USA−P in 沖縄
・ 11月27日 (月) 前編
若干の雲は残ってはいるものの青い空。地面やらが濡れているので昨夜の雨は本当だったようだが
Sound of Silenceげな雷の光景はどこか夢のようだったな… っと思いつつチェックしたTVの天気予報
が言うには午前中の降水確率は70%…
ま、スコールとかは勘定に入れられないしな。
っとヤサグレ気分でサングラスをかけ荷物を手に部屋を出る。フロントに鍵を返して出ると空には確か
に雲はあっても青い色の方が多くて。ふと、二日間お世話になったホテルを改めて見る。
実は気になった事があったが何せ身銭を切っての宿泊ではないし、防音もちゃんとしていて不自由し
なかったのだからまずは感謝。そしてバスに乗り込み今日まず一番に向かった場所が…
▼ 御菓子御殿
女性社長による会社、なんだそうだが入ってみて納得。御菓子が箱ではなく1個単位・バラで購入が
出来るというお気軽さもさる事ながらそのお菓子のパッケージの可愛らしさ、店内のデザイン&カラー
リングといい、従業員さんの制服の可愛らしさも含めて非常に細部まで心配りが届いていてこういう店
は個人的には凄く好印象。
その気は無かったのについついお土産を購入するついでに店内のカフェコーナーでチーズケーキと
紅イモムースを妻と共に食して朝のおめざにしてしまう。
「いやぁしかしよく考えてあるねこのツアー。最初の日はまず休養して、体力のあるウチに歩きと観光を
してその日は同じホテルで宿泊で、翌日はもぅ買い物中心にしてさね、んで明日は朝ノンビリして午後
に帰るってねぇ… 」
「色々な試行錯誤もしての結果、なんだろうね… 」
っと妻共々感心してたんだけど、感心してたのは我々だけではなく今回のツアーの添乗員さん達もで
何やら所々でデジカメで店内撮影をしていて。聞けば店内に泡盛コーナーとか新たに追加? 拡張?
した部分があるそうなのでそのチェックと報告用なのだとか。現状に満足する事なく常に気を配る社長
なんだろうなぁ… っとバスに戻ると一人づつにお店から「こんぺん」をプレゼント、って徹底ぶり。さして
お買い物には興味の無い私ら夫婦でもホトホト感心しっぱなし、でありました。
(個人的にはこの店には今も好感を持ってます。お菓子以外にも様々な品の通信販売(お菓子の単位
も値段もお手頃、送料は千円!)もしてますので興味のある方は是非チェックしてみておくんなまし〜)
▼ 万座毛
琉球の王様が「万人が座して眺める価値のある場所」と言った場所だけあってなかなかの風景。
崖に柵が無いから見やすくていいよね…
茅打ちバンタでもそうだったが、崖に柵らしい柵なんて無いし、注意を呼びかける看板も殆ど無い。
自殺したい人間にはとってもしやすい場所だと言えるがしかし…
こんなに海も空も青くて、暖かくてのんびりした場所じゃぁ、まぁ自殺する気にはなれないだろうなぁ…
ホント、色々な形の岩もあるねぇ… っとただただ感心していると
「ここには【めおといわ】もありますよ〜 ちゃんと【しめなわ】で繋がってるんですよ〜」
っとバスガイドさん。
… 夫婦岩? 注連縄?
