・『座頭市と用心棒 (1970)』


 製作国:日本
 製作年:1970

 販売元: 東宝
 発売日: 2003/10/24
 時間: 115 分

 音声: 日本語 - Dolby Digtal Mono
 画面サイズ: 16:9 LB シネマスコープ

<映像特典>
 ・劇場予告
 ・スチールコレクション (静止画)
 ・スナップで語る撮影現場の風景 (静止画)

・2005年2月19日、岡本喜八監督死去… 享年81歳。
『助太刀屋助六』が遺作となってしまったんだが… 日本人監督でありながら実にバタ臭い映画
が撮れる人で私は好きな監督だったんだけど一般にはあまり知られていない監督、かなぁ?
 1つには(資金集めの為に映像の権利が錯綜している為?)ソフト化が進んでいない事もある
けれど、やっぱりあの感覚が一般受けし難いのかなぁ… っと、思わざるを得ませんが、これを
機会に何とか限定全集BOXなんてみみっちぃ売り方じゃなく、後世に残すよういいソフト化をして
欲しいんですけどねぇ… だって『殺人狂時代』もDVD化されてないなんてさぁッ!

 … とか書きつつ、岸田森目当てで購入したこのdvd、ジャケで岡本監督作品と知ってビックリ
したくらいですし、私もTV放映を含めても10本程度しか観てないんですけどね(爆)。
 だからこそ、余計に観たい気がしておるんですわ、ハイ。

・で、この映画でございますが、おそらくダシール・ハメットの『ガラスの鍵』から拝借したであろう
ストーリー、と言えば解る人は解るかと。市が流れ者ですがネド・ボーモンよろしく小さな村の中
で対立する勢力の中… ってもので、まぁ謎解きとかチャンバラシーンとかこの映画に期待した
ってしょうがないワケで、素直に用心棒役の三船と勝新とかがいつ剣を交えるのかッ!? って
トコだけで楽しめばいいんじゃぁないかと、ええ、あんまり出来がいい映画だとは思ってません。

 でもね…

 出演者の濃ゆ濃ゆの演技にしろ、セットのシッカリした造りにしろ、乱闘シーンの人数の多さに
しろ、決して大作ではないし出来が良くないこの映画でさえ… いや、この映画であっても、当時
斜陽になりかけていたけれどまだまだスタッフも出演者も人材がブ厚く揃っていた邦画黄金時代
の名残りが凄くて結構観ちゃうもんなんですよ。
 最近、邦画復活の兆しが… とか言われていますが冗談じゃぁない。
この本編の合掌造のようなセットを今組めないでしょ。あれだけ濃厚かつ安定した演技が出来る
役者が一体どれだけいる事か(細川俊之が本当にただの小僧だったのは驚きでしたな… で、
現在、その細川氏とタメ張れる役者が、一体どれだけいるの? とかね)。
 中盤の乱闘シーンにしても… 岡本監督らしい、剣戟モノではなく実に西部劇臭くて好みです…
人数の多さと迫力は今時じゃぁ無理ですって。かかるお金の桁が違ってきますって。

 でも、当時はそれをするのが映画だったんですよね…

 あと、あまり邦画を観ていない私には、この映画で三船も勝も好きになりました。
勝新太郎ってもっといい加減な芝居かと思ってたんですが、キャラ化してて臭過ぎな面も無くは
無いんですが、盲としての動きはちゃんとしてるんですよね。三船も着物と剣のこなしがねぇ…
何気なくやってるんだけど、ちゃんと所作が出来てるんじゃぁないかと。
 そして御両人、やっぱ太いっか存在感がありますよな…

・っと、映画として出来がいいとは思いませんが私は好きです。
 しかし、
dvdソフトとしてはあんまり出来が良いとは思えません。
まず
画質ですが、全体的に目立ったノイズこそ無いもののシャープさに欠けますし、日に焼けた
ような色合いなのはどうかと。夜のシーンなどでも結構潰れてる箇所があり
ますが、公開時から
あんな汚い画質だったとは私には思えません。
 次に
音質ですが、三船のカツゼツの悪さはおいておいても全体的に籠もりがちでな上にノイズ
もあってかなり聴き取り難い時もあった
ので、もうちょっと何とかしてくれよ、っと。
 結局買わなかったけどLDをマスターにした? と言われるUK版、HK版、US版などと多分、
そんなにクオリティは変わらないんじゃないかコレ? いい値段取って最後発のくせに、パンフや
ロビーカード程度の静止画と予告の特典だけだし… っと、正直言って感心しない出来でした。

『Seven Samurai - Criterion Collection』
に限らず、何で邦画のソフト化が海外よりも遅れれてる
上に出来として褒められないモノが乱発されるんでしょうな… 愛も情熱も無いよ、このソフトも。


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