USA−P in 沖縄
 ・ 11月27日 (月) 後編。



 倦んだ。しかし、嫌になった訳ではない。
加えて個人旅行ではなく団体バスツアーでもあるから逃げるワケにもいかん、ってのもあるが元から
思い入れも期待もさして無かった場所なんだから気楽に適当に楽しんでおくのが良いのではないか。
 …

 っと思いつつ到着したのは



 おきなわワールド

 昼食場所でもあるここは、言ってしまえば日本昭和村の沖縄版ってトコだと思っていたのだが地図を
よくよく見るに順路やエリアの出口が必ず御土産物屋になるようにしてある所といい、なんとなく昭和村
ってよりは国際秘宝館を思い出したりもして(笑)。
 なにせ関ケ原(閉館)、鳥羽(閉館)、元祖の伊勢、そして熱海も行ってるしなぁ私…

 っと思ったものだが案外そんなもんで、建物やらの出来もさる事ながら展示物と展示方法といい本当
に地図通りにどのコースも御土産物屋が出口でやいのやいのと声をかけてくるのもその売っている
お土産達をよく見なくても梵字キーホルダーとか相田みつをもどきのTシャツとか星座3Dクリスタルとか
節操無いのが混じってるのも含めて秘宝館っぽくてなんか緩く笑えてくる。
 
 しきりに
「鍾乳洞と言えば山口の秋吉台(正確には秋芳洞)が有名ですが洞窟の総延長ではここが日本一の
長さです」
 っとバスガイドさんもガイドマップにも謳っていた玉泉洞、

 

 初めはその本物の景観に感心してはいたものの、やはり鍾乳石にさしてそうは見えないのに「身代
わり観音」とか

どこがどう「銀柱」なのかサッパリ解んね。

 とかナンたらとかワケわかん立て札つけてるだけでなく、クリスマス特別企画だか何だか知らんが

 

 不釣合いなブルーやパープルのライティングやイルミネーションのデコレーションは個人的にはあき
ませんでしたのぅ… なんか、折角の場所が作り物っぽく、安っぽく見えてしまったんですけど。加えて
洞内の温度&湿度が半端なく高く、見せ方の甘さもあって道程の半ばで私ら夫婦はちょっと不機嫌。
黙々と歩いて出口に辿り着くと
日本一の長さのエスカレーターで地上に戻ると汗びっしょりになった体
に風がとても気持ちいい… っと和む間も無く、洞窟入場前に撮影される記念写真の購入を迫られて。
「ま、沖縄に夫婦で行ったって記念っか証拠の品として買いますか」
「買いますか。いやぁいやぁ夫にしては珍しいじゃないですか」
「流石にここまで徹底されてちゃぁねぇ(笑)」
 って事で購入したが、後もねぇ…

 玉泉洞を出ると園内の一番奥、って仕様なのでテレテレと園内を歩く事にするが、先に訪れた琉球村
と大して違わない展示やコーナーばかりで。まぁフルーツ園っぽいコーナーは色々見られて楽しかった
ので沖縄フルーツの1つ

味や食感は梨に似てました。

 ドラゴンフルーツを食してみたりしたが、後はまぁ… といった程度で出発地点に戻ってしまう。
一応、エイサーのショウが見物らしいので開始時間まで待つ事にはしたもののかなり時間があるので
足マッサージの機械(by SEGA)にかかると一回100円にしてはそれなりでは… っと呑気な私の横で
「いででででででででででで! あいだだだだだだだだだだだ!」
 っと悶絶する妻が暇こいてる売店の売り子さんらに笑われてた(笑)。  

 で、そんなこんなの時間潰しをして待ってたエイサーのショウですが、ライブショウとして、ってのもあり
ますがこのおきなわワールドで一番ちゃんとした見世物になっているモノかと。

太鼓の音が特によろしいです。

 確かに出演者のレベルに差があり過ぎて… っか、ある兄ちゃんだけ存在感と動きと見せ方と声と…
って要するに全部ズバ抜け過ぎていてそれよりは一枚落ちるけれどなかなかいい兄ちゃん以外との差
が露骨過ぎるし演奏者のレベルや音響とか色々と思う部分はあるけれども、
「ちゃんとショウを行おう」
「お客さんに見て楽しんでもらおう」
 という気迫と緊張感があったらねぇ…
難はあれども抜けてない、そういうショウを観るのは好きなんですよね… っか、こういう緊張感と観客
に対する意識っか自覚は御菓子御殿くらいしかなかっただけに、なんだかホッとするというか、素直に
楽しむ気分になれて、ここまででダウナーげな気分だったのが若干の盛り返しになったものの…



 ひめゆりの塔(資料館)

