<仮面ライダー アギト>  2010年8月19日 日記より


最近、昔の平成ライダーを目にする機会がありまして、 
懐かしいな〜と思うとともに、何か一ネタ。 

既に、10作品くらいあるのかな? 
ここ2年くらいはご無沙汰なのですが、 
基本、過去作品はほぼ見てます。 

そんな中、No.1作品となると、、、、 
やっぱ、アギトかな。 

ミステリー風の本編を主軸にした 
青春群像劇です。 
一貫して、登場人物を3人(派)だけに絞っているため、 
ひじょ〜〜に描写が行き届いて丁寧。 

津上翔一には、ヒロインの真魚ちゃんを中心にした 
優しい一家のお話があって、 
氷川君には、警察内におけるチームの誇りや、 
北条さんとの痛快な絡み合いがあり、 
葦原さんには、彼だけの怒涛の人生がある。 

この3人の絶妙に馴れ合わない距離感がステキです。 
それが、たまーに交錯するわけですが、 
中盤を終えるまで、決して深くは絡まない。 

何より、現実には存在し得ないような突飛な言動を繰り返す事で、 
キャラクターを立たせる手法を取らず、 
地味ながらしっかりとしたストーリーの積み重ねで、 
キャラ愛を育ててくれるのが実直で良し。 
即物的なキャラ付けの快感を与えてくれない代わり、 
何十話も付き合った後の 
彼らの地に足の付いた言動に一々感動できるわけよ。 
4クール物ならばこその贅沢の極地。 

ラスト10話の路線もありまして、 
まぁ彼らが、自らの生き方、居場所を見つけていくのが、 
この作品の主題だったのではなかろかね。 
平成ライダー屈指のストーリーメインの真面目な作品ですよ。 
井上センセどーした? 

互いの正体を暴露しあうのが38話前後というあたり、 
如何に、この作品が丁寧な長期計画の元に作られているかが、 
わかるというもの。 

「あいつが……アギト?」 
「そんな、葦原さんが……?」 

みたいな展開が超good。 
過程を丁寧に描けば描くほど、 
話を上手く引っ張れば引っ張る程、 
いざ、その時が来た際のwkwk感は倍増。 
これは、「キノサン」の登場シーンも同じだね。 

造詣も中々でして、 
当時のヒーローデザインを一身に受けたアギト。 
ライダー本来の「生物」感を押し出したギルス。 
定番となったメカデザインのG3。 
三者三様の個性が、キャラの位置付けにリンクして光ります。 
どれも必要性があって生まれたライダーです。 

そこに終盤の「切り札」として、 
石森リスペクト、オリジナルライダーデザインを踏襲した 
アナザーアギトでノックアウトよ。 
このクオリティは、以降10年出てませんよ。 
アギトでなければ実現できなかったスタッフの執念でしょか。 

神秘的な物に対する恐怖感、 
ホラー感の出るストーリーで 
実にライダーらしいのも、アギトまでの特徴。 

翌年の「龍騎」は平成ライダーの雛型を作った偉大な作品ですが、 
(大好きよ、Best3を挙げろと言われれば「アギト、リュウキ、カブト」です) 
それでも、「龍騎以降」と「アギトまで」では、 
一つの大きな壁がありまして、 
龍騎には受け継がれなかった地味という名の魅力が、 
クウガとアギトにはあるんだな。 
悪乗りしすぎないトコも心地よいのです。 
「仮面ライダー」の名前を冠する価値てのもありますな。 

そういった意味で、 
アギトを推しますね〜 




最後、最終回含む、ネタバレ入りますが、 
その中でも、オイラの一番のお気に入りは葦原さんです。 
彼は、 
津上翔一という、実に平成らしい軟派な主人公の裏でこそ 
生まれ得た生粋の特撮ヒーローなんですよ。 

石森ヒーローとは何ぞや。 
悲しみ、哀愁を背負った流離いの美学ですよ。 
メシを喰ってはいけない、トイレに行ってもいけない、、 
これは、宮内洋御大の口癖ですが・・・ 

最終回における彼の身の処し方は、 
まさに、「そのもの」ではないかと、ふと感じるわけです。 

本来のアギトのテーマからすれば、 
彼も、他二人と同様に、 
ちゃんとした人生を見つけなければならないわけですが、 
葦原涼だけは、彼だけは何の終着点もない 
流離いの旅に出るわけです。 

そんな人生なんか無いんだぜ…… 
そんな事は誰だってわかっているからこそ、 
彼の存在に救われるわけよ。 
イイ年こいて、ライダーなんて見てよかったと思える夢がある。 

あれだけドン底の人生を強いられて、 
なお、ああまで優しくいられる彼こそがアギトの真の主人公でしょうよ。

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