・『Wrong Turn (2003)』 - Region 1


 Studio: Twentieth Century Fox Home Video
 Theatrical Release Date: May 30, 2003
 DVD Release Date: October 14, 2003
 Run Time: 85 minutes

 Aspect Ratio(s):Full Screen, Widescreen

 Available Audio Tracks:
 English (Dolby Digital 5.1),
 Spanish, French (Dolby Digital 2.0 Surround)

 Available subtitles: English, Spanish

 DVD Features:
  ・Audio Commentary (共通)

  SIDE-A (FULL SCREEN)
  ・"Making of Wrong Turn"
  ・"Eliza Dushku: Babe in the Woods"
  ・"Stan Winston" Featurette

  SIDE-B (Widescreen)
  ・Deleted scenes
  ・"Fresh Meat: The Wounds of Wrong Turn"
  ・Poster Concept art Gallery
  ・Theatrical Trailer

・ワカモノのバカモノがワケわからん殺人鬼にブチ殺されてゆくスラッシャー映画の良さってのは
「カッタルくない」
 って一言に尽きるが、あえて他にこのジャンルの楽しみを挙げるのならば
「アイディア勝負」
「予算は低いが熱意は高い」
 ってのもあるんじゃぁないかと。
それこそ空に輝く星屑の如く、浜辺の砂粒の如く、古今東西津々浦々に溢れるスラッシャー映画
でございますが、基本的にお客様に媚びた見世物として立派なジャンルだと私は思うんですよ。
 んが、
それ故にあまり再見しようという気にはあまりなれないものであり、よくレンタルもしていたし時に
劇場に行ってはいても、何度でも観るdvdソフトとして所有したくはないなぁ… っと思っていて、
実際『The Texas Chain Saw Massacre』くらいしか持ってないんですよな私。
 しかし、

 1・アメリカでの興行成績はそれなりによろしかった。
 2・そして評判も悪くない。
 3・暮逆京助様ら、既に観られた方も好印象。
 んで
 4・Amazon.comで中古が安く売っていた。

 って4点セットで購入してしまった一品ですが、観るまではそない期待もしていなかったんです
よな正直なトコロ。だって『スクリーム』や『ラストサマー』のような予算もそれなりにあるくせにこの
ジャンルへの愛情も観客へのサービス精神も薄い工業規格製品のような似非スラッシャーが
氾濫している昨今でもありますしなぁ… でなきゃぁ『ジーパーズ・クリーパーズ』らのようなテーマ
パークのライド系のようなのもチョイと個人的にはノれませんしなぁ… っと、ワリとネガティヴな
心象での観賞だったんですが…

舞台はアメリカのどこか。主人公の男が事故によるハイウェイの渋滞を回避する為に森の脇道
へと車を走らせるも、道端の野鹿の死骸に余所見をした刹那、道のど真ん中にいた車に激突、
哀れ車はスクラップに。衝突された車の方は装備品程度の損傷だったのだが、実は有刺鉄線に
よる罠でパンクさせられて立ち往生していたので、共に近くの民家なりに助けを求めようと歩き
始めるが…


 … と、『悪魔のいけにえ』のフォロワーっか二番煎じどころか百番煎じのパクリ、モドキ、亜流
ナド、これまで溢れまくってたスラッシャーものとストーリー的にはそんなに違いはござんせんし、
実は森の中には畸形の殺人鬼3人組が住んでいて、このエリアに入り込んだ旅行者らを次々に
殺害し、どうもその犠牲者を食っているらしい… ってのも見飽きている筈ですし、その殺人鬼ら
からとの追いかけっこってのももぅ何十本も観てきてウンザリしてもおかしかぁないんですが…
 
これが実に面白いッ! と思うのが、
殺戮シーンそのものはアクセントで、チェイスがメインになっている構造、ってのがまず大きい。
森の中で、かなり早い段階で相手の車を奪いつつも次々に主人公らに枷をかけてどんどん追い
詰め、なんとか逃げてもこの森こそ殺人鬼らのホームグラウンドだから一時的な回避、猶予にし
か過ぎないっ〜状況に加えて外見の異形さよりもスキルの異能さが光る【接近戦のスラッシャー
・三つ指】【接近戦のパワーファイター・鋸歯】【達人級の弓使いの一つ目】のチームでのコンビネ
ーションが発揮された時点で既に生き残りは2名ってなってるトコまで押して押しまくりで、ジャン
ルは違えども『プレデター(1987)』や『エネミーライン(2001)』に通じる「狩る者と狩られる者」との
チェイスの迫力があります。普通、このテの映画だと殺戮シーンのアイディアとテクニックが勝負
で見所としているものですが、その分、本編がおざなりになってダレたら濡れ場orヌード! って
よくあるパターンでそれ自体はアリかと思うんですが、そうはいかずに追いかけっこ(捕まったら
屠殺♪)って一本で、しかも逃げる主人公側の方が初めての土地&負傷などのハンディを背負
っている中で… ってのを説明ではなく見せてしまうのは脚本や編集が思い切ってやった成果で
はないかと。それが実に楽しかったですよ。