 またここで気分が沈む。
このツアーん中で特に行きたいとは思わない場所ではあるが、まぁ仕方無い部分もあるかとは思った
のだが…

 戦争被害を語り継ぐ、その事に文句なぞ無いし、これまで資料でしか知りえなかった場所に立って
みるとやはり様々な思いを抱くのだがしかし… このひめゆりの塔と資料館に隣接しぐるりと取り囲んで
いる何件もの土産物屋の店先から
「さぁさぁ●●ツアーのみなさん、どうぞお立ち寄りください〜」
「●●高校のみなさん〜 お買い物ならどうぞ当店でへどうぞ〜
「サーターアンダーギー、出来たてですよ〜! どうぞ御試食してください!」
 と声をかけてくるのはいくら生活があるにしても何となく微妙な気持ちになって。広島の平和公園や
靖国神社の周辺を思い返すと店先に並んだストーンズのベロマークやらライセンシーちゃんととってん
のかコレ?なTシャツやらが余計に虚しく見える。お墓参りで酒盛りをする沖縄ならではの感覚なのか
もしれないが、入る前にこれでは中に入っていくら「事実」や「資料」を並べられてもなぁ… と思うし、
戦没者の顔写真パネルの部屋で
「これ、〇〇に似てね?」
「え〜 似てるぅ? マジでぇ? やっばいじゃん。」
「イケてんじゃん、シニンに似てるなんて〜」
 とケラケラ笑ってたり、
「ぶっちゃけショボくね?」
「来たってどうっての? ってカンジだよね〜」
「うぜぇ〜(笑)」
「んなこといってっとのろわれっぞ(笑)」
 とボヤいてる修学旅行生を不謹慎とか不真面目と言う気にはとてもなれない。むしろ同情に近い感情
にもなってくるが流石にそれは自分でもどうかと思うので早々に資料館を出て入り口の第三外科壕跡
の前に立ってみたものの、土産物屋らの呼び込みの声が聞こえてきては気分が変わりようもなくて。

 硫黄島での経験から坑道やトンネルに対して火炎放射器や毒ガスを積極的に米軍は使用し同様の
悲劇はひめゆり部隊にだけおこったものではない。とすれば象徴として、そして商売としてここがこの
ようになっているのかもしれんがやはり私にはどうもこのあけすけさは性分に合わなくて。



 琉球ガラス村

 んで、また御土産屋でのお買い物ってなってもねぇ…
確かに色とりどりのガラス製品は綺麗だけど興味、全く無いし。そりゃまぁ百円ショップのモノと比べれば
上等とは思うけれども興味の無い上に喫煙夫婦の部屋にガラス工芸品なんて飾ったって埃とヤニまみ
れになるのがオチだしそもそも部屋に装飾品を置く趣味が私ら夫婦は無いし… 技術もあるとは思うけ
れど、しかし必要の無いモノを買う趣味は無いんだよね… って事で手持ち豚さん、もとい、無沙汰で。
「このガラスの皿は手作りなんだ。その証拠にこのメーカーの品にはどれも気泡が入っている。」
 と振ってみると
「いきなり『ファイトクラブ』かよ。エドワード・ノートンかよ(笑)」
 話が通じる夫婦はいいよねぇ…

 仕方が無いので店舗を出て周辺の散策する事にして、私は駐車場にいた猫に嫌われ、妻は沖縄
限定の清涼飲料水
探しをして滞在時間が終わる頃には本土よりも1時間遅いという日没時間の沖縄
の空も既に闇に飲み込まれようとしていた。



 国際通り

 沖縄と言ったらステーキ! と思って楽しみにしていたものの、ツアー初日に配布された今日の夕食
のオプションが私の大嫌いな鉄板焼きで細切れ肉汁無駄流れ&シェフのパフォーマンスってのに加え
コースの値段を上げても伊勢海老とか余計なモノがつくだけってなのだったのでパスにして、国際通り
を散策しながら適当な店で食べようね… っと決めてはいるのだが、ガラス村を出る時に
「50分くらいでホテルに着きます」
 っとバスガイドさんが言ってから既に一時間以上経過しているにも関わらず未だ那覇の明かりは遠い
渋滞の真っ只中。そりゃまぁ夕方だし沖縄で一番大きい那覇に向かうんだし… とは思うが道路自体
は広いし車の数も名古屋に比べればずっと少ないのに何故に? と見てみるに、なんか車それぞれが
マイペースと言うか勝手と言うか… 車線変更の無茶さよりも渋滞になっていても速く走らせようとして
いる車とノンビリと車間距離をとりまくって運転してる車、その間を縫って走るバイク同様、大型車両の
バスやトラックもなんかマチマチなペースでの運転をしていての結果、って見えなくもなくて。そんな中
を本来の予定時間になるべく合わせようとしてかがっくんがっくん車線変更を繰り返して走る自分達の
バスの様を見てるのはヒヤヒヤしてくる。
「せめて事故ってくれるなよ」
 と思うのはツアー日当日に大雪になってタイヤが時折ズルズルいってた飛騨へのバス旅行以来かも
しんない。

