・『Hot Fuzz (2 Disc Special Edition) With Limited Edition Artcards (2007)』(PAL) - Region 2





 Studio: Universal Pictures Video
 Theatrical Release Date: February 14, 2007
 DVD Release Date: Jun 11, 2007
 Run Time: 116 minutes
 Number of discs: 2

 Aspect Ratio: Widescreen - 2.35:1
 Available Subtitles: English
 Available Audio Tracks:
 English - Dolby Digital 5.1 EX

 Special Featuers:

● Disc 1:
 
 ・The Man Who Would Be Fuzz ( :35)
 ・Outtakes (10:23)
 ・Storyboards
 ・Fuzz-O-Meter (Trivia Track)
 ・Trailer (4)
  ・US Theatrical Trailer (2:34)
  ・UK TV Spot #1 ( :33)
  ・UK TV Spot #2 (:33)
  ・Director's Cut Trailer ( :59)
 ・Flick Book: The Other Side ( :23)
 ・Commentaries (4)
  ・Feature Commentary with Simon Pegg and Edgar Wright
  ・Feature Commentary with The Sandford Police Service
  ・Feature Commentary with The Sandford Village People
  ・Feature Commentary with The Real Fuzz (chief Officer)
 ・Hot Funk (3:34)

● Disc 2:

 ・Inadmissible: Deleted Scenes with Optional Filmmaker Commentary (22)
 ・Speculative: Video Blogs (13)
 ・Photographic: Galleries
  ・Poster Galleries (11),
  ・Photo Galleries (37)
 ・Falsified: Dead Right
  ・Am Blam: Making 'Dead Right' (10:30)
  ・Dead Right (1993) (40:23)
  ・Edgar Wright Commentary
  ・ Simon Pegg & Nick Frost Commentary
 ・Conclusive: Making of Documentary (29:34)
 ・Forensic: Featurettes
  ・Art Department (4:51)
  ・Friends & Family (5:11)
  ・Cranks, Cranes & Controlled Chaos (5:31)
  ・Here Come the Fuzz (4:19)
  ・Return to Sandford (11:09)
  ・Edgar and Simon's Flip Chart (14:04)
  ・Simon Muggs (2:09)
  ・Sergeant Fisher's Perfect Sunday (1:02)
 ・HEARSAY:
  ・Plot Holes (3)
   ・Crush the Messenger (1:22)
   ・The Notebook ( :59)
   ・The Big Bang (1:02)
  ・Special Effects: Before and After (8)
   ・First Ka Boom
   ・The Aftermath
   ・Grisly Fete
   ・Sheer Horror
   ・Farmageddon
   ・Flying Astra
   ・Inspired Demise
   ・Final Ka Boom

 ・3 Artcards (Amazon.uk only)

 Nicholas Angel(Simon Pegg)は運動神経抜群で頭脳明晰、類稀なる逸材は警察学校開校
 以来、主席で卒業後もロンドン警視庁での活躍もめざましく市井の犯罪からテロリストまで
 あらゆる悪と戦い若くして既にSergeant(inspector(警部)の一階級下)にまで昇進するも彼
 の望みは出世ではなくあくまでも犯罪の撲滅であったのだが、あまりにも優秀過ぎる為に同
 僚はおろか署長にまで煙たがられて首都ロンドンからは遥か遠くの片田舎Sandfordへの転
 勤を命じられてしまう。

