<大河ドラマ 花の乱>  2007年5月2日 日記より


全37話。 
完了です。 

以下、ネタバレを含むので、 
今後、視聴の予定のある方はご注意を。 











さて、 
大河ドラマ史上、堂々の最低平均視聴率を叩きだし、 
その後、室町近辺が扱われる可能性を完全に潰したと言われる 
悪名の高い『花の乱』ですが。。。。 

面白いですよ。 
拍子抜けするくらい。 
冒頭、ちょっと複雑な入り方をするので、 
そこを構えて見る必要があるくらいでしょうか。 

何故、あんな手法をとったのかはわかりませんが、 
全体的につかみ所のない空気と言いますか、 
何処までが現在の話で、何処までが過去の話か、 
また、何処まで現実で、何処まで夢で、何処まで幻か。 
このあたりが絶妙に掴み難い作風になっとりますね。 
ま、それが、独特の怪しさを出して 
中世の雰囲気を醸し出していると言えなくもありませんが。 

えぇ、 
困った時の怨霊オチですよ。ъ(;゚ー^) 
多すぎw 

思えば、幽霊に始って幽霊に終わった大河だったな〜 
あとは、全体的に陰惨で暗いかな。 


全般、創作部分が多く、 
史実を大河に求めてるような方には向かないかもしれませんが、 
その代わり、ドラマとしての完成度は鬼のように高いです。 
そこら中にドラマチックな仕掛けが散りばめられておりまして、 
伏線に次ぐ伏線。 
そして、忘れた頃の見事な回収。 

中でも火の橋、水の橋関連は綺麗でしたね。 
あらゆる場面で交錯し、対比される二人。 
義政との絶妙な関係性。 
そして、二つの景色が合わさる瞬間。 

三田佳子 + 壇ふみというコンビが 
また妖艶さに磨きをかけて美しい。 


登場人物に無駄もなく、 
大体、その後に何らかの形で絡んでくるわけですよ。 
最たる物は、日本史上の超の付く一大イベント、 
山城の国人一揆に繋がる流れかな。 
そっか、そっか、そういうことね。。。と。 
ガッテンできる事間違いなし。 


そして先にも触れましたが、 
妹、森女さんは別格ですね。 
何故か、次々と主要人物と知り合いになっていくお方なのですが、 
大河ドラマにありがちな 
所謂「便利屋さん」的なポジションとは一線を画す立場で、 
結局、何もしないんです。 
それでいて、あの圧倒的存在感。 

主要人物の心に次々と踏み込んで 
・森女こそ某の御台様じゃ。 (by 陰陽師) 
・ワシにとっての観音様 (by 破戒坊主) 
等の迷台詞を生ませ続けます。 

本来であれば、一休禪師がその役を担うのかなと思いきや、 
中々どうして、このお方も一筋縄ではいきませんしね〜 
我が強すぎんだよ。 




結局、誰が悪いのか? 
誰が一番クズなのか。 
そういうドラマにも見えますか。 
ただやはり、答えは時代なんでしょね。 

ドラマ中にも触れられていましたが、 
中央集権を目指して横暴の限りを尽くした義教の暗殺を受けてこその 
八代将軍義政なわけですよ。 
合議制にこだわって、権力を敢えてもたないようにした事、 
他家の家督争いに介入しない事、 
政に興味を持たない言い分はあるわけですよ。 
その分、三管四職の争いに収集がつかなくなったと。 

なんつーか、日本人が好みそうな美しさは確かにゼロです。 
家督争いに、家督争いに、家督争いに、家督争いに、 
家督争いが重なるドラマでしょか?w 

本当に主義主張も無ければ、 
血筋や格式のドラマも無い。 
あるわけない。 
だって、同じ家の正統同士が争うわけですからw 

弟vs実子、養子vs実子、親vs子、夫vs妻…………etc 

うわぁ。。。ヽ( ;´ー`)ノ 

まぁ、誰がクズかと言われれば全員だわな。 

やはりそれでも、 
一番は大御所様、足利義政で鉄板ですけどな。 
全て悪いと言えばこいつが悪い。 
賢いくせに、常に事態を悪化させる。 
も〜期待を裏切らないね。 
中でも、義尚の恋愛話の時なんか最高でしたよ。 
工エエェェ(´д`)ェェエエ工 

