2011年(12)浜益のK渓は惨めな釣行となる。

札幌市内のイチョウ並木は真っ黄色に染まる晩秋となりました。
3ケ月振りに釣兄のTさんを誘って暑寒別岳山系の南端に位置する旧浜益村のK渓に釣行をした。

このK渓は平成8年〜平成11年の間に7回釣行しています。
以来12年間も足が遠のいたのは
林道の崩壊のためでした。

渓秋はこの林道の崩壊により渓は守られているとの思いが有りました。
渓秋のホームページの「山釣14選の第10選-此処から先は天空に行くのか雄冬山系K渓」に
出てくる渓です。

「本編2011年(7)暑寒別山系でE渓で幻のイワナに出会う」の編で
暑寒別山系で朱点の有るイワナを
更に探ると記して居りましたが
今回はK渓にてその実証を試みる釣行記です。



今年は羆の出没が激しい。
マスコミ報道ではまるで札幌市内を羆が闊歩しているようだ。
しかし、山釣では以外と羆には出会えない。
残念と思う気持ち少しと出会ったらとても怖いと思いが交錯する。

今回の釣行からいざと云う時の戦い用の「ナタ」携行品に追加。


森 渓秋


その1・幻の朱点イワナを求めての巻。

旧浜益村のK渓は写真中央の釣り鐘のような単独の黄金山739mの右側を流れる。
源頭は知来岳988mである。

流程は約10km弱で岩盤をえぐるダイナミックな渓である。
今回は山側の林道から入る予定だがゲイトが閉じていれば、徒歩では晩秋の日暮れは早いので無理。

予備に近くの「幌地区」の新しい渓を目指す予定だ。
国道から分岐する林道入り口に古い道標がある。
営林署林道右14km。浜益村林道左13km。

この二つの林道はK渓の中流域地点で合流しているのである。
この山側林道は12年前に若き釣友A氏と登ったが、粘土質で急峻な林道に太い倒木が有り断念したものだ。

今回は立派な標識が有り通行止めであった。
念のために村道の林道を探ってみたら荒れ果てているが崩落個所は復旧していた。
しかし、これでは釣人が容易に入渓出来る。

12年間渓は守られていると信じていたがあやしい限りだと不安が過ぎる。
二つの林道が交わる渡渉地点。

渓はここから遡行4時間半で魚止めの大滝だ。

かって出会った釣人の話によるとこの源流地帯に朱点あるイワナが棲む云う。

しかし、15年前に魚止めの大滝まで遡行したが出会えなかった。
今回こそはと願いつつ遡行を開始する。
晴天・無風の中、渓は大岩帯が続き高度を上げていくがさっぱり魚信は無い。
遡行すること1時間。

下流域の最大のポイントに到達。

昔はここで必ず尺上サイズがヒットしたものたが今回は全く魚信が無い。
透明な渓水で水底まで透けて見える。

下の画像と比べると、今回の方が滝壺が埋まり浅く広がっているようだ。
この画像は8年6月にAさん・Tさん・Yさんの4人で釣行した時のものです。
この場所でこの日一番の大物が上がった思いでの場所だ。
渓はここから急に高度上げ大岩盤帯の連続である。

渓水が流れるのではなく走るのである。
かっては、岩盤帯の続くプールで必ず大イワナが釣れたがものだが、今回は全く魚影無し。
連続する岩盤帯の絶好ポイント。
しかし、魚影は全く無し。
3か月振りの釣行の釣兄も余りの魚影のなさに力が入らないようだ。

魚影の薄さに丹念に探りすぎたのが2時間半を要して、中間地点の滝に到達する。

滝は二段で10mほどあるがこの滝は魚止では無い。

古い釣誌には陸の孤島と云われた昭和30年代前半の頃。
滝川からオートバイで来て渓の入り口に有る開拓農家に一泊して釣行した釣師の話として、画像側の竹藪の中を大イワナがまるで蛇の様に身をくねらせて遡上するのを踏みつける処だったと記されている。

今回は秋の渇水期で右側の岩盤面水が流れていないが平成8年6月の時はこの大岩にも水が流れていて登るにの苦労したものだ。
期待の滝壺も丹念に探るも魚影は全く無し。
思ったよりも時間が掛かり過ぎた。

源流の大滝まではとても無理。
でも後1時間くらいのヘズリのポイントまでは確かめたいと思い滝上から振り返ると、釣兄は竿を畳んでこのポーズ???。

上へ登って来いと合図するとさらに×マークのホーズ。

滝横の大岩を尻滑りして降りて見ると、もうこの滝は登れ無い・勘弁してくれと泣きが入る。
「函館の龍さんが山は逃げないとの格言をくれたばかりだ」
もう二人も歳だし無理は出来ないと自覚。

再び訪れことが出来るだろうか?
12年間の間に釣尽くされのだろうか?、本流と繋がっていて何の人工物の障害もない渓だから海からの親アメマスが遡上しているはずなのに不思議なり。

と思いつつ下山開始。

復旧のなった林道を下山。


その2・H川本流を探るの巻。

K渓で全くの魚影がないまま帰ることは出来ない。
他へ回ることも考えたが時間が半端で十分な釣は出来ないだろうと判断。

そのままK渓の本流のH川の様子を見ることにした。
合流地点は河口から約9km。

来る途中で見た頭主工の水門は開いていた。
アメマスの遡上が期待出来るはずだ。

本流との合流点の水底に「鮭の産卵後の魚体」を発見。
予想通り海から親アメマスは遡上をしているようだ。
初めて入った本流の合流点の上流部。
この本流の中流域だ。

なんの変哲もない流れで魚の溜るぽいんとはほとんど無し。
しかし、多数の鮭のホッチャレが浅瀬を逃げ回る。

河原からは異臭がするが良く見ると鮭のホッチャレの死体が多数有り。
しかし、獣に食べられた様子は無い。
キツネも羆もいないのだらうか??
下流部の深みのある絶好ポイント。
鮭が数匹泳ぐが当たりは全くなし。

鮭の産卵した卵を目当てにアメマスも一緒に遡上すると云われているがその影もなし。
ウグイも釣れない川だった。

過去の経験として、晩秋や初冬の晴天の日には魚影が全く無いことがある。
木の葉も落ち・水が棲み・魚は鳥などの外敵を警戒して餌を追わないのではと思う。
あれや、これやと考えつつ河原を戻るとまるでミニチュアのような蛇が釣兄が棒で突くとちょっと身をくねらせたが動きは鈍い。

小指ほどの太さ、長さ40cm。
縞蛇か?
頭上の倒木になんとも立派な「ムキ茸」これほど見事な物は稀である。
収穫。

久々に釣兄Tさんを誘った釣行だったが、いわゆる「坊主」でした。
K渓で朱点イワナを確認したかったのに残念。
15年まえは遡行4時間半で大滝に到達したが、もう歳も取ったし多分5時間で無理かも。
ということはもうあの魚止めの大滝を見ること出来ないのだろうか?

それにしても、小一日竿かついで一匹の魚影も見ない惨めな日だった。
しかし、釣兄曰く「渓を歩いて、水音・景色を愛でるだけで十分楽しかった毎回大釣もいいがたまにこんな日があっても悪くない」。
収穫した「ムキ茸」は「トリモツ煮込みの仕上げに鍋に入れた」旨かった。
浜益の恵みに感謝。