第1回「ごあいさつは ていねいにしよう」 | |
講師:怪傑ロビン先生(ロマンシング サ・ガ第3小学校:道徳担当) | |
特別講師:しんの ゆうしゃ先生(シャドウゲイト大学宗教哲学科教授) |
やあ。私の名は怪傑ロビン。日夜ヤーマスの街を悪の手から守っている、仮面の似合うナイスガイだ。 | ||||
そして わたしこそ まおう ワーロックに たちむかう しんの ゆうしゃだ!! | ||||
さて。突然だが、お気に入りのホームページの掲示板に書き込みをしたら、管理人さんに冷たくあしらわれたり、注意を受けてしまったことはないかな? もしもそんな経験があったとしたら、君は気付かないうちに失礼な発言、すなわちネットマナー違反をしてしまった可能性がある。仲良くなりたくて書き込みをしたのに、嫌われてしまったのでは、せっかくの努力が水の泡になってしまうな。 今日はそんな君たちのために、ネットコミュニケーションにおける最も初歩的な決まりごとを、例に沿って解説していきたいと思う。 | ||||
よむきもしないほど クソながいが まあ かんべんしてくれ。 | ||||
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………………。 | ||||
・・・・・・。 | ||||
………………高いな………………(テンションが)。 | ||||
・・・ツッコミどころ はんダースじゃ すまないな・・・。 | ||||
→1: 初対面の相手にいきなりタメ口
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タメぐち? これは べつに いいんじゃないのか? わたしもきみも しょっちゅう つかっているし。 | ||||
う、い、いや、それはあくまでもロビンの時の話であって……ふ、普段の僕は…… | ||||
なかのひと みえかかってるぞ。 | ||||
き、君が余計な事を言うからではないか。いきなり話を逸らしてどうする。だいたい中の人などいない。 | ||||
そうか。 まあ とりあえず かいせつ たのむ。 | ||||
う、うむ。……タメ口の話だったな。 今どき「タメ口」という言葉を知らない人もいないだろうが、念のために解説しておくと、これは敬語を全く使用しない口語文のことだ。同い年、つまり「タメ」の人に対する口の利き方、という意味だな。 | ||||
めんどうな しきたりだ。 | ||||
勇者くんは異国の人だからな。日本の習慣は肌に合わないのか。 | ||||
だいたい 「けいご」とは めうえのにんげんに たいする ことばだろう。 あきらかに とししたの あいてなら ひつようないんじゃないか? | ||||
そうだな。確かに、ずっと年下だとわかっている人相手に敬語を使うのに違和感を覚える人もいるかも知れない。 だが、考えてみてくれ。基本的に、ネットで知り合う者同士は、基本的にお互いの顔や素性を知るすべがない。つまり、相手が自分より目上なのか、そうでないのかを確実に知ることができない、ということになる。 いくら敬語はよそよそしくて好きじゃないからといって、現実の世界で目上の人にタメ口を使うのが失礼にあたることは、小学生でも知っているだろう? ましてや相手の名前を呼び捨てにすることなど言語道断だ。 | ||||
・・・? ホームページで ねんれいを こうかいしているひとも いるぞ? | ||||
自己紹介の欄に「14才の女の子です」と書いた人物が、実際には38歳のオッサ……いや、中年紳士でないという保証はどこにある? 他の人の写真を載せて「私の写真です」とウソをつくことだって、ネットの世界では簡単に出来てしまうんだぞ。 | ||||
なるほど。 「ネカマ」という ことばが あるほどだしな。 | ||||
そうだ。だからこそ、相手が子供や歳の近い人だと「わかって」いるからといって、顔も知らない相手にタメ口を使用するのは望ましくない。本当にそうであるかどうかは、実際に顔を合わせてみるまでわからないぞ。 | ||||
しかしときどき どうどうと けいごをつかっている しんの ゆうしゃを みかけるが・・・。 | ||||
それは恐らく、オフラインでも親しくしている友達同士だからだろう。 不特定多数の人の交流を目的とした掲示板などでは、あえてタメ口の使用を自由にしている場所も見受けられるが、あくまでもそれは特殊なケースにあたるものだからな。 | ||||
→2: 過剰なネット文字の使用
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これもネットを覚えたての初心者にありがちな失敗例だ。 | ||||
そんな ばかなっ!! ・・・これは・・・にんげんの ことばなのか? もじが まるで いみをなしていない。 | ||||
今どき顔文字を知らない人間がいたとは驚きだな……。よく見てくれ勇者くん。 (・_・) この記号の並びをじっと眺めていると、まるで絵のように見えてこないか? | ||||
・・・おおっ!! ひとのかおが うかびあがってきたぞ!! | ||||
そう。これは「顔文字」と呼ばれるもので、顔の見えないネット上でより親しい会話を交わす手段として考案されたものだ。 (*^-^*) これは笑った顔。 (T_T) これは泣き顔のような形をしているだろう? 例に挙げられた顔文字『(≧▽≦)ノ.・.☆.・.☆.・.☆』は、頬を紅潮させた人が笑顔で紙吹雪のようなものを投げているように見えるな。 | ||||
では そのつぎの (ばく) というのは なんだ? | ||||
これも顔文字と同じように、文字で感情を表現する手段のひとつだな。(笑)や(泣)といった、感情や概念をカッコの中に納めて文末に付ける手法だ。雑誌記事などの紙媒体でもよく見かけられているので、あまりネットに詳しくない人でもご存知なのではないかな。 | ||||
ほう・・・しかし まっとうなざっしに のっているものなら つかっても いいんじゃないのか? | ||||
よし。それでは、以下の文を見比べてみて欲しい。 | ||||
