(4)ヤマセミを探して新渓へ

 今年もはや10月となった。今年2度目の釣行は単独行となった。

 今回は渓秋の工房のシンボルマークで、バードカービングを作成したいと長年想い続けて来た、ヤマセミを撮影したいものと500mm望遠レンズを用意しての釣行となる。

 目星は数年まえ放映のNHK-TVの渓流写真家の島田氏のビデオ映像より、千歳川の支流と見定めての下調べである。


 このイラストは、渓秋が現在製作中のステンドガラス風のヤマセミのデザインである。工房のガラスドアにアートを計画中完成しましたら、編集してリリースします。

 NHK-TVより、ヤマセミは千歳市の市鳥として扱われているとのこと。

 千歳川には他の場所よりは、市民の身近なところで出会えるらしい。


 地元のアイヌのご婦人の話によると、ヤマセミはアイヌ語で「ハチリカムイ」........「落ちる神」と呼ばれているそうだ。

 その意味するところは、樹上から真っ逆さまに水中ダイブで餌となる渓流魚を捕える見事な様を現わす言葉であるとか。

 納得す。

 千歳市より5kmの千歳川のとある場所しか情報はない。

 地形図を見ていろいろ検討の結果、支流のユウナイ川との合流点付近と決めた。そのすぐ上流には支笏湖の南側に聳える標高865mの紋別岳より発する「小さな名流の紋別川」があり新しい渓で釣りも楽しめそうだ。流程は15kmと蛇行か激しく奥が深い。



第297番新渓 第739釣行 その1

千歳:紋別川中流部



 なぜか林道にはゲイトがあり施錠してある。告知看板によると平成18年の台風被害の復旧が進んでいないので、入林禁止とある。

 ゲイト前ではもう一台軽四輪が止まっていて老人が流れをみている。

 さて、渓秋の呪いでも開錠出来そうもなしと思案していると別のもう一台の軽四輪が来て70歳過ぎの老人が来て、鍵を持っているかと聞くので..NOと答えると、ゲイトに近づき......錠が外れているぞ。先に行けとのこと。

 だか、心配で「施錠されたら帰れないことになる」と訴えると真っすぐ奥まで登りきって支笏湖の国道にでるか、途中から恵庭市に抜ける林道があるから何とかなる。まあ3時前に戻ればまだ施錠しないと思う。....ちなみにこの元気老人はキノコ取りだそうです。


 小生は「ヤマセミ」の写真を撮りに来たと伝えるとそんなに奥へ入らなくても下流でも見れるべさ...言い残して去ってしまた。


 入林してまもなく、軽四輪の二人乗りが下がってきたので様子を聞くと、上流部で大型ダンプとブルドーザーが林道に砂利敷き工事中で戻って来たとのこと。かつ、渓秋の大型四駆では途中ダンプと擦れ違いが出来ない.とのこと....これで支笏湖には出れないことに。



 築50年近い一号橋の標札、セトモノ製に筆書きの古風そのもの。

 紋別川は蛇行が激しく 9か所の橋が架かる。 

 この情報を聞いて直進をすると、造林と工事の標識があり「工事関係者以外立ち入り禁止」とあり。ここで車を止めて取りあえず釣り具のみを背負って徒歩で進むも、一向に工事現場に出会えない。枝の林道も多くありダンプとのすれ違いもできそうだ。

 そこで、引き返し叱られるのを覚悟で車で工事現場まで行ってみることに。


 林道を半分位進むと造林現場があり。重機作業員に地形図を示して様子を聞くと、帯広市から一月前に来たばかりでよく解らない。これから上流はダンプとブルで工事中だから無理だろう。ゲイトは早朝には施錠してきたのに、誰が明けたのか「夕方には施錠するので早く帰ったほうがいいぞ」........ちなみに小生は帯広市の隣の幕別町の出身ですと.....丁寧に辞す。