 で、次に
グダグダと理由やトラウマや内面の葛藤や社会へのメッセージを一切無しにしたのは
実に潔くて良い! 殺人鬼3人組みにしても何故彼らが集まって暮らしてるのか? 何故あんな
殺戮(&食人)をしているのか? って説明や解説は一切無し。登場人物のバックグラウンドは
ホンのサワリ程度でパーソナリティーとまでは持っていかないし、殺されるべき理由なんてのも無
いんですな… ホラ、80年代のスラッシャー、スプラッター映画ってば過剰な道徳映画って側面
(っか言い訳(笑))もあったじゃないですか、未成年なのにファックしまくったりハッパ吸ってたり
盗人だったりイジメッ子だったり嘘吐きだったりって程度の酷いのからブチ殺されていったじゃぁ
ないですか。それと比べると本作の劇中の兄貴なんか恋人を失ったヒロインの為の傷心旅行を
企画し、あえて危険な囮役を主人公と共に引き受けるようなナイスガイやのにサックリ殺されて
しまうが故に、サバイブに撤するしか無い、ってのは実に潔いかと(笑)。

 そして、
編集も上手いが撮影も手馴れていて、観ていてとても安心出来る、ってのもあるかと。
舞台となる森を映す空撮や地上のショットなどの綺麗さやフレーミング構成の大きさなど、決して
珍妙でも新規でも無いかわりに安定していて観易いんですよ。『ブレアウィッチ(1999)』みたいな
極端なのは除外しても「チェイス=手ブレまくりのカメラ追い」って手法は1つのテな反面、どうし
たって観辛くなりがちですし、大体、パターン過ぎてこっちも見飽きてる部分もありますがそうは
いかずにちゃんと移動で見せていつつも追いかけ、追い詰めてゆくのが出来ているのが実に
新鮮でよろしんじゃぁないんでしょうか、っと。

 まぁ贅沢を言えば『黒い三連星』ならぬ『グロイ三畸形』のコンビネーションと個々のスキルの
お達者ぶり(『一つ目』の射撃の正確さはよく解りましたが…)、そして彼らがいかに、どのように
あの森をホームグラウンド化しているのか? ってのを示してもらう為にあと3、4人は殺されて
欲しかったとは思いますが… とか、色々ありますが、まぁそれは贅沢ですな。
 それに殺人行為が「楽しみ」よりも「食う為」だから、あんまり殺しまくりでは駄目だろうし、これ
はこれでいいんじゃぁないかな? って素直にエンドロールまで楽しめましたよ。

 あ… でも、せめて透け乳くらいは欲しかった気が(爆)

・dvd両面にそれぞれフルスクリーンとワイドスクリーン版を収録したこのソフト、それぞれの
面で収録されている映像特典が違っているのは個人的にはあんまり好きじゃぁないんですが…
ま、これは容積の都合だからしょうがない、のかな?

本編、特典の画質&音質は共に良好。文句をつける気にはなりませんな。

 スラッシャー好きの方なら観ておいていい作品だと思いますよ、いやホントに。
 私はリメイク版『The Texas Chain Saw Massacre』より好きですよ、コレ。


【余談】
・で、楽しんだのでスタッフを調べてみたらdvd特典にもコーナーのあるスタン・ウィンストン、
「あれ… どっかで見た顔だし、知ってる名前のような… 」
 って思ってたんだけど、有名な特殊メイクの大家じゃないですか!
それこそ私の青春にこの人が特殊メイクを担当した映画が一杯散りばめられていましてね…
、ザッと列記してみると、
『ウィズ (1978)』、『ゾンゲリア (1981)』、『ターミネーター (1984)』、『エイリアン2 (1986)』、『プレデ
ター (1987)』、『リバイアサン (1989)』、『プレデター2 (1990)』、『シザーハンズ (1990)』、『ター
ミネーター2 (1991)』、『バットマン リターンズ (1992)』、『マウス・ハント (1997)』等々、ホント、
手広くやってる人なんですよ… 個人的には凄くマイナーで、アメリカでもdvd化されてないけど
『ドラキュリアン(THE MONSTER SQUAD (1987))』って作品が好きでしたなぁ… ギャグにしかな
らないであろう古典の怪物らを、ちゃんと生き生きとした存在として見せてくれたのは彼の功績だ
ったんだなぁ… っと思うと感慨深いですな。

 で。

そんな大家が畸形のデザインとかショックシーンについて、いい歳なのに悪戯好きな子供のよう
にニコニコと語ってる様はなんか観ているこちらも嬉しくなりましたなぁ(笑)。

 生涯現役で頑張ってもらいたいもんです。


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