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ずいぶん かんじが ちがうな・・・。 なんだか ほんきで あやまられた きがしないぞ。 | ||||
そうだな。基本の文章は全く同じなのに、与える印象がまるで違うのがおわかりだろうか。こういったネット文字は簡単に親しみやすい文を書くことができる反面、使い過ぎたり使うべき場所を誤ったりすると、相手に軽薄な印象を与えてしまうので注意が必要だ。 特に個人サイトを管理している方の中には、会話の中に少しでも顔文字が使われていると不快感を覚える人もいると聞いている。 「文体が軽薄」→「書き手に常識がない」と受け取られてしまいがちなのだろう。 | ||||
なるほど。 このページの さくしゃにも きつく いっておかねばな。 | ||||
……そうだな(反省)。 | ||||
→3: 会話相手への一方的な要求
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これは冷静に考えれば常識だろう。道を歩いていた見知らぬ人に、突然「何かよこせ」と要求するのは犯罪だ。 | ||||
そうか? わたしは よくいわれるぞ。 「おれの はしだ!! わたりたいなら きんのコインを いちまい よこせ!!」とか。 | ||||
わかる人が少なすぎるネタを使わないでくれ。そんな常識がまかり通るのは魔王の城だけだ。 | ||||
ところで この キリばん とは なんのことだ? ふんづけるもの ということは・・・スライムかなにかの なかまか? | ||||
これは、「キリの良い番号」の略だな。 ほとんどのホームページは、どれだけの人がページを見ているのかを参考にするため、トップページなどに「アクセスカウンタ」というものを付けているんだ。 訪れた人がそのページを閲覧すると数字、すなわち番号が増えていく。その時に「10000」や「20000」といったまとまりのいい数字が表示されることを「キリ番を踏む」という。 ちなみに「キリ番」には、「11111」のように全部同じ数字が揃う「ゾロ番」や、「12345」のように桁ごとの数字が1つずつズレている「連番」などの種類もあるようだぞ。 | ||||
それが ものを もらうことと なんの かんけいが あるんだ? | ||||
小説や絵を創作しているサイトなどには、キリ番を踏んだ来訪者に対して、なんらかの特典を設けているところがある。 その来訪者が望むテーマやキャラクターを題材にした自分の作品をプレゼントすることが多いな。これは「キリ番リクエスト」を略して「キリリク」と呼ばれている。 | ||||
では この ゆうしゃは 「キリリク」を もらおうとしていたのか!! | ||||
恐らくそうだろうな。「37654」という数字は「ミナゴロシ」と読み替えることもできる。悪趣味だが、確かにキリの良い数字だと言えなくもない。 | ||||
しかし・・・ それをいったら 「1123」 でも 「1129」 でも キリばんに なってしまうのではないか? | ||||
そう。その気になればいくらでもこじつけることができてしまうな。それにいちいち特典を設けていたらきりがない。 そのため「次回のキリリクは10000ヒット」といった具合に、最初からキリ番制度の有無や、その番号をはっきりと明記しているサイトも多い。 この番号を踏んだ人が掲示板やメールでその旨を管理人に伝え、特典をもらうのが一般的なキリ番のルールとなっているんだ。 | ||||
このばあいは 37564ばんが キリばん だったのか? | ||||
管理人が「37564を踏んだ人に何かあげます」と明言していたのならその通り、この人には特典を受ける権利があるな。 しかし、1)の項でも述べた通り、これは初対面の人間に物を頼む態度ではない。 そして、管理人が全く別のキリ番を設定していたり、そもそも「キリ番制度をやっている」と意志表示をしていないのであれば、この要求は全くのお門違いだ。タカリ以外のなにものでもない。 ある程度親しい間柄であれば、これと言った理由なく作品を譲り合うこともあるのだろうが、付き合いの短いうちにこのような発言をすることは避けた方が賢明だろう。 | ||||
なるほど。 いろいろと ふくざつな もんだいがあるのだな。 | ||||
ああ。……まあ、ここの管理人はキリリクの心配をする必要など全くないわけなんだが。 | ||||
ふこうな ひとだ。 | ||||
では、以上の3点を踏まえ、先ほどの文面を修正してみよう。文の意味はほとんど変えていないから、最初の文とどれだけ受ける印象が異なるかを確認してみてほしい。 | ||||
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かおもじや カッコもじが ずいぶんへったな。 | ||||
先ほどと違って、顔文字を使っていても、文面に相手への敬意が感じられるだろう。 互いに顔の見えない状況で「この人は常識のある人だな」とわかってもらうのは本当に難しい。初めて書き込みをする時は、自分で読み返してみて「堅苦しいかな」と思うぐらいが丁度良いと私は思うぞ。 | ||||
なんでもいいが いまどき (くしょう) とか つかってるあたり ここのかんりにん ちょっと やばいんじゃないのか。 なんか ぶんたいも ひつよういじょうに こびてるし。 | ||||
うるさい。 | ||||
ギャーッ!! かみのけが!! かみのけが!! もえている!! | ||||
以上、ネットでコミュニケーションをはかる際の基本的な注意点を述べてみたが、参考になっただろうか。 | ||||
これで あなたも きょうから しんの じょうしきじんだ!! | ||||
それでは、またお会いできる機会を楽しみにしているぞ。さらば! | ||||
ざんねん!! わたしたちの かいせつは これで おわってしまった!!
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