<CD アルバム 編>  2010年9月30日 日記より


アルバムいってみよう。 
これも、以前の映画みたく「ジャンル別」になっちゃうかな。 
みんな、本当に好きなアルバム、聴いた時間の順とかで並べると、 
単一アーティストの作品が、上から5枚とか出てきて、 
成立しない事にならんだろか?w 

てな感じ。 


『TIME OUT』 (デイブ・ブルーベック) 

Take5の一曲に集約されるアルバムではないだろか。 
ピアノが主役のカルテットでありながら、 
ブルーベックは延々と決まったリズムを刻むだけ。 
地味地味。 
その間、サックス、ドラムと、 
自由自在に主役を張り続けるわけなのですが、 
その裏で、あまりに一貫した演奏を続けるピアノが、 
いつしか耳に残るようになる。 
で、気付けば、どの耳もピアノの音を自然と追っていて、 
主役が誰かを思い知らされるという 
詐欺のような演奏。 

その永遠に刻まれる5/4拍子という変拍子が、 
退屈させない一曲です。 
どっかワンテンポずれて気持ち悪いんですが、 
途中からそれが癖になってくる不思議。 

他の曲も4/4以外の曲ばっか。 
もしくは、途中で拍子が変わったり 
やりたい放題の自由すぎるステキな一枚。 

今時の人間が聞いても「退屈しないジャズ」のスタンダードでなかろか。 



『Portrait in Jazz』 (ビル・エヴァンス) 

また、一味も二味も違うジャズらしいジャズ。 
ただ、各々楽器が個別パートをもち、完全なソロ演奏で好き勝手やるあたり、 
こちらの方が、より我侭な構成に圧倒されるかも。 
このスタイルこそ、ビルエヴァンスのトリオならでは。 
べースのスコットラファロはマジキチですよ。 
本当に音楽かコレはと疑問に思うほどの無軌道っぷりながら、 
それでも、拍子だけは外さず、 
結局、綺麗に元メロディに合わさる様は圧巻。 

TAKE1、TAKE2が両方収録されている 
アルバムとしての洗練のされなさが 
時代を感じてまた良い。 

『Waltz for Debby』と最後まで迷ったが、 
伝説の枯葉が入ってるのはコチラ。 



『STEP』 (a・chi-a・chi) 
アニオタ時期のあったオイラとしては、 
当然、この手の作品は一枚入るでしょう。 
手広くやってた青春の一つだな。 

中身。 
『魔神英雄伝ワタル』というアニメ作品から生まれた 
a・chi-a・chiです。 
細い声のアイドル路線ながら 
同時に歌って、二人なんだけど一人かもーに聞こえるという 
双子ユニットならではのちょいと反則技が特徴的。 

特に、オイラは井内秀治の歌詞が好き。 
会いたいけど会えないよーな中身が多く、 
一見すると、ただの色恋沙汰の何処にでもある詩なんですが、 
作品を通して見ていれば、この切なさが痛い程に良く伝わる。 
会えないってのは本当に会えない異世界に対する郷愁なのよ。 

とにかく、曲も歌詞も甘くて若いです。 
卒業ソングとかさ。 
音楽に乗せて、1時間ちょっとひたれるという点で、 
至高の一枚。 


『TOKYO BEAT』 (田原俊彦) 

1989年のトシちゃんのアルバム。 
音楽の話しをしているのに、田原俊彦の名前が出てくる時点で 
何か違うのだが、楽しむためのプロセスを経て聞けば、 
これほど、ノリノリにさせてくれる一枚もない。 

田原俊彦=TV時代の申し子。 

音だけで聞いても、映像だけで見ても、 
どちらも片方だけでは、不完全ながら、 
その両方が合わさった時の威力は、本来の二倍にも三倍にもなる。 
この暴論が、通るのがトシちゃんなんだな。 
単体で聴いても成立しちゃうよーでは、 
むしろ、TV時代が生んだエンターテイナーとしては不完全とすら言える。 
音楽が本当に音楽なら、ラジオでいいわけですよ。 

TV音楽というジャンルの楽しみ方を 
自信をもって自身の音楽史から外せるのかというと、 
割と出来ない人のが多いと思う。 

そんなトシちゃんが、 
伝説の10周年LIVEに合わせて、最もノっていた時期に出した。 
最もダンシングなナンバー。 
一枚挙げるなら、これしかない。 



『HISTORY』 (マイケル・ジャクソン) 

まず、一枚目のシングル曲だらけのベスト版。 
この存在を熱烈に支持する。 
マイケルは世代を限定してはいけない。 
誰がいつ、どのアルバムを手にしても、 
最高のマイケルの世界を紹介しなければいけない。 
これはコンテンツを届ける側の義務です。 

そして、真骨頂の二枚目。 
一般には、 
違いのわかる人は、オフザウォール。 
総合芸術としては、スリラー。 
時代を現すヒーローとして、バッド。 
神格化されたマイケルそのものとして、デンジャラス。 

マイケルは、ジャンルに限らずその時代の最先端を 
あくまで、自己流に表現するアーティスト。 
ところが、このヒストリーだけは別。 
マイケルが、自分のやりたい事だけを最大限に追求した唯一の一枚かもしれん。 

ある意味、彼の最大の代表作であるERTH SONGもこのアルバムだし、 
"We Will Rock You"かよと揶揄されるノリから入る 
強烈すぎるメッセージソングのThey Don't Care About Us。 
とにかく、いつもの甘いだけの歌詞がなく、 
主張が激しいのがヒストリー。 



