USA−P in 
 ・ 2004/03/13


○ 大垣 〜 成田空港

 寒の戻りとでも言うべきか、正直言って寒い朝7時に目覚める。
いよいよ旅だ、NYへ、WWEの特別な大会WM20への! って気分にはイマイチ
遠い寝惚け頭の一番の関心事は成田空港までの道程だったが、春と言うにはまだ
遠くとも鈍くて穏やかな日差しの呑気さのままに大垣駅からのJR→のぞみ→成田
エクスプレスは事故に巻き込まれる事もなく無事に、午後1時に成田空港第一ターミ
ナルに到着してまずは一安心。

 喫煙場所から見下ろす成田空港ロビー

 兎にも角にもまずは両替、だったが紙幣のみの交換しかしてくれない。小銭は必要
になる筈なんだが… まぁしようがないかと諦めて妻と共にツアーの集合時間までの
間、とにかく煙草を吸っておく事にする。
 喫煙コーナーの場所のせいか日本人しかいない。ターミナルは混雑と言うにはチト
足りないが騒然とした空気に段々と自分の中で『始めての海外旅行』への期待や気分
が沸いてくるのを煙草で押さえつつ、集合場所に20分前に到着する。
 
 だが、誰もいない(汗)
 
 服装などから多分、自分らと同じWMツアーの人ではないか、なぁ…? と思う人
はいるのだが、添乗員と思しき人が見当たらない。仕方なくユナイテッド航空のカウ
ンターを見ると団体窓口に「WM20ツアー」と表示されている所があって既に列が
出来てはいるものの、果たしてこのまま並んでもいいものかどうか解らないので仕方
なく時間まで待つ事にしたのだが…
 
 集合時間に遅れる添乗員なんて初めてだよ。
 普通、時間前にはいないか?
 
 イラク戦争開戦1周年前の最後の土日にアメリカに行く以上、テロの危険性は高い
としか言えない以上に去年末のWWEのバグダット公演の過激さと元々のNYの犯罪
発生率の高さ、そして自分の英語の会話能力の低さと行く前から不安だらけなのに、
まず旅立ちの前に旅行会社の人間の対応が不安、ってのは… と、気分的に険悪に
なる私を妻が宥めつつ、荷札やら航空券やらを受け取って、とりあえず指示通りに荷
物チェックと搭乗手続きを済ませて専用ロビーにと行くが、やはり不安な人は他にも
いて、あるお母さんから
「すいません、WM20ツアーに参加される方ですよね?」
「はい。どうされました?」
「手続き後の集合場所はこのロビーの何処の辺りなんでしょう?」
 と尋ねられても私らだって知らんっ〜の(涙)。
「まぁこの中央の窓口の付近にいれば大丈夫だと思いますが… 」
「そうですか… ありがとうございます。息子が初めての海外なんで心配で… 」
 それは私も同じです… という言葉を呑み込んで
「まぁツアーですし、Tシャツとかの服装で他の団体ツアーとの違いは解るから大丈
夫ですよ」
「そうですよね… すいませんでした」
 と言ってはみたものの、なんとなく近ツーに対する不安や不信感に加えて義憤めい
たものを抱いて気分が悪い。人数が例年よりもはるかに多いらしいのは私よりも遥かに
ベテラン参加者の方々のHPで知っていたから多少の事は… 自分らだけの事ならば
まだ我慢の範囲だとは思うが他の人が困っているのを見ると余計に気分が悪くなる。

 そんな気分をさらに悪化させたのが自分達のE2班の担当添乗員。
新人なんだろうけどカツゼツが悪いし説明する事をペーパー通りにやるのはいいけど
間が開いたり止まったりつっかえたりしてて、他のお客さんからツッコミ受けまくる
わ、説明を聞き取れなかった人にまたも解説を求められたりして
「一体どうなるんだろう… 」
 と、乗る前から既にダウナーな気分。
「一生懸命なのは解るが… あんなんで大丈夫なのか?」
「でも担当さんだからね… まぁ自分達でどんどん必要な事は聞くしかないでしょ」
「っか、その担当が言う事そのものに不信感あるんですけど私。国内のバス旅行じゃ
ねぇんだしさ… まぁ自分がナーバスになってるから余計にそうかもしんないけど」
「じゃぁもっと落ち着かなきゃ。まだ飛行機、飛んでもいないんだから」
 と妻にフォローされるが… 
 もっと素直に旅の期待に浸りたかったんだけどなぁ…


