<時代劇 編>  2009年1月9日 日記より


私的 時代劇 ベスト10 !! 

唐突に何かと言いますと、 
年始に自身の日記を読み直していたところ、 
(どんだけ暇だったよ…) 
数ヶ月前のベストゲーム10本を挙げた項が妙にツボに入ってしまい、 
何か、次バージョンでもないだろかと。 

ちょうど、 
仕事人2009が、覚悟していた程に悪い内容ではなく、 
大河ドラマの天地人も、それなりに楽しめそうな気がしてきたので、 
年始〜今の気分なら時代劇かな〜と。 


時代劇。 
基本的には、斬新な物程に好きです。 
映画にしろTVにしろ、 
確かに、時代劇物が映像作品全ての花形だった時期がありますから、 
単純に質の良いトップクラスがゴロゴロしてる。 
そんで、 
スターが一人が居れば成り立ってしまうという特殊性。 
ただ、華のある人が暴れまくるだけで何かが成り立ってしまう。 
これは他ではそう見られません。 

あと、勘違いしてはいけないのは、 
時代劇は、ファンタジーの一ジャンルだという事。 
基本は活劇。 
テーマそのものを掘り下げるような作品は、別ジャンルが馴染むでしょう。 
当たり前ですが、ドキュメンタリー映画でもなければ、 
歴史検証映像でもないのです。 
時代劇である事自体が、細かい事を気にさせないための 
「ぼかし」の一手段と思っていただければ良いかと思います。 

なお、気色が違いすぎるので、 
NHKの大河ドラマは除きます。 
こっちは、こっちだけで10本でないかな。 



・斬り抜ける - 1974年 
主演:近藤正臣 

「不義者(フギモノ) 俊平」 
このフレーズが強烈で妙に頭から離れない。 

主命により親友を叩き斬る事になるのだが、 
その後、理由に納得がいかず、親友の奥さん+息子を連れて脱藩。 
ココで出てくるのが不義者という言葉、つまり不倫関係とされるわけですな。 

もちろん、実際は不義は行ってはいない。 
ところがまぁ、困った事に旅を続ける内に二人は惹かれ合うんだよね。。 
一緒に、子どもが居るのにだぜヽ( ;´ー`)ノ 
不義を晴らすための旅なのに、進む程にそれに近づいてしまう。 
このジレンマがたまらねーんだ。 

そんな美作(岡山辺り)〜江戸までの旅路をマカロニ風に描く一品。 
その追っ手をかわしつつの旅路が泥臭くていいんだ。 
時々、妙〜にリアルな考証が入って、 
江守徹の強烈な語りが割り込む様が圧巻。 

そして、江戸に到着してからの怒涛の展開。 
溜めに溜めた物が一気に爆発。 
そもそも、脱藩+不倫だぜ?w 
強烈な反倫理と言うか、反体制臭が出てきます。 
印籠を出すタイプの時代劇とは真逆と言ってよいですね。 

色んな物に板ばさみになって 
主人公、俊平がどんどん荒んでく様は必見ですw 

佐藤慶、岸田森の追っ手コンビが裏魅力。 
これまたその裏にあるのは偏愛という。。。 

一番と聞かれればコレを挙げます。 

弱点は子どもがまっっったく可愛く無い事だけかな。 




・関が原 - 1981年 

これほど豪華な作品が他にあろうか。 
TBS開局30周年記念作だけあって、やりたい放題。 

主演は4人。 
・徳川家康:森繁久彌 + 本多正信:三國連太郎 
・石田三成:加藤剛 + 島左近:三船敏郎 

この2コンビを主軸に 
芦田伸介、丹波哲郎、藤岡弘、竹脇無我、金田龍之介、三浦友和、高橋幸治、 
細川俊之、大友柳太郎、大滝秀治、杉村春子、三田佳子、栗原小巻、松坂慶子…… 
ナレーションは全編、石坂浩二。 
顔見せ程度のちょい役も入れれば、 
宇野重吉、辰巳柳太郎 、沢村貞子、千秋実 、藤原釜足 ………キリがない。 

もちろん全員が一同に会するわけではないが、 
(それでも、宇野重吉:秀吉 + 5大老全員 の冒頭シーンは必見) 
次から次へと、ジェットコースターのようにスターばかりが目白押し。 
何処を切りとっても絵からは華しか見えてこない。 
まぁ、それが良い作品になるかと言われると疑問は残るだろうが、 
この作品に限れば・・・なるんだよ。 

際立つのは、三成の真面目さとそれ故の傲慢さ。 
加藤剛の純真すぎる言動に常にイライラさせられますね。 
そこと対照的なのが、森繁家康 + 三國正信。 
このコンビ、想像だけでもしてくださいよw 
もう、文字通り西軍とは役者が違う。 

