(19.04.13)

理系なテニス



 テニスをはじめて15年になります。今でも月に2〜3回程度ゲームをしています。 土曜または日曜にテニスをする典型的なウィークエンドプレーヤーです。 この他にも自主的な練習を週に1回は行います。主として、以前いた会社の愛好会OBとしてテニスを楽しんでいますが、 いつの間にか私はこの会の最年長になってしまいました。



 私の実力のほどは読者のご想像に任せるとしても、やはり10〜20才代でテニスを始めた人にはかないません。 テニスの「カタチ」が違うというか、動きが「体の芯」から身についているところが私と違うと思います。 中年以後にテニスを始めた私は、アタマで考えないと体が動きません。

 「カタチ」とか「体の芯」などという抽象的なことを書きましたが、もっと具体的な例をあげます。 少し前ソフトボールで3塁を守っている時のことです。 バッターがピッチャーゴロを打ちました。 私は反射的にピッチャーの背後に向かって走ります。 ピッチャーがボールを左後ろにはじきましたが、走りこんできた私はそれを拾って一塁へ送球。アウト。

 後で「なぜ、そこにボールが来るのを知ってたんだ?」 と言われました。 しかし、私はアタマで考えてピッチャーの後ろに廻ったわけではなく、体が自然にそう動くようになっていたのです。 その理由は10才代で野球を本格的にやったので、「カタチ」ができているし、動きが「体の芯」から身についるのです。



 昨年の終わり頃でしょうか、以下のような疑問がふと浮かびました。
”速いボールを打てないのは何故だろうか?”
”テニスの「カタチ」が身についていないのは仕方がないとしても、ストロークやサービスの打球がなぜ速くないのだろう?”
”野球の実績から考えれば、テニスでもその辺で一番高速な打球を打ててもおかしくないのでは?”

 そう思い始めてあれこれ試行錯誤を始めたころ、今年の初めに、
「勝てる!理系なテニス」 田中信弥 松尾衛 著 東邦出版  2018年4月24日 初版
を書店で偶然見つけました。







 著者の田中信弥氏は元プロテニスプレーヤーで国内ランキング一桁の実力です。 松尾衛氏は東大大学院の物理の先生でテニスのウィークエンドプレーヤーです。

 この本には先の疑問の答えが明快に書かれていました。
テニスのストローク(フォア、バック共)は腕の振り + 体重移動ではなく、体幹の回転で打つべきである。
そして、その理由も松尾衛氏が物理学的明快さで説明しています。

 私はすぐに、これだ! と直観しました。なぜなら、野球で鋭い打球を打つには体幹の回転で打つことが必須だからです。 昔は「腰で打て」 「バットを腰に乗せろ」 「バットを振るな腰を振れ」と言いましたが、みんな同じことです。

 それまでの私はフォア、バック共、テニススクールで習った「腕の振り + 後ろから前への体重移動」を使っていました。 このやり方は打球が安定しているものの、高速で重い打球が打てないとこの本には書かれています。 フォアはともかく、バックに関しては体幹の回転で打ってはいけないと認識していたのでこれは驚きでした。

 一流のプロの動画をパソコンで見ると、フォアは全員体幹の回転を使っています。 シングルバックハンドでは世界ランキング元1位のフェデラーが体幹の回転を使っています。



 さて、季節が少し暖かくなってからまず体幹の回転で打つフォアを壁打ちで練習しました。 脚、腰、右腕、頭部の使い方は野球の右バッターとほぼ同じなのでわりとすぐにできるようになりました。 結果、打球の速さは以前とケタ違いです。打音もまるで違います。 ゲームでは愛好会で一番強い人がボディ(真正面)に入った打球を受けきれないこともあり、私はちょっと自信がつきました。

 現在はバックを練習していますが、こっちはやや苦戦しています。 バックは野球の左バッター(野球では私はスイッチヒッター)とはやや異なります。打球のコントロールにまだ難がありますし、たまに上手く打てても再現性が低いです。 ゲームで使ってみてもほぼミスショットです。

 ただ今日、一本だけですが速く重い打球を打つことができました。 ギャラリーから「おお!」と声が出ました。 しかし、基本的にはまだ使えるレベルではありません。今しばらく練習練習です。



 最後に、体幹の回転を使うやり方には大きなメリットがあります。 それは、バックスイングがほぼ必要ないことと、手首や腕を積極的に使わなくてもスピンがかかるので、その部位への負担が少ないことです。 これはシニア世代に入りかかっている私のような年代には怪我をしにくいという大きなメリットがあります。







(16.08.14)

リオ・オリンピック



 会場の準備遅れ、財政難、政治の混乱、治安の悪化、ジカ熱などの公衆衛生、 一時は開催すら危ぶまれていたリオ・オリンピックでしたが、 始まってみれば大きな盛り上がりを見せています。 世界の有力選手がガチで対決するスポーツの力ですね。



 復活した日本柔道、好調な水泳、メダルに届いた卓球、 これから始まる陸上、金メダルが約束されているレスリング等、大きな注目が集まる競技がありますが、 私は男子体操に最も感動しまた。

 特に日本のエース、内村選手。
団体、個人での逆転の金メダルは圧巻でした。 「最後まで諦めない」という言葉はベタですが、 あの状況でこの言葉通りに演技が出来るのは常人と何が違うのでしょうか?

 「銀メダルも4位も同じ…」と言い切ったロンドンから4年、 日本体操団体の金メダル獲得に執念を燃やした4年、 毎日、毎分、金メダルの事を考えていたに違いありません。 怖いほど凄い男だと思いました。

 ”Sleep with the problem”と言う箴言があります。 誰も解けない難しい数学の問題を解く場合、365日24時間考え続けろという意味です。 大きな望みを成就するためには、少なくても一定の期間  ”Sleep with the problem”であることがMUSTだと思います。







 ところで、フランスのマスコミで、日本の男子体操選手のことを、 「小さなピカチュウ達」と発言、これが話題と批判を集めました。 人種差別発言であるととらえる向きもありました。 しかし、日本人はピカチュウと言われても、そんなに悪く受け取らないでしょう。

「褒め言葉だと思った」
「フランス人には、金メダルとピカチュウが羨ましいのだろう」
「ピカチュウに体操をやらせてみたいが、あん馬は出来るのだろうか?」
 … ネットではこのような反応でした。

 内村選手とピカチュウ、どこが似てますか? 口元と鼻が妙に似ているけれど、他は全然違いますね。
余談ですが、日本の女子選手の方が、ポケモンに似ていたようです。









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