○ 成田 〜 NY
 
 エコノミーの座席は想像通りの狭さで180cmある自分のガタイに悲しむが、
自分よりデカイ外人さんも利用している事を思えば贅沢ではあるワケで。長時間、
椅子に座りつ続ける事は昔、トラックに乗っている頃に痛めた膝や腰への不安でも
あったが飛行機の揺れが適度にマッサージがわりになって快適ではないが苦痛でも
無いのでホッとする。痛み止めとかは持って来てはいたが使わずに済んだが、一方
で安心して落ち着くと、次第にじっくりと気分が高揚してきて… 初めての海外旅行
だし… 眠れない。妻越しに窓の向こうの空を眺めたり、本を読んだり、映画を
観たりしていて時間を潰すがイラついたりジレったくならない自分の落ち着き様って
のもなんかツマンナイなぁ… とか思ったりもする。

 何故に「きつね」で「らあーめん」なんだろ?

 時差ボケ対策として某所より入手したハル●オンを飲むが眠れないが、それも含
めて楽しむ気分でいられるのは多分に妻と共にいるからだろうなぁ… と思いつつ
夜を、日付変更線を飛び越えて迎える機上から見る朝の美しさに思わずカメラを取
り出して撮影。

 本当はもっと綺麗な色彩だったんだけどね…

 起きた妻に問われるままに、ネットで調べておいたWM20までのWWEのスト
ーリーラインを説明したり、機内で観た映画の感想などを話しているウチに機はア
メリカ大陸を横断し、やがて眼下に茶色の建物がみっしりと立つ様に自分がNYに
来た事の実感と期待がぐっとせり上がってくるのに合わせるかのように、飛行機は
無事にJFK空港に着いた。


○ JFK空港 〜 ペンシルバニア・ホテル

 団体客のお陰かアメリカ入国での写真撮影と指紋押捺は無く、
「お前らは兄弟か? それとも結婚してるのか?」
 と聞かれたのに答えたくらいで無事通過、荷物も無事に出てきていざバスへ…
の前にバス待ちのついでに建物の外で一服するが、流石に12時間吸わないでいた
せいか煙草が回る回る
 当初、班ごとの筈のバスだったが夕方の渋滞にかかった為に到着が遅れたので好き
な方に乗って良い事になったのでE2班ではなく1班の方のバスに乗ったのは多分に
添乗員さんが慣れていそうな人だったからだったが、これが正解
 必要充分で無駄が無い説明を受けている最中に、自分達が成田で貰っている筈だった
近ツー作の「WM20までのWWEのストーリーの流れ」等を貰ってない事を知り、ますます
本来の自分達の班の添乗員に対する不信感が募るものの、高速道路を終えてプリンセス
ブリッジにさしかかり、聳え立つとしか言い様の無いビルが夕日を浴びている様を見て
何だか感動してしまう。

 バスの車窓から

 来たんだ…
 自分はNYに来たんだ…
 イエローキャブの群れ。行き交う人々。ネオンサイン。
 かつて映画や写真で観たこの地へ、NYへ来たんだ。

 そうとしか、それ以外に何も思わなかった。


○ ペンシルバニア・ホテル

 ホテルの正面玄関前で撮影

  本当にホテルの真正面にMSGとペンシルバニア駅があり、猛烈に感動。
立地状況から人通りが結構多いが考えてみれば土曜日の夜、賑やかな雰囲気も
当然かもしれぬ。もっとトゲトゲした空気を想像していたが、用心し過ぎだったようで
どこかしら安心させてくれるが、だからと言って浮わついてたらヤバイんだろうなぁ…
 とは思うけれど。

