2011年(10)五度目の積丹「胆・怒・笑・嬉」の釣行記

今年の山釣り期も残すところ一カ月となった。
長い夏休みの「ツケ」を取り戻すべく単独行で5度目の積丹半島へ。

単独行では、距離・安全性・釣果を考えるとつい積丹半島へ足が向く。

前回の「イワナの滝登り」をじっくりと観察しようと思い立つ。
この方面は10日間ほど雨がないので新たな遡上は期待出来ない。
天気予報は11月並みの気温で雨で荒れる。

何時もより一時間早めて4時出発。
曇天で真っ暗、手稲山のシルエットも定かでない。
小樽の街が見えるころようやく明るみが出てきた。

古平町からの当丸峠は濃霧ですっぽり包まれて目指す神恵内村のS渓は大丈夫かと不安が過ぎる。

その1、イワナの滝登りの再現を期待して落胆の巻。




前回は「熊戻りの沢のイワナの滝登り」を時間切れで良く観察出来ず。
写真もいいものが撮れなかった。

今回は逆回りコースでこの渓を一番目とした。

温泉源のある村道は早くも修復済みであったが林道は荒れたままであった。
どうやら今朝は一番乗りである。

「熊戻りの沢」午前6時半到着。

霧雨。

渓は秋めいて見通しが良くなった。
滝に至る藪は踏み分けがはっきりと付いていた。
洪水後の入渓者が多ったかな?
渓は予想通りの減水だった。

一眼レフカメラを構えてしばらく観察するも魚影全く無し。

イワナは増水期でないと滝越えが出来ないことお本能的に知っているのだ。
賢い。
結局第一の小滝では25cmのイワナが一匹のみ。
そして、第二の小滝ではカジカが二匹のみ。

入渓者に釣られたか、滝越えしてしまったのか? 大物の魚影全く無し。
大いに落胆する。


その2、S渓の本流を探るの巻。

「熊戻り沢」切り上げて、林道を下り本流に戻る。
ここでも踏み分け道が一段とはっきりと付いていた。

皆考えることは同じのようで雨後・洪水後の大物狙いで入渓者が多かったようだ。

ここも減水で魚影は薄い。

今年は遅い紅葉だ。
しかも色がくすんでいる。
ここも減水で魚影は薄い。

今年は遅い紅葉だ。
しかも色がくすんでいる。


やっと当たり 良型25cmのヤマベだ。
 一時間釣上がるも小型のイワナとヤマベのみ。
目印の「小糸状の滝」に到達するころには雨も本降りとなる。

下りの大場所で大物の魚影を発見するもゲット出来ず。
ここでも落胆す。

その3、北積丹のH渓で怒りと笑いの巻。



本日の予報は午後から大荒れ。

午前中になんとかもう一か所を釣ろうと神威岬を回ってH渓に到着。
小雨だが風はなく問題なし。

何時もの急峻な竹藪崖を降りる。

この渓も予想通りの減水気味だ。

数匹の「サケかサクラマス」か産卵のために遡上。
カメラを向けるも元気に逃げ回ってシャッターチャンスなし。
第一投で良型ヤマベ26cm。

幸先よし。
続く第二投目。

小型だが引きの強い当たり。
ヤマベでないなにかが水中で光る。

釣りあげて我が目を疑う「ニジマスの幼魚」だ。
信じられない。

二十年来この渓に通い続けているが初めてだ。
この渓は毎度ご案内の通り中流域に小さな林道の橋が有るだけの全くの自然河川で海からの遡上魚が自然産卵を繰り返し、大型のイワナ・アメマス・ヤマベの魚影の濃い渓だ。
釣人の風上にも置けないバカ者が違法放流したのだろう。

全くの怒り心頭なり。
今回天気が荒れる前に渓を下るべく、大場所を重点的に探るも意外と小さなポイントに魚信有り。
以外なり。

遡上アメマス32cm。
本日の大物アメマス。

37cmなり。
銀ピカのアメマス30cmなり。
やや細身のアメマス30cmなり。
飛ばし気味に釣り上がり何時もより30分早い1時間半で目当ての「三段の滑床滝」に到達。

丁度正午。
急に雨足が強くなり始める。

たった1時間半でこんな楽しい釣が出来る場所はそんなに多くない。
こんな魅力的な渓に「ニジマス」を放流する奴はどこのバカ者だ。

雨の渓で一人怒り嘆く渓秋です。
雨脚が一段と強くなり、足元を注意しつつ・熊除けの警笛をつかって慎重に下山開始。

すると前方に小動物は発見。
北キツネと思いつつ静かに近づくこと20m位か?

よく観察すると、どうやら「タヌキの兄弟」だ。

タヌキは昼目が効かないのか、水音と雨音のせいか、渓秋のザックに吊るしたベル音は聞こえないのか??一心に餌漁りに夢中。

そのしぐさの何と微笑ましいことか。
渓ではエゾシカと北キツネは良く出会うが「エゾタヌキ」は初めてなり。
しかも写真も撮れた。


その4、帰途の古平O渓で嬉しい爆釣の巻。



ゴアテックスの雨具を着込んでも、汗と水濡れ全身が重い。
なとんか最後の崖を這い上がり愛車に到達。

とりあえずここで「ノンアルコールビール」で一人乾杯す。

雨が気になるが幸い小生の大嫌いなカミナリはまだ遠いようだ。
時間てきにはまた早いので着替えずにこのまま帰り掛けにO渓の大ダム下を覗いてみょうかな。

大ダムに至る林道に入り口の小さな湧水の沢沿いに洪水防止の「土袋」が積んであるが四駆の威力で越えて荒れた林道を進む。当然先行車なし。

ここもはっきりと付いた踏み分け道をたどって渓に降りるとやや小型で細身の「サクラマス」が 二匹遊泳中。

この魚体から推測するに積丹のH渓の大型の遡上魚はやはり「サケ」だろうか?
たび重なる洪水のせいか大ダム下はすっかり土砂に埋まりポイントらしき所は無し。
びしよ濡れの装備を置いて竿一本で右側の護岸ブロックの際を探ると小さな当たり。

期待をせずに併せると浅い水中に銀鱗が踊る。
遡上アメマス34cm。
続けさまにまた強い当たり。

良型のヤマベ28cm。
おどろきの爆釣。
このちいさなポイントで次々に良型が竿を絞る。

このポイントを良く観察すると、大ダムには立派な魚道が付いている。
しかし、減水状態で渓水は護岸ブロックの下を僅かに流れる程度だ。
むろん魚影は見えない。

多分。護岸ブロックの下の「エグレ場」に魚道越えのチャンスを待って群れているのだろうと推測する。
帰りかけの駄賃にと覗いた渓での爆釣に一人嬉々した渓秋でした。


午後3時本日の怒り・笑い・嬉しい釣を終了と同時に予報通りの大荒れの天候になる。
愛車のワイパーをハイスピートにしても前方を見通すのに苦労するほどの大荒れなり。
ちょうど13時間・245kmの釣行記でした。
イワナ飯・イワナ筋子・ヤマベのてんぷら........渓恵みに感謝・ご馳走さまでした。
前回試作の「冬葉=トバ」孫たちには大好評だった。

今回は下処理・味付け・漬け込みにもうひと工夫をした。

季節晩秋で低温で空気も乾燥して一晩でバリッと干せた。

今回は風乾を短くしてややソフトにイワナの風味を楽しむ仕上を狙ってみる。
出上がりは次回報告させていただきます。


11月並みの寒気で札幌郊外の手稲山(1,023m)に半月も早い初雪が降りました。
今シーズン初の暖房を付けた渓秋の工房よりの報告でした。