2011年(6)小雨の暑寒別山系での惨敗記。

今回は毎年7月上旬に釣行する「北龍町の恵岱別川」です。

この渓は南暑寒別岳から流れ下り途中に「名勝:三段の滝」がありここまで遡行可能で、その大きな滝壺には50cmを超える黄金イワナが潜んでいるはずと毎回心を躍らせて挑戦するが、過去の記録は42cm止まりである。

今年は昨年の増水による途中撤退という苦い経験から、一週間遅らせての釣行である。

朝5時の出発間もなく釣兄Tさん曰く「今日は都合で3時までに帰着」したい。

余ほどの好条件でもキツイ予定だ。
天候状態では第二目的地の「増毛町の箸別川」に転進することも考えて愛車テラノを走らせる。

森 渓秋


その1・恵岱別川の巻。


札幌から100km超で、小雨の主峰・南暑寒別岳を遠望する。

まだ残雪が例年より多く残っているようだ。
この渓は残雪・気温・降水の条件が重なり合って入渓時期が読みにくい。

過去に三度も蛇行する流れに渡渉困難で撤退した苦い思いがある。

国道より林道に入るとすぐにゲイトがある???。今年は入り口に移設したようだ。
しかも、今までに無い「入林許可に関する」指示版が2枚も貼ってあるではないか。

しかし、このゲイトは「入林箱」で記帳し番号鍵は案内してあり直ぐに解錠。
通過。

後日、看板の森林管理事務所に様子を伺うと、林道に落石が多くて車両通行止めとした。


しかし、数百mで真新しい金属ポールで三段のロープ張りの通行止め看板がある。
こから先は森林管理署の入林許可が必要らしい。
渓までは徒歩で5km弱だ。

例年は、ここともう一つのゲイトを呪いで通行して僅かの徒歩で入渓出来たのだが今年はダメだ。
徒歩で水量を確認して遡行不可能であれば往復3時間弱の無駄である。

小雨とこれから気温上昇を考えると水量は更に増す恐れあり。

Tさんに判断を任された渓秋は断念を決断する。
第二の渓へ転進を決定する。


毎年林道の通行規制が厳しくなる一方だ。
昨年は死者まで出した観光登山ツァーガイドも複製鍵で無許可通行だったと報じられた。

それにしても廃道までも許可の対象では、急の釣行で時間外での許可を求めるのも難しい。


その2・箸別川の巻。
暑寒別岳を挟んで西側に位置する箸別川はY字の二つの支流を集めて日本海に注ぐ単独河川だ。

右側が本流で40cm超級の源流イワナが潜む。

中流域にはとてつもなく大きな砂防ダムがあり、ラセン型の魚道は立派に機能している。
渓秋は過去に5度砂防ダム上の源流釣行を果たしているが尺物程度だがイワナの魚影は濃い。

平成7年7月以来渓秋の工房に貼ってある魚拓(実物をコピー機に掛けたもの)が有ります。
これは、当時取引業者が知人の釣果を届けてくれたものです。
その彼曰く、暑寒別方面の川で釣ったものだが場所は秘密とのことでした。
以来、長年釣行の機会を探ってきました。

暑寒別方面の河川は三つしかない。

北から順に下記のごとし。

1.信砂川........保護河川.......周年禁漁区。
2.箸別川........5・6月ヤマベのみ禁漁。
3.暑寒別川.....保護河川......周年禁漁区。

これだけの大アメマスが釣れるのは、大雨増水直後の箸別川の大ダム下流域しか考えられない。
今回は予備の釣行と云え時期と降雨とチャンス到来かもと期待が高まる。


大ダム直下を釣るの巻。

恵岱別から峠を越えて中流を跨ぐ林道の橋と、その上流のダム下に至る二つのポイントは既に先行車が止まっていた。

こんな遅い時間では当然かもネ。
仕方なく更上流を探ると大ダム堤体の標識がある場所で駐車出来るスペースを見付ける。
ここより可なりの踏み分け道が渓に続いている様子だ。

早速小雨の降る中入渓準備開始。

大ダム堤体に沿って急斜面を下る釣兄Tさん。

雨で黒土の表土が滑り危険なり。
大ダム直下、期待のもてそうな渓相だが水深が浅く水量も少ない。

岩盤床で魚の溜れる所が無い。
且つ、踏み分け道の通り可なり入渓者が多いようだ。

.......したがって魚信も無し。
魚影が薄い中なんとが粘って 15cm級のヤマベ。
この後同サイズをもう一匹。
小雨の岩盤床帯を探るTさん。

下るほどに渓相が悪くなる一方だ。

Tさんには一度も魚信無し。
完全に魚信が途絶えてあきらめかけた時、水辺に見事な「沢蕗の原」を発見。
もう竿納めて蕗取りをして引き上げようと提案するも、Tさんはあの滑る急斜面を登るのは大変と躊躇。

担がないで、背負えば両手が使えるので登れるはずだ。

こんな素晴らしい蕗は滅多になし。
「デポ用のネット」に短く切った沢蕗を背負い大ダムと対峙する渓秋です。
長い沢蕗をタスキ掛けに背負い急斜面を見上げるTさん。


下流域を釣るの巻。

本流の中流に架かる橋より荒れて藪になった林道を入渓地点を探りながら渓沿いに下る。
丁度、河口と大ダムの中間点位で入渓ポイントが見つかる。
期待は出来ないが今後の為にもしっかりと探る必要がある。

下流域は完全なるチャラ瀬で大物の潜む気配は全くなし。

時折出るピンコ・ヤマベも鈎掛かりせず。
それでも魚影を見るまではと粘ると、河畔林が覆いぶさる絶好ポイントに出る。

ここなら必ずいるはずど期待がふくらむ。
期待に違わずやっと巡り合えた。
サイズは泣き尺物だが強い引き込みのアメマスだった。
余りの魚信のなさに完全に釣りに見切りをつけて沢蕗取り専念したTさん。
土産の沢蕗を抱えて渓から上がるTさんです。
結局本日は一度も魚信がなかった。
本日の箸別川の釣果。
晩酌の肴に「刺身と沢蕗入り味噌汁、ヤマベのムニエル」で家人に本日の惨敗記を報告した渓秋です。
......でも、とても旨かった。
ご馳走さま。
本日の走行距離270km。

予定通りの帰着でした。

なんとしても、夏涸れ前の7月中には恵岱別川の黄金大イワナに出会いたい渓秋です。
次回はこの報告が出来ればと思っています。