ソ、ソレハアリエナイ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 


次は、主人公の富子。 
悪女とはこういう事か。 
悪気はゼロ。 
一見、とっても良い人にも見えます。 
ところがどっこい、その成す事といえば、 
もう、次から次へと感情のまま。 
自分の過去の行動を常に覆し続け、 
人をたらし続ける。 

「抱いてください」 
工エエェェ(´д`)ェェエエ工 

ソ、ソレモアリエナイ・・・・・・・ 
反則だろ。 

その宗全入道もひたすらにカッコヨク見えはしますが、 
やってる事はメチャクチャですよ、この人w 

結局、大した不満もないまま 
要所要所で、我侭通したかっただけじゃないかい。 
このドラマ中では、ほぼ全ての行動理念が 
「な〜んか気にいらない、俺はこうしたい」というだけですよ。 
もしくは、「御台様(´д`;)ハァハァ」 

一番まともに見えたのが、 
ストレートな大悪人。 
左大臣 日野勝光 様というのだから救いようも無し。 
ひたすら上へ上へ。 
押し大臣の名に恥じぬ邁進っぷりで、 
行動原理がわかりやすい。 

あのくらいが、見てて気持ち良いですわ。 

あと、終盤だけど細川政元。 
変人ではあるけど、やる事はわかりやすいよね。 
細川家の最盛期を築くお方です。 

妙にインテリな親父さんの勝元なんか、 
見てて歯痒いこと歯痒い事。 
大儀を通す様は見事だけど、 
結局、この人も事を複雑にしてるだけなんだよなw 

死ぬほどカッコエエけどな〜〜 

ま、その政元も 
自らの後継者争いに巻き込まれて 
このドラマの後に、殺されるわけですが((;゜Д゜)ガクガクブルブル 


とにかく、スカっとする事もなければ、 
深く感じ入る事もないのですが、 
ひたすら虚しさと切なさだけが残る 
えぇ作品ですよ。 
こんな大河があっても良いんじゃないかな。 


一つ不満と言えば、 
4月に始り、12月に終わっているわけだから、 
3クール物というのは当初の予定通りなんでしょうが、 
それにしては、打ち切り感が強すぎるよーな気がします。 

終盤、詰め込みすぎでしょ。 
義視なんかも息子が将軍に付いてからは、 
割かし、イイ思いしてるはずなんだけどね。 
日野富子が悪女と呼ばれるのは、 
もちろん、金の亡者という評判からなんですが、 
加えて、晩年の節操の無さがあってこそでしょ。 

応仁の大乱の際、義視とバリッバリに争っておきながら、 
息子が死んだ後、その義視の息子を一押ししたり、 
義材を推したかと思えば、次は堀越公方の方の血筋を推したりと、 
その遍歴が全然見えなかったのが残念です。 
中盤までの宗全→勝元の死で半分が終わり、 
後半、義尚と義政と一緒に完全に燃え尽きてしまった感じですな。 

ドラマ的にはスッキリしてて良いのかもしれませんが、 
その節操の無さ、別に撫で斬りにしなければならないように、 
お互いに憎みあってるわけじゃないと。 
昨日の敵は今日の友で、今日の友は明日の敵と。 
この感覚が全てな時代なだけに、別に描いてもよかった気はしますがね〜 



さて、一番見たかった大河ドラマをついに見てしまいました。 
さすがにもう無いな〜 
何か悲しい。 
古いタイトルにはありますが、テープが現存してないとかで、 
この世にそもそも存在しないそうなので。。。。 

ちなみに大河ドラマを繋ぎ合わせていくなら、 
花の乱は、時代的には「毛利元就」に完全に繋がりますよ。 
細川俊之が演じた大内義興の親父さんの大内政弘が、 
ほぼ晩年まで重要人物として活躍しますから。 

そんで、9代義尚が死んで、 
義視の息子である義材が10代将軍を次いで、 
その後、政変があって追い出され、11代に堀越公方の血筋が入って、 
(ココまでこの大河で扱われます) 
色々あった後、義材が山口の方に保護を求めて巻き変えしを図り、 
義澄側に勝利して復権を果たし、 
それで後見の大内氏が京都に居座ってますよってトコロで始るでしょ。 
あのドラマ。 

そーなるわけですわ。 


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