『アンダーカバー・ブラザー』  − 2004/04/21


 
馬鹿は馬鹿なんでやる事なす事本当に馬鹿なんだけど、
 馬鹿は馬鹿なりに頑張って世界征服しようとしている馬鹿を倒す


 … という映画はいくらでもあるんだけど、結局お話の構造としてっか骨子がこれしか
無い以上、主役の馬鹿のキャラクター設定と織り込むギャグでの差別化をしなければ
ならないんで実はとても難しく、それこそ
「バナナの皮を使ったスキット」
 の如く、最早バリエーションには限界が出ているのでアレンジ勝負ってな事になってる
んだが、この映画の場合は「アメリカ社会における白人支配の社会と黒人」ってのを軸に
した部分での目新しさがポイントなんだけど、更に捻って
白人も黒人も馬鹿ばっか、って
した所に大いに笑ってしまう。


 人種差別ネタを微妙にズラしてマイルドにしてある点といい、ネタのバカバカしさも含めて
個人的にはこれも結構好きな馬鹿の映画なんだが、この映画が実に惜しい点が主人公役
クリス・カッタンが主にスタンダップコメディをメインにしたTV番組の主役であるせいか、
画面の構成だけでなく彼の動きや演技のそれが実にTV的と言うか、メインのスタンダップの
それで肩から上の動きはいいんだけど全身での… となるとイマイチ
な点。
 その分、カースタントや他の出演陣の動きでカバー出来ていないし、動きでのギャグよりも
言葉でのギャグが多いのもあってビデオ(dvdで、ではない)のレンタルには充分であっても
それ以上のインパクトが私にはあまり無かったなぁ…


『裸の〜(ランチは除く)』シリーズのレスリー・ニールセン主演作と比べると若者向けだからか
テンポはメチャクチャいいのでツルっと観られたんでコレ、TV放映とかされるのならダラーッと
考え無しに観るにはいいですよ。


 まぁ、上記の
 
 馬鹿は馬鹿なんでやる事なす事本当に馬鹿なんだけど、
 馬鹿は馬鹿なりに頑張って世界征服しようとしている馬鹿を倒す


 って映画についてこの際だからもうチョイと書くと、

『ズーランダー』はとにかく洒落ていて好きだし、
『アリG』は底意地の悪いギャグが好きだし、
『アンダーカバー・ブラザー』はテンポの良さが好きだし、
『裸の〜(ランチは除く)』シリーズの下品さと下らなさが好き。

 だけど『オースティン・パワーズ』シリーズはねぇ…
『ズーランダー』よりは下品な上に下らないし、
『アリG』よりは洒落ていて、
『アンダーカバー・ブラザー』は底意地が悪くて、
『裸の〜(ランチは除く)』よりはテンポが良いいんだけどそれだけで、マイク・マイヤーズの
神経質さも鼻について嫌いですな私。

 まぁ自分の父親との思い出と、その父親を亡くしたショックから立ち直る為に… ってのが
製作動機だった、セルフィッシュな作品と馬鹿の映画を比べる事はナンセンスですけどね。

 日本でもこういう乾いた馬鹿の映画って作れないもんなのかなぁ…
まぁ日本では基本的に「笑い」もまたウェットである事は承知してるんだけど、いい加減大声
を出すのが笑いって形式、図式(スタイル)ってどうにかならんものなのかなぁ… あと、ヨソ
からのパクリの多さと、ネタの狭さと…(以下略)

(まぁ識字率の高さもネックなのかもしれませんけどね…)



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