 兎にも角にもまずは荷物を置いて… と部屋に向かう。
ロビーなど人が一杯いるが自分達だけでなく結構WM20観戦と思しき様々な人種
の人達が溢れていて何だか嬉しくなりつつ、渡されたキーで部屋を開けると
 
 人はいないけど既に先客が荷解きした状態 (汗)。

「確か… 二人一部屋、だったよね… (汗)」
「足りなくて相部屋… ってのはあるかもしれんが… 夫婦者んトコにもか?」
 慌ててロビー片隅に設置されているツアーデスクに行くと、要するにホテル側の
ミスでのダブルブッキングだったようで、新たに部屋を手配してもらう事になるが、
この時に対応してくれたオネーサンの添乗員の方のしっかりした対応で速やかに
部屋が手配されてまずは一安心。

 お部屋。

 部屋はまぁこんなもんかな? と思う。
壁にヒビや塗装の剥げ落ちはあってもお湯は出るし電気はつくし。
「でも冷蔵庫が無いのはちょっと残念だなぁ… 」
「そうだね」
 と話していたらいきなりドアが開いて黒人のオバチャンが入って来た。
「!?」
 ノック無しかよ!
 って言うか今は丸腰だぞ私!
(汗)
 と焦るよりも先に
「この部屋は掃除していない。必要ならするけど?」
 と聞かれてとりあえず
「ノー・プロブレム。サンキュー」
「本当にいいのか? それじゃぁ」
 と言って出ていったので、慌ててドアのチェーンをかけたが、ダブルブッキング
と続いての事だけに
「大丈夫か、このホテル?」
 と心配になる。

 荷解きを終えて、普段装着しているGABERとBALI−SONGのシースに代替の
アンダーカバーを入れて、とりあえず夕食とホテル周辺の状況探索も兼ねて妻と外に。
空港からホテルまでのバスの中で添乗員さんが
「交通が日本と逆、なのもそうですが横断歩道の信号が変わる時間が日本とは比べものに
ならないくらい早いので注意してください」
 と言っていたが、本当に早い。
日本でのタイミングだと途中でもぅ赤信号になってるくらいだが、その分待ち時間は短い
から微妙なトコだとは思う。道路の向かいがペンシルバニア駅で、敷地的にMSGにも
繋がっているからか、人通りが結構な数がいるうえにクラクションやらサイレンやらで
賑やかしいし物々しいんだが、その大半は短い信号の時間ゆえに特に歩行者の堂々たる
信号無視が原因だと思う。皆、信号なんて知っちゃいねぇとばかりにちょっとした『間』
で渡り始めるが、クラクションを鳴らされようがお構いなしに自分のペースで渡るのが
NY流なのは多分に自動車も人の数も多いから慢性的な渋滞状態になっているからか?
そのくせ斜め横断とかはしていないのは訴訟社会故、なのかな?

