・『Happy Feet (Widescreen Edition) (2006)』 - Region 1


 Studio: Warner Home Video
 Theatrical Release Date: November 17, 2006
 DVD Release Date: March 27, 2007
 Run Time: 109 minutes

 Aspect Ratio: Widescreen - 2.40:1

 Audio Tracks: English, Spanish, French
  (Dolby Digital 5.1 EX)

 Available Subtitle: English, Spanish, French

 Special Features:
 ・Mumble Meets a Blue Whale
 ・A Happy Feet Moment
 ・Private dance lesson with Savion Glover
 ・music videos
  ・Gia "Hit Me Up"
  ・Prince "The Song of the Heart"
 ・Classic cartoon: I Love to Singa
 ・Trailor

 ・粗筋等は

  ●日本版オフィシャルサイト
  http://wwws.warnerbros.co.jp/happyfeet/

  ●オフィシャルサイト (英語)
  http://www2.warnerbros.com/happyfeet/

  を読んでみてくださいまし。

 自分の場合、特にペンギンらに思い入れは無いんですけど『March of the Penguins (2005)』
 の冒頭の予告集にあったジャミロクワイの曲でタップをカマす子ペンギンの可愛らしさと映像
 デティールの凄さ、そして監督が『ベイブ (1995)』の製作・脚本のジョージ・ミラー… って事で
 ちょっと悩んだんですが何せジョージ・ミラー監督作品で好きなのが特に無いしで
 「果たして劇場で観るべき映画なんだろうか?」
  と迷ったもんでUS版DVDでの視聴になったんですが…

  映像の密度が本当に凄いので劇場で観るべき価値はあるとは思うんですが、肝心のお話
 がどうにもノれないと言うか…

 ・Priceの『Kiss』で登場する主人公マンブルのお母さんの名前がノーマ・ジーンで、エルビスの
 『Heartbreak Hotel』で登場するお父さんの名前がメンフィス、ってのはまぁ解り易いギャグだ
 と思ったんだけど、結局ペンギンを擬人化しただけでなく人種まで持ち込む必要が果たして
 あったのか? っとなると非常に微妙ぅな気がして… まぁ類型的っかギャグとしてはよくある
 ものなんだけど、そうやって類型的にして解り易くするってのも何故そうするか? って必要
 や意味があっての事であって、当然のように出る人種ギャグもアリなんだろうけど、でもそれ
 ってお約束かもしれんけど
 「だけどさぁ… でも、それじゃぁあえてペンギンにした意味ってどうよ?」
  って思う自分がいるんですよ。
 卒業式んトコとかやってる事は実にアメリカ的でそのアメリカ人が皇帝ペンギン、ってので、
 一応アメリカ人だから黒人系の喋りをするのもいるんだけどデブ系なのに比べると白人系
 はスリムかマッチョ。他の種類のペンギンは出てきても当然皇帝ペンギンよりは小さいヒス
 パニック系のアミーゴ達やラスタなラブレイスは享楽的で考え無しの方向で。東洋系は見当
 たらないし… っと、まぁなんだか私には白人優位主義的っかアメリカ中華思想的に思えれ
 て、どうにもこぅノリきれないんですよな。

  で、相変わらずシャチは悪役だし、っとこれまでの動物映画やドキュメンタリー物の枠から
 は食み出て無いキャラクター造詣は非常にオーソドックスで『ファインディング・ニモ (2003)』
 のシニカルさを経験していると、もぅ物足りない… そりゃまぁ『シャーク・テイル (2005)』みた
 いな必然性も意味も薄い擬人化よりはいいかとは思うんですけど、物語で果たす役割から
 考えてみるになぁんか類型的である事が物語の為になっていないって時点でワリとルーズ
 に見えてしまうんですな。必然性があってそうなってるんじゃぁなくて、単にそういうもんだと
 思い込んでるだけ、っとしか見えないと言うか… そういう点で差別的でもある、と言えなくも
 ないんですがだからこそ
 「でも、それじゃぁあえてペンギンにした意味ってどうよ?」
  って私なぞは思ってしまうんですけども…
 
