タテジマカミキリ
Aulaconotus pachypezoides Thomson,1864 


  体  長    17 〜 24mm

  出現時期     6 〜 9月


タラノキの葉柄基部の下面で静止するタテジマカミキリ
東筑摩郡生坂村 2012.9.17

 9月中旬、毎年春と秋に訪れているネジロカミキリの発生地で、そろそろ新成虫が出ていないかとタラノキを見回っていたところ、1頭のタテジマカミキリに出会いました。
 発見したのは林縁にある部分枯れの多いタラノキ。本種の県内での採集例は少なく、また、そのほとんどが同じウコギ科のハリギリでの記録のため、タラノキにいること自体全く想定外でした。
 頭部から翅端までの紋様、さらに静止姿勢までもが見事に周囲と同化し、小型種のネジロカミキリを探していなかったら見過ごしていたに違いありません。
 撮影後も全く動く気配がなく、試しに息を吹きかけても、時々アリが体の上を這い回っても、顎を引き、触覚を揃えて前に突き出す姿勢を頑なに守っています。擬人的な言い方をすれば、肝が据わって頑固一徹、何が起こっても動じないといった雰囲気のカミキリです。
 夏に羽脱したものは寄主植物などの枝をボート状にえぐり、そこで野外越冬することが知られています。
 松本地域の社寺林の一部ではウコギ科のカクレミノが植栽され、ここでは少数が発生し野外越冬しています。寒冷地では新成虫のまま材内で越冬する事例も報告されていますが、南北に長い長野県では地域によって越冬方法に違いがあるのかもしれません。
 寄主植物はウコギ科の生木で、暖地ではカクレミノで採集される例が多いようです。


社寺林のカクレミノで成虫越冬する個体
松本市 2019.11.16


同 上
松本市 2020.1.28


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