 ビビってても始まらないけど旅は終わってしまうのでおっかなびっくり道路を横断して
歩いてみる。日本ほど街路灯が無いかわりが店のネオンサイン、って感じだけど暗い道
は本当に暗くて恐そうなんで、ギャップが結構ある。
 2ブロックほど先にピザショップがあった。窓越しに店内を覗くとヒスパニックとイタリア系
と思しき人だらけだが、さっき歩いてきた表通りほど混んでいなさそうなのと実に美味そうな
匂いに意を決して入ってみる事にした。
 すっげぇ早口な上に店頭掲示してあるメニューの飲み物「ICE MILK」を頼むと
「ウチにはそんなもんは置いてねぇよ」
 と言われて釈然としないけどコーヒーにしてハム・ポットを食う。
「美味い!」
「うっそ! すっげぇ美味しい!」
 妻と感激しまくる。
たかが$3程度なんだけど、パイ生地の小麦の香り、チーズの重さ、そしてハムの美味さ。
加えてコーヒーの香りの良さ。あんまりお腹が空いている筈ではなかったのだが、むさぼる
ように喰ってしまう。
「あぁ、もぅこれで出前ピザとか食えなくなるなぁ… 」
「そうだねぇ… 」
 幸せな気分で店を出て、とりあえず一旦ホテル前まで戻ってスタンドでNYTを購入する
と日曜版なせいか滅茶苦茶ブ厚い(広告も合わせると普通の新聞5日分くらいか?)のを
指差され、驚きつつも手で抱えようとすると黒人の売り子の兄ちゃんが苦笑しつつ
「お前、袋いるか? いるだろ?」
 とビニール袋を渡してくれる。旅先の親切って有難い… と、感謝。
お陰でそのままホテルの周辺を沿うように歩いてみると¢99ショップ… 日本で言えば
100円ショップ… を発見したのでそのまま入ってみる。2階建てで1階が¢99以内の商品で、
2階はそれ以上の価格の商品となっていたが、百円ショップでは見かけないパンや冷凍食品、
アスピリン等のお薬系まである品揃えと、1つ1つが業務用かと思うほどに大さ、そして原色
まみれのパッケージングが楽しい。生活必需品だからなのか、何種類ものミネラルウォーターが
¢45〜¢75程度で、ジュース系もコカコーラ以外のなら¢75程度だったのでとりあえず飲み物
を大量に購入。
「あぁ… こんな御近所にこんな店があると知っていたら、髭剃りとか歯ブラシとか使い捨ての
小物、必要無かったよなぁ… 」
 と思うが、まぁそれはしょうがない。

 商品価格が均一でない為か、レジでは結構な混雑と行列になっているんだが、それでも
全部のレジがOPENになっているワケでもないのも効率なのかな? とか思いつつ並んでると、
一人の客がCLOSEと表示されたレジの前に来て、
「レジについてない従業員がいるんだからここも開けて会計せぇや」
 とか言ったものの、ゴツイ黒人のオネーチャンに
「ここはCLOSEって出てるだろうが! ちゃんと列に並べ!」
 と一喝されてスゴスゴと引き下がるのには順番待ちのお客が皆、笑ってた。
それこそ白人、黒人、ヒスパニック、アジアンと色々な人種の人が様々な言葉でガヤガヤと
やっている様に、なんだか心が和んでくる。
「すまんが、この列はどうなってるんだ? どこが最後だ?」
 と御老人に聞かれ、期せずして列の前のセニョリータと同時に
「あそこ」
 と指差すと
「おー… これは長いねぇ」
 と笑うのにつられて3人で笑う。あぁ、ここでなんか気の利いた一言でも言えればなぁ… と
思いつつ、やっと自分の番になったので前の人に倣ってカゴから商品を取り出してカウンター
に並べる。全部カゴから出し終えてからの御会計、ってのはかえって時間がかかるような気が
しないでも無いのだが、結構な量を買ったのにそれこそ十数$だったのと、レジ打ち中は満面
疲労のオネーチャンがお釣りを渡す時に
「Thank You.いい夜を」
 と笑顔で言ったのに夫婦揃ってニコニコとした気分でホテルに戻った。

 ¢99のアスピリン

 TVの天気予報によれば明日のNYは曇り時々雪、だそうな。
色々チャンネルをかえていくとコメディチャンネルがあり、『SOUTH PARK』の第8シーズンの
予告や昨年ヒットした映画『The school of Rock』のTVドラマ版の予告もあったが、
「日本で古来より伝わる遊戯を紹介するバラエティ番組」
 って言ってるくせに白人のネーチャンに$1札を食わせたりとか無茶な事ばかりの『BANZAI』
って番組が激しく気になるが流石に疲れも出てきてシャワーを浴びる事に。

 湯上りにさっき¢99ショップで買ったSUGARFREEのICE TEAを飲むが、
「どこがSUGAR FREEなんじゃぁ!」
 と激怒しそうな甘さに辟易としたが、妻の買った普通のICE TEAが拷問のように甘かった
のでアメリカ人に肥満が多いのも当然だと思う。捨てるのも癪なのでミネラルウォーターで
薄めて飲んだので胃がタプタプになりつつベッドに転がった。

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