 ・んでもって、人物造詣がルーズなのと同じくらいお話もルーズっか適当って言うか…
 マンブル君がまだ子供時代、カモメだかに食物連鎖を語られる部分とかは巧いと思ったん
 ですが成人後がねぇ… 私は物語の規模を異端であるマンブル君のアイデンティティ確立
 の物語だと思っていたんですよ、人物造詣の浅さからいって内面よりも画面だろう、って…
 しかし実際の本編ではよりデカくなって海洋資源の保護ってなるんで
 「どうやってまとめるんだろう?」
  と思ったのをとりあえず何とかまとめる事は出来たけど根本的な解決にはなってはいない
 ラストでは。乱獲防止って点で映画を観る人に出来る事が少ないってのもあるんですが、
 「人間が与えてやる事で得られる」ってのではカタルシスになるか? ったらそうはならんで
 しょうに。まして環境への問題ったらCo2による温暖化とか色々、一杯、山積しているじゃぁ
 ないですか。だけど「南極周辺での漁業は止めたからみんなハッピー!」って何かねぇ…
 勿論、環境問題に安易な解決策なんてのは無いけど、と言ってごくごく一部、局地の対処
 だけで全部オッケーってのは間違ってやいませんか? っと。
 
  そういう物語の中でまだ主人公の成長なりがあればいいけどそれも無し、結局マンブル君
 はアイデンティティを確立したワケでもないままに迎えたエンディングで、彼が一度追放され
 たコミュニティへの復帰が結局Alien(人間)によって与えられたものに過ぎない、ってなのに
 やってるダンスにしても他のペンギンが本当は皆ちゃんと踊れるという事実の前ではなぁ…

  加えてそこまでの物語が伏線が回収しきれてなかったり… 例えばマンブルと父の対立と
 和解やグロリアとの再婚? ナドナド、物語として結構重要だからもうちょっと尺をかけて話
 にすべき点をちゃんと描いてないから何もかもが御都合主義、強引で説明不足で納得も
 共感もしかねる部分が少なくないし、あれだけの映像の密度でのリアリティがある一方、
 例えばグロリアの子沢山(皇帝ペンギンは卵1個でしょ? 一卵性多生児にしたって五つ子
 はねぇでしょ… 大体コロニーにいる皆が丸々つやつやしてる中であの子沢山じゃぁ食料
 危機って全ッ然伝わらないんですけど)とか、なまじ映像がリアルなだけにお話のデティール
 のおかしい点で白けるんで没入出来ないんですよね。

  折角、ダンスもまた己の心にある喜びや悲しみ等の様々な感情の発露であるという設定に
 したってのにそれが生きてない、ってのもぅどうしたものかと。水族館でのあの交流部分を、
 例えば最初はコミニュケーションが取れない絶望と自分や情況への怒りから通じた!?って
 驚きと伝わる事への喜びってするだけでもかなり印象が違った筈なのにそうはなってないし、
 先述したけどマンブルだけが特別に踊りが巧いワケではないって時点で説得力やカタルシス
 に結びつかないし、そもそもダンスシーンにしたってCGの映像としては凄いんだけど、ミュー
 ジカル映画としては「並」だと思うしセクシャルなブラックミュージシャンのナンバーはお話、
 劇中の場面の情況とのマッチングがあまりにも薄い… プロムのグロリアがマンブルに捧ぐ
 『Somebody to Love』ぐらいですしね… のではよく踊っていて賑やかな画面ではあるけれど
 映画としての必然性も薄いんですよな。