聞き間違いかと思ったのだが
実際にそこにある風景として観るに、ちょっと複雑な気分になる。
そりゃまぁ全国に夫婦岩と呼ぶ場所は10数箇所あるが、その元祖と言うか本家本元ったら三重県
伊勢の二見興玉神社じゃぁないのか。っかそもそも注連縄だって神道の筈だし。歴史的に沖縄にも
神道が伝来してはいるだろうけれども「万人が座して眺める価値のある場所」と名付けた王様が神道
の人だったのだろうか? そんな事に拘るのは瑣末かもしれない。確かに猿田彦命どころか神道に
何の関係も無い夫婦岩が大半であるにしてもしかし… 金剛石林山の時も思ったのだが自らの国の
歴史、文化に関わる場所に、本来ならば関わりの無い・薄いもの・事・要素を一緒にしてしまうのは
私にはどうにも気持ち的に納まりが良くない。
巧く例えられないんが… これが自らの歴史や文化はどうでもいい、という土地とか場所であるなら
私はこんなに気にする事は無いんですが… 巧く例えられないし沖縄の人間でもないのに何でこんな
事が気になうのか自分でもよぉ解らんのだけどね、でも、実家が寺って私からするとこういうのっては
見ていてもスッキリしねぇっか、「わぁ〜」「すごぉ〜い」と素直に楽しめない、と言うか、なんか、ズレと
言うか、チグハグと言うか、見ていて奇妙と言うか、落ち着かないっか…
ま、そんなのを気にするのなんて極々少数なんでしょうけども、ねぇ…
…と、一昨日から見てきた沖縄の景色に感じていたもやもやとしてハッキリしなかった不満と言うか
物足りなさが少しづつ形になってきはじめて…
▼ 琉球村
沖縄の歴史的、伝統的建造物等を見られる、って事で明治村やリトルワールドのようなもので。
陽射しはますます強くなるばかりで流石にヘタばってきたのもあるが、思っていたよりも狭い園内に
配置されている建物の小ささと管理があまり良いとは言えない状態に加え、別料金のハブショウ館など
コンセプト的にもボケた印象を受けてテンション、大幅にダウンする。
伝統衣装を着て水牛を連れて歩く人とか悪くないものもあるけれど、
広場での沖縄歌謡ショウのレベルがどうもイマイチだったりするのもあってか、気楽に楽しもぅとする
気分では次第になくなってきていて。まだまだこれから回る場所もあるのに何とか気分を盛り上げたい
とは思うものの、疲れそのものよりホテルや店やらで感じていたささくれにも似た気になる、引っかかる
事がなんかここでまた繋がってきてしまった気分になって。
▼ 海中道路
「海上に設置された道路としては日本一の長さなんですよ〜」
とのバスガイドさんの説明のマイクもどこか遠く聞こえて。
そもそも沖縄に来てというもの日本一、沖縄限定、沖縄が、沖縄は… ってのを何度聞かされたか。
独自の文化があるのは見れば解る。そこにいちいち比較をするのは分かり易いモノサシになるのかも
しれないが、だがそれがそのまま価値になるか? と言えばまた別の話になるのではないのか?
… と、バスガイドさんの話を聞きつつも半分眠りながらボンヤリ思っているうちにPAに到着。
トイレ休憩と軽食を兼ねた短めの自由時間にとりあえずバスを出て小用を済ませ展望台に上ってみる
事にする。綺麗な風景が広がっているし時間潰しの為にとりあえずカメラを手にしてシャッターを押す。
綺麗な道路が長く長く続いていた。
青い空が広がり、太陽が眩しく輝いていた。
陽光に様々な色を見せる綺麗な海があった。
だが、以前訪れた山口の角島大橋を見た時のような感動も、ときめきも、何もここには感じない。
長く道路は続いている。空も青いし、海も青い。だがそれがどうしたというのか。白い砂浜、緑のソテツ
に様々な色の花々がある。だが、それが一体何だと言うのか。徹底して管理されたものでもなければ
雄大に悠々とあるがままの自然でもない。綺麗ではある。この展望台にしろ。でも、だから、何だ?
展望台の階段を降りながら、これまで感じてきて、今抱いた気分が一つの言葉として頭に浮かんだ時
煙草を吸っている妻を見つけたので言ってみた。
「倦んだ。」
妻は笑った。私も煙草に火をつけつつ、続ける。
「青い空も青い海もソテツにも、道端のサトウキビ畑もコンクリートのお墓にも沖縄限定も日本一にも。
厭んなった、ってんじゃぁなくて倦んだ。」
「妻もね… なんか厭きたってんじゃなくて倦んでるよ」
「なんでなんだろうね… 決して嫌な事があったワケじゃぁないし何がどうこうってんでもねぇんだけど、
なぁんかこぅもぅお腹一杯っか、もぅいいよ、って思っちゃったんだが… そうか、妻も、か… 」
「なんでなんだろうね… 」
妻もよく解らないらしい。私もよくは解らない。でも確かに倦んだ、という気分が共にあるのは解る。
「あっちから砂浜に行けるようだけど… 行く?」
「ううん。いいや、別に。」
「そっか。」
私達は煙草を消すと、やや時間はあるがバスに戻る事にした。
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