『ベートーヴェン ピアノソナタ シリーズ 全般』 (フリードリヒ・グルダ) 

これは少し面倒くさい話になりますが、 
まずはベートーヴェンのピアノソナタの魅力だね。 

オイラは隠しメロディの多さ(本人は隠したつもりは無いだろうが)に 
心惹かれます。 
章が変わったと思いきや、一音一音を繋ぎとめていくと、 
連符の中には、ちゃんと元のメロディが描かれていたり、 
右手で弾いていたと思ったら、気付くとノータイムで左手パートに 
メロディラインが移っていたり、 
油断すると、本来のラインを見逃しすらしないかという 
遊び心の多さ、楽譜を眺めるだけで楽しめる点が何より好き。 

特に挙げるのは『月光』と『悲愴』でしょか。 

そこで、それを体言できる奏者として、グルダでしょう。 
“オレカッケー”を地でやれる人でなければ、厨二な曲に負けてしまう。 
とにかく、派手で、速くて、パワフルで、それでいて情緒的で、 
時には、プロのクセに音を外す事すら厭わない勢いを兼ね備えた 
(CDはさすがに無いぞw) 
フリードリッヒ・グルダがベスト。 



『SELF PORTRAIT』 (槇原敬之) 

歌謡曲(Jpop)が、自分の人生にはない未知の世界を写す 
ファンタジーの世界とするなら、 
13歳の中一にマッキーは強烈すぎた。 
奇麗事ばっかが並ぶラブソングが売れていたあの世代、 
男女間の感情に、こんな事が起こりうるのかというインパクト。 

それでいて、万人共通の感覚を見事に突くわけよ。 
一人よがりで、エゴイスティックで、美しさの欠片もなくて…… 
自分が嫌いになりそーで、 
でも、だからこそ本当に素直気持ちをズバリ見抜いてくる。 
そういう鋭さに痺れた思い出。 
天才的に屈折していると思います。 

ほぼ全曲、ハイな時でも、ダウナーな時でもある意味聴ける 
器用な一枚。 



『TRUE COLOR』 (シンディ・ローパー) 

80年代という時代に対する憧憬。 
つまりは、オイラのとって子供時代への郷愁だーな。 
あの無限の明るさこそが、時代を映す鏡なわけよ。 
80年代は特殊な時代でして、 
中身の薄いノリだけの作品が、"特にアメリカで"多い気がします。 
バックトゥザーフューチャーで、ヒューイルイスが歌ってる様を 
想像してもらえれば、何となくわかるでしょう。 
音楽でノリが良いんだから、それでいいじゃないか! 

そんな中でも、最高峰がシンディーローパーでなかろか。 
悪口じゃないよ、市場が圧倒的に大きくて、 
半端な才能は一瞬で埋もれる程に、作品に満ちていた時代ですよ。 
これは、そんな競争の時代、彼女がNo.1、旗手だったという事です。 
魅力は、あの声質の可愛さと、 
そこからは想像もできないパワフルさの融合だろか。 
ステキ。 

やっぱ、世代的には、 
「シンディ=グーニーズ」かなー 




『時の扉』 (WANDS) 

二枚続けて、この理屈はどーかと思うんだけど、 
「聴いた時間」で言えば、どーしても外せない。 
上記が小学生時代なら、これが中学生時代。 

オイラが真面目に中学生をやっていた証みたいな一枚です。 
中坊にとっては、共通の言語としての音楽ってのがあるんだよ。 
(少なくともオイラの一年生の時の学校では) 
WANDSは、確かにその標準語としての位置に君臨していた存在。 
ちょっと、ハスキーでかつ太めな声が、他のビーイングと比べて 
圧倒的に男臭くて好きだった。 

キーボード脱退後の新生WANDSの第一弾だな。 
曲調はドレも(表題曲と)似た感じながら、 
2曲目のDEENからの出張曲『このまま君だけを奪い去りたい』と、 
最後の『世界中の誰よりきっと』WANDS Ver.が 
程良いアクセントになっていて、ダレル程ではないっすね。 
全10曲というコンパクトさも良し。 
上記の通り、上杉昇のヴォーカルの力で強引に魅せるバンドなので、 
まぁアリだろか。 


『SONGS』 (175R) 

最後の青春ソング。 
いや、厳密には 
まだ、オイラの感性は青春ができるのかと、 
綱渡りしていた一枚か? 
ある程度の世代を外すと、 
いくら若者臭さに憧憬の念は抱けても、共感自体はできないよね。 

日本では、特にフォークソング一強時代があるので、 
それ以外の楽曲による主張系は出にくい感じがあったんでなかろか。 

でもさ、大事なのは、とにかく声を挙げる事。 
ジャンルでも、メッセージの中身でもねーんだよ。 
音楽は、わかりにくくなきゃ駄目なの? 独自性がなきゃ駄目なの? 
確固たる主義主張がなきゃ駄目なの? 技術がなきゃ駄目なの? てなもんで、 
稚拙でも、軽くても言いたい事を叫んで、それに響く人が居たら、 
もうそれで成立してねーかい? って一枚。 

軽さと率直さが、聴く側の救いになる事もあんのよ。 

フォークから一枚かなーと思ったんだけど、 
単体曲ならいくらでもありつつ、 
「アルバム」としてだと、そんな思い入れのある作品がない。 
そんな中、ふと頭に浮かんできたのがこのアルバムでしたとさ。 
直感は大事に。素直にコレで締め。 

戻り