  …っと中盤から最後まで観ていてノりきれない、個人的には「もひとつ」って出来だと思った
 作品でしたわ。

  いやもぅ映像の密度は本当に濃くてギリギリCGアニメでやる必然性もあると思いましたし、
 マンブル君らの中の人を担当したSavion Gloverは本当に凄いとは思ったんですが、やっぱ
 脚本(ホン)がなぁ… 普通、脚本があんだけアレな作品でここまで感想っか雑感を書く気に
 はならないんですが、でも本当に映像は美しいと思ったからこそ余計に脚本が残念だなぁ…  っとダラダラ書くくらいに映像は本当に凄いんですけが… ただBBSキングコングニー氏
 がこの映画についての御感想で指摘されたように環境問題を扱うにしてはいい加減なんで
 すよ、これでは。確かに子供の頃のマンブル君は可愛いんですが、中身がねぇ…

 ・って事で、以下はこのDVDについての情報。

 ・PCのドライブに入れるとWB専用プレイヤーのインストールをするかどうか聞いてきます。
 しなくても再生出来るんですがここはネタの為… と導入してみますとWBのサイトに行ける
 リンクボタン付のプレイヤーでの再生ってなるんですが
何故かずっと音楽が鳴り続ける仕様
 に変更されてしまいます(涙)。アンインストールしても消えてくれやしませんし、WMP経由じゃ
 ないんで復元しないと無理目っぽいで間違ってもインストールはしない方がいいでしょう。
  アンインストールしてもレジストリィ等にゴミがそれなりに残りますしな…

 ・画質、音質は良好であります。綺麗な画面で綺麗な音、問題は全くありません。

 ・さて、特典ですが…
 
「Mumble Meets a Blue Whale」は、本編よりカットされたシナリオをちゃんとCGアニメ化した
 ブツのようです。船を追いかけるマンブル君がクジラと出会う、ってモノですが… まぁコレは
 尺以前にカットされて当然だったかな? っと。
 
「A Happy Feet Moment」は小ネタで本編を観る前なら笑えたモノでも本編視聴後は… 父親
 メンフィスのマンブル君への思いがあるだけに、あんまり素直に笑えないんですよね…
 
「Private dance lesson with Savion Glover」、特典のイチオシでしょう! マンブル君らの中
 の人であるSavion Gloverによるタップダンスの解説なんですが実技が本当に素晴らしい。
 この人がいたからこそこの映画が成り立っているんですが、いやもぅ凄い。しかもこれは子供
 向けの解説なんでレベルを多少落としての喋りながらなんですが、それでも彼氏が凄いのは
 よぉ解りました。
 
「music videos」はPVです。どちらも本編の映像がふんだんに使われているものですので、
 可愛らしいマンブル君を堪能するにはいいかもしれません。
 「Classic cartoon: I Love to Singa」はクラッシック一家のフクロウに生まれたジャズ好きの
 子フクロウの短編アニメでIMDbによれば1936年製のようで… 『March of the Penguins』
 昔のLooney Tunesを収録していましたが、WBはこういう資産って点も強いですよな。
 
「Trailor」何種類もある中からアミーゴス達のバージョン1つのみ収録。私的にはマンブル
 君が海際で踊る初期のモノ(タイトルロゴのデザインが全然違う)も収録して欲しかった…

 ・またこのDVDには「Sefoot WATCH」なるカードが同梱されていまして、コレが何かと言うと
 「稀少、減少傾向・状態にある海産物は食べず、養殖やとりあえず種の危機には遠い安定
 して得られる海産物を食べましょう」って為に、「Best Choice」「Good Alternatives」「Avoid」
 と項目別に魚の名前が書いてあるもの。本編前の予告集にも海洋資源保護を謳う広告が
 収録されております。
  本作のテーマに沿ったものって事でこういう試みもアリなんでしょうね。
 そう言えば公式サイトには海洋資源保護関連の情報やリンクもあった筈ですが日本版には
 ありませんでしたなぁ… 考える、意識をする、って事そのものは悪くはないとは思うんですが
 しかしキングコングニー氏も指摘してますが「結局は食卓に上がる海産物だけじゃねぇか!」
 なんですよね…

  劇中ではハッキリと名指しはされなかったものの、
 「ヤツら(Aliens)はクジラだって食っちまうんだぜ」
  って台詞も含めて、日本人としては引っ掛かるブツでありますな。



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