  共に犯罪と戦う仲間と思っていた同僚の誰一人として見送りも無く。これまで職務一筋、
 警官である事に人生の全てを捧げてきたNicholasは既に妻にも去られた上に彼女には既に
 何人目かの恋人もいる状態で、一人ぼっちでSandfordへと赴くのだが犯罪と言っても未成年
 の飲酒や飼っていた白鳥が逃げただの実にノンビリとした田舎町で、町の警察では署長以下
 昼間はノンビリとお茶とケーキ、夜はパブで一杯という毎日。
 「ここは平和な町だよ〜 殺人とか凶悪な犯罪なんてこの20年起きてないんだから」
  と言われ、あたかも職務ロボットの如く生きてきたNicholasは自分自身を持て余してしまうの
 だが、ある自動車事故に犯罪の匂いを感じる。同僚らはNicholasの言う事を信用せず事故だ
 と言うが署長の息子で刑事映画マニアのDanny巡査だけが興味を持ち共に捜査を開始。
  それを嘲笑うかのように事故に偽装した殺人事件がNicholasの周辺で続いてゆき…


  07年、イギリスだけでなくアメリカでもヒットした『Shaun of the Dead (2004)』の監督&脚本
 &主演コンビの最新作でございます。兎に角『Shaun of the Dead (2004)』が好きだった私と
 してはリリースを知るや否や予約をし到着したその日に鑑賞してしまいましたが、いやぁ楽し
 かったですよ〜。

  ギャグのネタがまた細かいのから大きいのまで様々なのを取り混ぜた上で実はギャグの
 ネタが伏線だったりする密度の高いミステリーでいっておいて最後がブラックハイマーっか
 ハリウッドばりのド派手な銃撃戦にカーチェイスのアクションって盛り沢山なのを才人監督
 Edgar Wrightは今回予算も増えた以上に元々の色彩感覚とカット構成の上手さに繋ぎ方が
 ベラボウに進歩してテンポ良く最後まで行く編集の巧さと相まって、まさに映画ならではの手
 間と人材と情熱に満ちた豪華さには満足しましたが…

  うん、映画として満足したんですけど、悩ましいんですよね、本作。

  私がパロディ元の1つである『BAD BOYS II BAD』等を観ていない、ってのも含めても前作
 とどっちが好き?って言われたら間違いなく『Shaun of the dead』と言ってるだろうなぁ…
 映画としての完成度から言えば間違い無く『Hot Fuzz』、なんですが、ミステリーの謎解き部分
 での台詞の多さ(またそれがダブルミーニンングになったりギャグになっていたりする)につい
 ていけなかったのもあるんですが、『Shaun〜』と比べると物語の結構肝心な部分の抜けが
 多いんですよ。「穴」ではなく、あくまでも「抜け」。で、特典ディスクの削除シーンを見るとほぼ
 全部が第二の殺人までの小ネタ集といった様相でそれを観て得心する箇所って多かったん
 ですよな。それはやっぱり「抜け」ではないかと。

  でも、それだけカットしていても約2時間って本編に無駄が無い。本当に無い。呆れるくらい
 ミチミチにギチギチギリギリに無駄を排して成立しているのがよく解る。削除シーンを入れる
 と物語として穴が無くなり深みも出てよくなってもテンポが落ちるし多分飽きるのとギリギリ
 な境界線上にある、ってのも良く解るんですけどそれだと抜けがある、ってのは…
  普段私がレビューでよく使う「惜しい」ってんじゃぁなくて、よく出来ているんだけどよく出来て
 いるからこそ抜けが気になるんだけどじゃぁその抜けをどう埋めるのか?どこを切ってどう
 入れるべきなのかが解らない。ややクライマックスの銃撃戦が長い気がしなくもないんだけど
 それは一般映画としてでパロディとしてとなるとまた別だしそれらを削ると全体のバランスが
 崩れるだろうしなぁ… っと、実にまぁ悩ましい出来でしての。

  とは言えギャグは相変わらず笑えました(小さいネタでもタイミングや美術やら手を抜いて
 いないのがこの映画は本当にいい!)し、何より画面が本当にいい。
  それに役者の使い方、特に年寄り連中の巧さと配置のバランスがもぅたまらんです。元々
 イギリス映画における俳優の上手さってのもあるんですけど、それを映画として実に良く活か
 してるんですよなぁ… 一応ミステリー部分もあるんでこういう書き方しか出来ないんですが、
 落差のつけ方をキチンと演じてみせたのを監督らが更にカッコ良くして魅せてくれるんです。
 そん中でも胡散臭い田舎のアメリカ被れの金持ちジジイを好演したティモシー・ダルトンが
 ねぇ… メイキングでの素のカッコ良さが微塵も無くて本当にいい!(笑) 007ん時の酷薄
 な雰囲気の印象が好きだった私ですが、アメリカ被れげな初っ端からもぅ胡散臭い田舎町の
 悪役って感じは時にキュートですらありましたよ。