で、そんな正当性をぶちまけるだけの加藤剛に、、 
果たして、藤岡弘だの丹波哲郎だの竹脇無我だのの強烈な個性が、 
大人しく従うのか? 
無理無理w 
それが絵面だけで十分伝わってきてしまう贅沢さなんですね。 
役者だけで済むってのは、本来は外道、反則技なんでしょうが、 
ソレを裏付けるクオリティも勿論ありつつ、 
成るべくして成った結果と言う納得感が出ますよ。 

2時間半x3本かな。 
事前の知識や、好みに関係なく 
とにかく、主演の4人の好演だけで十分引き込まれますので 
誰にでもお勧めできる一品。 



・必殺仕掛人 - 1972年 
主演:緒形拳、林与一、山村聡 

人殺しが主役です。 
わけ合ってこの道に入り、 
刹那の快楽に生きる針医者の藤枝梅安。 
人を斬らずにはいられないという 
危ない辻斬り癖のついてる浪人 西村左内。 

このコンビが、晴らせぬ恨み晴らします、許せぬ人でなし消します の世界を 
縦横矛盾に活躍する素敵な作品です。 
当時、プロデューサーが池波正太郎にTV作品化の話を持っていった時に、 
「頭は大丈夫か?」と返されたと言う程の 
"仕掛人"という強烈なアウトロー設定がまず光ります。 
また、プロフェッショナルとして淡々と仕掛けこなす中、、 
コメディタッチの情景もあり、梅安先生の食い道楽描写もあり、 
左内さんの矛盾に満ちた家族愛もあり、そこらのバランスが見事。 

最近の言葉で表すと、あらゆる点でスタイリッシュ。 
これに尽きるかと。 

映像的には、陰影の付け方が凄いのよ。 
見えないくらい暗いカットを平然と使ってくる。 
そこに光源不明の光が入り込んで。。。。スパっとヽ( ;´ー`)ノ 
メリハリって大事ね。 

全33話もある中、常に一定のクオリティが保たれているのが素晴らしい。 
一気に楽しめると思います。 
「必殺」は初代で既に完成している。 



・天晴れ夜十郎 - 1996年 
主演:阿部寛、黒木瞳、石坂浩二 

さすがに予算がアレな時期の作品ですので、 
細かい所が本当にチャッチイです。 
展開とかにも、突っ込みドコロというか雑さが目立つ作品なんだけど、 

キャラが(・∀・)イイ!。 
講談の天保六花撰。 
基本的に全員が悪党なんだけど、心根はスカっとする粋な連中の花舞台。 
あまりの不条理を見ると、つい許せねぇという 
江戸っ子気質で全編が構成されてる作品です。 

特に良いのが、石坂浩二演じる 河内山宗俊。 
このべらんめぇ口調が最高級。 
強請り屋さんです。 
本当に最低野郎なんだけど、 
何だかんだと、最終的にはその悪党ぶりを発揮して味方してくれんのよね。 
主人公以外、登場人物の全員がツンデレという究極作品。 
何だかとっても、(・∀・)イイ! 気分になれますよ。 

まだまだド下手な時代の阿部寛を 
六花撰の連中と同じ目線で、温かく見守ってやって下さい。 



・江戸を斬るII - 1975年 
主演:西郷輝彦 

完成度の高さで好きですね。 
一般的なTV時代劇のあらゆる要素が完璧に詰まっている。 
所謂、遠山の金さんですが、極度のパターン化はされず、 
飽きさせない作りになっております。 

特撮的とでも言いますか、一本の巨大な柱となるストーリーがあって、 
特定のラスボスも居て、その話を終始臭わせつつも、 
基本は一話完結の物語を展開していく。 
ソコにじれったさを感じつつも、毎話の質の高さに納得。 
そして恒例のお裁きの後、最後に流れる至高の一曲「ねがい」。 
(拳王様の持ち歌ですなw) 
全く無駄のない45分間を保証します。 

回を重ねるごとに親しくなっていく、 
西郷輝彦と松坂慶子の爽やかな恋の行方にもご注目。 
まぁあくまで、金さんの若さと男前っぷりに惚れる作品でしょな。 




・子連れ狼 子を貸し腕貸しつかまつ - 1972年 
主演:若山富三郎 

これは、特に語るべき点がないですw 
一時期の劇画調の時代劇がみんなそうだったように 
スプラッター映画ですわ。 
ただし、最高峰。 
腕は飛ぶわ、足は飛ぶわ、首は飛ぶわ。。。 
CEROの役員が見たら気を失いかねない、いかれた表現のオンパレード。 
そこに、若山富三郎の異常なまでに速い(かつ豪快)殺陣が加われば無敵です。 
若山版 拝一刀の豪胆さは、見事の一言。 

次から次へと、よくこんな事思いつくな〜と感心させられる 
小道具なり、撮影方法なりの演出アイディアオンパレード作品。 
2時間、完璧に楽しめる大活劇ですよ。 



・眠狂四郎 無頼剣 - 1966年 
主演:市川雷蔵 

この映画を押す人に、それ以外の語り口は無いと思いますが、 
えぇ、市川雷蔵が大好きです。 
それだけ。 
一番最初に触れたように、スターが一人立っていれば 
この一点で、時代劇映画は成り立つのです(゚∀゚)アヒャ! 