 予定よりも時間がかかっているのを埋め合わすかのように国際通りとその周辺の色々なお店を教え
てくれるバスガイドさんのマイクを記憶にメモしてもまだ着かないのでアレコレと妻と今夜の相談をし
終えてもまだ着かない。窓越しの真っ暗な空には月も星も見えず。街の明かりの数が少ない上に街路
灯も非常に少ないのは台風が多く来る土地で折れるのを避ける為かもしれないがより夜の暗さと寂し
さを感じなくもなし。ファーストフード店もコンビニ店も殆ど本土と大差無くて… っと今回の旅行記の
下書きを考えてみていても時間が過ぎるのに比べると車はあまり進まないのでもぅ諦めて今夜に備え
て眠っておく事にした。

 最終的には当初の予定の2時間近くかかったものの、その分昼間の疲れも気分も減ったところに
明るい町の明かりが輝かしい。予定オーバーでお疲れであろうに笑顔で最後の挨拶をするバスガイド
さんと運転手さんにお礼を言い沖縄最後の宿・南西観光ホテルにチェックイン。
 国際通りに面した利便性の分、昨日までの沖縄サンコーストホテルと比べるといかにもビジネス向け
というコンパクトさそのものはいいとして… とりあえず、それ程買ったつもりは無かった筈なのにいつ
の間にか結構な量になっていたお土産の為に苦しくなっていた旅行鞄のスペース確保の為に着替え
をまとめてコンビニで自宅へと発送してから国際通りに繰り出す事にした。

 まずは地元の人が利用する沖縄で一番のスーパー・サンエーに。
変わった魚が売られてやいないかと冷やかし気分だったがやや遅い時間帯なのもあってごくごく普通
の魚しか見られなかったがランチョンミート(ポーク缶)が¥159って値段に我を忘れて2缶購入(笑)。
だって大垣でもSPAMや他ブランドのランチョンミートも売っているけど大体¥500前後だもの。
「こんだけ安けりゃそりゃぁ県民食にもならぁな。味噌汁の具にも入れるってもんだよ」
「うっそ!」
 さっきのコンビニと違ってここのレジでは「本日のドルレート」が貼ってあってドルでの支払いも出来る
ようになっているのが沖縄ならではだと思う。

 国際通りそのものは修学旅行の子供と観光客用のお店が殆どで繁華街と言うよりはお土産物屋通り
という感じ。チェーン店だかフランチャイズだかは知らんが同じ店の2号店、3号店などがあるから余計
にそう見えるのかもしれんが、殆どの店に「沖縄限定」「ここだけの販売」「修学旅行の皆様には学割」
「本土への送料千円!」ってので、それに見合うようなカラフルではあるが私らのような中年夫婦には
購買意欲の湧かない商品が並べられている店がずっと続いていて。そんな中で米軍放出品ショップが
あったので帽子やらを探してみるものの私に合うサイズが無いので断念。
「米兵は私よりみんな小さいんかー!」
 と思うもののしかし、結局こういう商品を買う客層に合わせた仕入れと在庫からは私は規格外になる
んだろうけねぇ…

キティの如く現地化しようとしていたキューピー。

 観光客と修学旅行生に混じって地元の若者もチラホラとは見かけるが、行き場の無い閉塞感って
よりは何となくノンビリしたダルな空気。どうやら地元の人にはもぅ十分寒いらしくボア付きのダウンやら
皮ジャンを着込んだ子達もいたが、Tシャツで充分な私ら観光客・修学旅行生が浮かないくらいにここ
はそういう繁華街で。

 当初行くつもりだったステーキ屋はオシャレな店先とかなりの価格って観光客向けっぽかったので
パスしてちょっといい感じに寂れた店に入るとそこは地元の若者が喰らいに来る場所っぽくアロハでは
ない普段着の若者らがわしわしと食って談笑していて。お手頃な値段でボリューム満点、多少の焼け
ムラや筋があっても美味しくお腹一杯になる。

 沖縄民謡居酒屋から流れる音楽と喧騒の中、喜納昌吉のポスターがあるとより一層胡散臭く見えて
きて笑える。既にいい時間になっているが、お客さんの姿もお土産物屋の呼び込みの声も衰える事も
無くて。さて、次は飲みに… と思うがステーキ屋以上に観光客向けではない店を探すのはそれなりに
手間で… まぁ腹ごなしには丁度いいけどね… っと歩いていると
「夫、あそこの通り、いい感じの飲み屋多くね?」
「あぁそうだねぇ… って社交街? 駄目。」
「なんで?」
「今はどの程度か知らんが沖縄で社交街ったら所謂【ちょんの間】だった筈。松島の料亭組合とかと
一緒で飲み屋に見えても昔のゴールデン街と同じで二階で… ってトコの筈だもの。今は知らんよ、
これだけ国際通りがこんなになってるんだから。でも、まだ残ってる可能性はあるからねぇ… 」
 そうか、手持ち無沙汰に通りを歩く人達を見ている連中がポツポツいたのはその為か… っと納得
しながらの散歩の末、結局バスガイドさんが言っていた居酒屋に行く事にする。
 狭い店内は本当に賑わっていて、ここも観光客向けってよりは地元の人向けで値段も味もボリューム
にも満足しての仕上げに明日の疲れを残さぬ為にとハブ酒でシメて、ふらりふらりとホテルへと戻る事
にした。



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