか。またデザインも黒十字総統のシンプルで印象的だった衣装に比べると没個性的に見えます。

□復活した敵

 黒十字王がブラジラ、ヨゴシマクリタイン、ダゴンを復活させるのですがこの三人に文句は無いものの人数が少なく侘しいです。もっと新旧織り交ぜて大量に復活させ見た目を派手にして貰いたかったです。それとブラジラはどうせなら天使将軍ブレドラン仮面とかそんな感じの名前と新しい姿を用意して欲しかったですなぁ。
 この三人とは三組に分断されたゴセイジャーとゴーカイジャーが戦うのですが、ダゴンの斃し方が恐ろしく姑息でした。ヨゴシマクリタインと違ってシリアスなキャラなので戦隊のヒーローらしからぬ姑息さが目立っています。あとダゴンの顔にある尾鰭が風でひらひらと動いていたのがやたらと目に付きました(ぉ

□戦隊OBの出演

 歴代の戦隊作品から幾人かが出演しています。天火星亮が年齢を重ねてもそれを感じさせない若若しさだったのが印象的で、途中までは楽しく見ていたのですが最後まで見終えて心の底から落胆しました。何と彼らは変身せず戦わないのです。最終決戦に於いて力を取り戻し戦ってくれると信じて疑わなかったのでこれには衝撃を受けました。一番好きなターボレンジャーから炎力が登場しているのですが変身もしないのであれば喜びが半減どころか十分の一にも満たないですよ。デンジブルー、リュウレンジャー、デカピンクを揃えて行うのがリストラされたサラリーマンを立ち直らせるとか心の底から呆れました。パンフレットのインタビューで亮役の方が拍子抜けしたと語っていましたが、映画を見ている方も全く同じ気持ちです。

□歴代戦隊との戦い

 一致団結したゴセイジャーとゴーカイジャーの前に、黒十字王によりレンジャーキーを利用して作り出された歴代戦隊の偽者が立ちはだかります。錚錚たる光景ではありますが偽者とは言え余り見ていて気持ちの良い場面ではありません。歴代の戦隊ヒーローを登場させてやるべき事はこういう事ではないでしょう。当時のバンク映像を使ったバズーカの一斉射撃の様な見所もありましたが総じて不満の方が強い、悪い意味で印象に残ってしまった場面でした。
 この中で歴代の追加戦士を次次と薙ぎ倒したナイトさんの強さは流石ですな。

□スーパー戦隊バズーカ

 戦隊ヒーローの必殺武器は巨大バズーカと言うのが好きなのでこれは嬉しかったです。しかもゴセイジャーとゴーカイジャーの総勢十一人で持つのでかなり大きく存在感がありました。
 この武器を使う前に背後に奇跡の力で歴代戦隊が登場するのですが、変身は疎か名乗り場面すらないのです。見得きりを重視している戦隊シリーズは名乗りがとても需要なのにこれでは論外でしょう。敵にして戦わせたり見せるものが違います。

□巨大ロボ戦

 巨大な黒十字城との戦いでは歴代の一号ロボが総登場すると言う驚愕の光景が展開されます。工夫を凝らされたその戦闘の見応えはかなりのものでした。
 画面が暗く一瞬だけなので分かり辛かったのですが、ライブロボと共に銃撃でサイクロプスを撃ち抜くターボロボが非常に格好良くて嬉しかったです。ターボクラッシュも見たかったのですがターボカノンは本編でも怪人に止めを刺した事のある立派な必殺武器ですからね。ライブロボとターボロボをこのポーズで並べたかったです。激走切りとゴーオンストレートを見せられると流石に技術の差を感じてしまいますな。それにしてもターボロボ、RVロボ、エンジンオーと自動車をモティーフにしたロボは自然と必殺技の目指すところが一緒だと言うのが理解って興味深いです。
 しかしタイムロボとジェットイカロスだけは何処に映っていたのか見た記憶がありません。残念ながら見付けられませんでした。
 最後にゴーカイオーがバリブルーンと合体してゴレンゴーカイオーで止めを刺しましたが、それまでの盛り上がりに比してちとこれは弱いですな。全ての戦隊ロボの力を結集した形態になるくらいの取って置きを用意して欲しかったです。

□総評

 率直に申し上げてがっかりしました。これはちょっと豪華なVSシリーズと言うだけで、199ヒーロー大決戦を謳うには弱いです。これよりもつまらない映画はありますが、見る前の期待値との落差で言えばぶっちぎりのトップです。戦隊のオールスター映画と言う表現から想像する内容が全く詰まっていませんでしたわ。歴代戦士が登場する度に変身を心待ちにしたのにそれは無く、歴代戦隊の名乗りも無く、本当に心から落胆しました。一番盛り上がったのが最初のレジェンド大戦と言うのが泣けます。
 特撮ヒーロー番組の中でも最も戦隊シリーズが好きなので、遂に大好きな戦隊のオールスター映画が来たと大喜びだったのですが無残にも打ち砕かれましたわ。

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(11.06.11)