二枚目ってよか、妖艶という感じでしょか。 
"ニヒリズム"の局地ですよ。 
主人公が、何考えてるのかさっぱりヽ( ;´ー`)ノ 
女は抱くし、人は殺すし、言う事やる事好き勝手。 
どこか、刹那的で、退廃的。 
そして溜息が出るほどの美貌。 
究極のキャラクター性に終始圧倒させられます。 

全12作の中から、一つ選べと言われれば、 
最後の天知茂との対決シーンがカッコいいのでこの一作で。 
2人対峙を遠めのカメラから広く撮るシーンは、 
これぞ映画!  



・雲霧仁左衛門 - 1995年 
主演:山崎努 

池波作品は、情景が美しい。 
描写される世界全体が妙に落ち着きますね。。 
原作から、凄い綺麗な文章を書く人なんだけど、 
江戸風情と言いましょか、 
その雰囲気が丁寧に丁寧に映像で表現されております。 
それが、登場人物の渋さを引き立てる。 

この人の魅力は何だろか。 
割と人間の汚い部分を描きつつも 
何故か、全体としては妙に優しい空気で満ちている点かな〜 

ただ、展開は終始、ドキドキ系。 
個性的な大泥棒一家の紆余曲折ありの一大仕事をいくつか。 
特に、仁左衛門(山崎努)と火付盗賊改 阿部式部(中村敦夫)との 
ジリジリとした、息もつかせぬ怒涛の真っ向勝負。 
緊張を保ったまま全15話、持ちまっせ。 


・木枯し紋次郎 - 1972年 
主演:中村敦夫 

このキャラクターは唯一無二。 
圧倒的な破壊力です。 
オイラの中の永遠の偶像ヒーロー。 
何を言われても、 
「あっしには、関わり合いのねぇこって…」で済ませる世捨てっぷり。 

何でコイツは生きてるんだろうか? 
これは、生きているから生きている としか答えようがないと思う。 
狂四郎のようなニヒリズムでは全くなく、 
あくまで、泥臭く泥臭くしがみ付くんだよ。 
生きる理由も無いけど、死ぬ理由も無いからね。 

このカッコよさはまた別格。 

これはまぁ、やっぱり斬新だよね。 
そういうキャラクターが、長ドス持って、野っぱらを駆けずり回って、 
掴んで転がって、美しさの欠片もない立ち回りを繰り広げる。 

ストーリは、必ず最後に一転、切ないエンドを迎えます。 
そんで紋次郎が、やっぱ強がってるんだな〜という感情が 
ちょっとだけ感じられるも、すぐに知った事かという顔で次に旅立つ。 
この繰り返し。 
お勧めできるのは、ファーストシーズンの方。 




三匹が斬る!  - 1987年 
主演:高橋英樹、役所広司、春風亭小朝 
スーパー娯楽時代劇。 
ちょっとしたコント劇ですよ。 
3人の言動にゲラゲラ笑って、 
「お主も悪よの〜」的な悪人を 
45分〜退治するというお約束の締め。 

何も考えさせられずに、何にも魅せられずに、 
ただただ、豪快な3人の立ち振る舞いを見ていれば楽しめる。 
娯楽作品のお手本ですよ。 

軽い中にも貫禄を忘れない殿様 (高橋英樹)、 
ワイルド、豪快な千石 (役所広司)、 
↑どちらとも軽快に絡むタコ (春風亭小朝)。 

キャラ勝ちですな。 



・七人の侍 - 1954年 
主演:志村喬、三船敏郎、宮口精二 他 

コレ、入れるかね? 
別枠じゃないだろか。。。。 

世間で言われている"以上に"、全てのスケールが別格です。 
今見ても、全っっ然!! 色褪せない。 
世代的に、最初はどうしても白黒が気になるでしょうが、すぐに慣れます。 
慣れるというより、そんな些細な事が気にならなくなる。 

7人の個性、飽きさせない映像の移り変わりのメリハリ、 
誰が死ぬか、どういう展開になるか全く読めない緊張感、 
言うまでもなく、怒涛の合戦シーンの大迫力と斬新さ。 
あまりにメジャー作品すぎて語るのが恥ずかしいので、さっさと切り上げ。 
とにかくお勧めって事だ。 

黒澤作品は、 
映像美を楽しみたければ、隠し砦の三悪人 
三船敏郎=サムライ を楽しみたければ、用心棒 
映画としてのスケールを楽しみたければ、七人の侍 
とにかく贅沢な映像が見たければ、乱。 
細かい演出術に唸りたければ、椿三十郎 

ってトコでしょか。

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