  日本人なんで、イギリスのド田舎でド派手な銃撃戦やカーアクションってギャグの馬鹿馬鹿
 しさが多分、イギリス人やアメリカ人に比べるともひとつピンとこないってのはありましたが楽
 しかった一作ではありましたよ。ただ『Shaun of the dead』ん時みたいに狂喜乱舞、隙あらば
 オススメ!とはちょっと出来ないなぁ… とは思いますが、今年個人輸入してきたDVDん中で
 は間違いなくダントツで楽しんだ一品だと思いましたよ〜

  …という感想はさておき、DVDソフトとしましては。

 ・
今回はAmazon.ukのみのポストカード三枚付きセットを購入しました。カードそのものは上の
 ジャケ下の3つがそうで絵柄が暑苦しいのを除けば紙質、印刷等は可も無く不可も無くって
 事でオマケとしては悪くないかな?
  紙製のアウターケースに特に仕掛けやらがあるものではないのはちょっと残念でしたが…

 ・
画質、音質は良好ですね。シャープで綺麗な発色、クリアーな音響といいDVDソフトとしては
 非常に出来がいいのではないでしょうか? 個人的には久々に綺麗な画面と音のDVDを観
 たなぁ〜っと満足しましたよ。
  ただ字幕が出るのが若干遅い。もしかすると私のDVDプレイヤーのPAL→NTSC変換の
 都合なのかもしれませんが今まで特にPAL版ではなかった事だけに今回のワンテンポ遅れ
 ての字幕表示は台詞が非常に多く重要な映画なだけにちょっとウザかった気はします。

  あとメニュー選択時にアニメーションがイチイチ入るのはちょっとウザったくもありましたな。

 ・さてDVD特典ですが… これはもぅ豪勢でございます。っか多過ぎ!(笑)

 
「The Man Who Would Be Fuzz」は本編のシーンを別の人間がアテレコしたショートムービー。

 
「Outtakes」はNGシーン集。

 
「Storyboards」をオンにすると画面右上に警察バッチのマークが表示されるようになり、表示
 されている間に「Enter」を押すとそこからのシーンのストーリーボードっか絵コンテが表示され
 るというものなんですが、総数270枚って… 自分で方向キーを押す事で読み進めるタイプ
 ですんでジックリと鑑賞したい人にはうってつけかも。

 
「Fuzz-O-Meter (Trivia Track)」をオンにすると画面にネタ、小ネタ、裏話等のトリビア(英文)
 が表示されるというもの。Subtitleと同じフォントなんで読み易いかもしれませんが、撮影場所
 から楽曲、ノンクレジット出演者の経歴やら台詞の元ネタ等々、あまりに出過ぎる(笑)のは
 『Shaun of the Dead』ん時と同様ですな。

 
「Trailer」、何故かイギリス版なのにアメリカ版劇場予告編が収録されております。個人的に
 は説明し過ぎない「Director's Cut Trailer」の方が好み、かなぁ?

 
「Flick Book: The Other Side」は本編でメモするフリをして実はパラパラマンガを描いてた、
 ってネタのパラパラマンガの違うバージョン。御丁寧に音声付でどうぞ(笑)。

 
「Commentaries」も無駄に豪華ですが、特筆すべきは本作の監修、協力にあたった本物の
 警官Chief Officerのお二人によるもので、映画の裏話だけでなく実際の警官の研修や勤務
 についてのお話など盛り沢山であります。

 
「Hot Funk」は「TV放送用に台詞をソフトにしてみたら版」 ってので、『Cabin Fever(2003)』
 あった「Family friendly version」を思い出しましたが… そう言やぁ本作の監督エドガー・ライト は『Cabin Fever』『Hostel』のイーライ・ロスとは2歳違うだけで誕生日は一緒、ってのもあるん
 ですけどタランティーノとロバート・ロドリゲス競作の二本立て映画『Grindhouse (2007)』にて
 共にfake trailerで参加しているのもあるんでなんかお互いに意識する部分はあるかも?

  …って、ここまででやっとディスク1の特典分。ディスク2もまたみっしりとありまして…

 
「Inadmissible: Deleted Scenes with Optional Filmmaker Commentary」は殆どが尺の都合で
 カットしたエピソードの数々、であります。これが入っていたならば物語としての完成度は上
 がったでんしょうが映画としての完成度が上がったワケでも無い、ってのが実に悩ましいと
 思いましたなぁ…

 
「Speculative: Video Blogs」は多分公式サイトでやっていたもの。撮影の裏側、トレーニング
 の様子等を伝えつつもネタでもあり、ってなのが2〜4分の間にまとめてあります。

 
「Photographic: Galleries」は「Poster Galleries」「Photo Galleries」共に静止画コンテンツ。
 それぞれ自分で次のにするタイプです。ちなみにAmazon.uk独自特典のArtcardはポスター
  の右で進めての2、3、10番目のが元になっております。「Photo Galleries」に収録の写真は
 現場の撮影風景や休憩の様子、劇中の別アングルからのと色々な材料で更生されてます。

 
「Falsified: Dead Right」はエドガー・ライト監督の初監督作品、19歳の時にお父さんのビデオ
 カメラを黙って持ち出して作った自主制作映画で『ダーティハリー』第一作を元ネタにしたもの
 であります。刑事映画も好きだった、との事ですが… 流石に後の片鱗と観れなくもない部分
 も無くもないのですが所詮VHS撮りの自主制作、素人の学芸会よりは若干マシって程度です
 が、御丁寧に監督のだけでなく全く関係の無いSimon PeggとNick Frostに音声解説をさせる
 あたりは監督特権、なんでしょうかね?(笑)

 
「Conclusive: Making of Documentary」は本編の映像、舞台裏、キャストやスタッフへのイン
 タビューを交えたものです。TVの特番をそのまま収録、って感じですかね? コンパクトです
 が番宣番組としてよくまとまっております。

 
「Forensic: Featurettes」はそれに収録しきれなかった撮影現場の舞台裏の素材をテーマ毎
 にまとめたもの、でありますか。ネタ寄りな「Speculative: Video Blogs」よりは素に近い感じで
 すかね。

 
「HEARSAY」のうち「Plot Holes」は『Shaun of the dead』にもあった本編の抜けをそれぞれの
 登場人物がマンガのような絵コンテを元に解説するというものです。ただ、ラストの【アレ】に
 ついての説明があまりにもアレで、本当にそんな事はどうでも良かったんだな(笑)ってのが
 よく解りましたな…
 「Special Effects: Before and After」
はCG加工による特殊効果の様子を段階的に見せるって
 もの。意外と効果を使ってないようでこの辺の割り切り方も感心しましたね。



  …っと、まぁディスクの空きに詰められる素材は出来るだけ詰め込むという方針のせいで
 確認がえっれぇ大変でございましたが、その分ソフトとしてはお買い得と言えるのではないで
 しょうか?
  本編も再見してみて改めて伏線の細やかさとそれを収束させる手腕の上手さがよく解る
 くらいにキチキチに作り込んだモノですし、いやぁコレはDVDソフトとしてはかなりいいブツ
 じゃぁないんでしょうかね? って事で近頃楽しい映画に出会えていないとお嘆きの方には
 オススメしますよ〜


輸入版 MOVIE Index

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