 ここで、車を止め取りあえず釣りをしてから、帰り掛けに「ヤマセミ」ポイントの下見ときめる。


 身支度中に上流から車が来たので、止めて尋ねると造林会社の社員(社長さんかも)さんでした。いろいろ尋ねると


1.上流より支笏湖の出口にもゲイトあり施錠してある。

2.最近・林道の錠前を取り換えている、確かに新型。

3.林道工事のダンプが恵庭市からの林道を使っているのでそこから出られる。

4.「ヤマセミ」は知らないとのこと。

 先ほどの重機作業員の情報より現在地を推定。地形図によると、ここからくず上流に小さな砂防ダムがあるので、釣り上がるも当たりもなく、砂防ダムも無し。

 どうやら枝林道1本分勘違いし1.5kmほど下流のようだ。
 上流は工事中なので、釣り下りを決める。

 流れは清冽で水深は30〜50cm程度と浅い。その分ポイントが少ない。

 倒木のしがらみが唯一のポイントだ。玉石床で大岩は皆無で優しい渓なり。
 すぐに最初の当たり。水深が浅いので合わせと取り込みの勝手が狂う。

 居着きイワナの24cmか、本日は全てリリースの渓のようだ。

 水量と渓相からみてこの程度が最大かな......
 次に来たのは、沢カジカだこの魚もめっきり釣れなくなった。

 この渓がまだ自然を保っている証拠か。骨酒用にと思ったがリリースする。自然の証と言えばニホンザリガニも10年以上お目にかかっていないな。この渓ならどこかに棲息していそうだ。
 大岩はないが、倒木と青々した苔むした木々が美しい渓だ。
 倒木の影から出た17cm位か。居着きイワナの特徴のパーマークが美しい。
 居着きイワナの特徴が顕著な黄色い腹。
 このような渓相が林道に架かる9つの橋をくぐって10kmほど続く。いくら優しい渓でも単独行で一日では、攻めきれない。
 今度は少し太めの魚体なり。



第298番新渓 第740釣行

支流の水明の沢


 ここまで一時間半、約2km釣り下る。右手より枝沢の「水明の沢の小さな砂防ダム」
 余りにも小さなチャラ瀬の流れ。小さな倒木のシラガミのポイントにて。浅瀬を背びれを立てて暴れ廻る居着きの大物イワナ。驚きの30cm

 本流は小・中型ばかりなのでちょっと油断、倒木に絡めてタモ網で取り込む。


 ゲイトの閉鎖時間が気か駈りで釣りを一旦止めて「ヤマセミ」ポイントへ


未だ見ぬ「ヤマセミ」を探して

 林道に出て見ると頭上に山葡萄で高すぎてダメ。羆さんが羨ましい。
 林道を下ると老人の4人組。山葡萄ワインを造るとか。新兵器の剪定ハサミを使っていとも簡単に収穫中なり。剪定ハサミを使うと来年も実りが多いとか老人の知恵に頭が下がる。ちなみに何も入れずに発酵させて、酸味が強ければ砂糖を加えて調整するとのこと。

 渓秋のテラノのルーフキャリアから剪定ハサミを使ったら相当収穫出来そう、剪定ハサミに投資が必要だ。

 簡単に美味い「山葡萄ワイン」は出来ない。

 「ヤマセミ」について尋ねるも知らないとのこと、下流で釣り人は良く見る。

 恵庭市へ抜ける林道より入林したとのこと。どこまでも真っ直ぐに下ること。

 今日はダンプが出入りしているので出口に警備員がいること。途中枝道が多いので気を付けないと、迷子になると親切に説明してくれました。


 千歳川本流の王子製紙第四発電所のダム湖、この上流600mほどの地点で支流のユウナイ川と合流する場所が目星の場所だか。
 昔は苫小牧に有る王子製紙の工場に安定的に電力を確保するために国策として、一企業に発電ダムの開発権を与えたのだろうか。

 今も現役で管理・機能している。良く整備されているのが写真でも解る。

 ここから源流の支笏湖ので20kmの区間に5か所の発電ダムがある。

 送電線直下の管理道路を戻り、徒歩でエゾマツ林と藪こき300m

 目指すポイントは30mほどの切り立った断崖で、ユウナイ川が確認出来ず引き返す。更に車でユウナイ川に架かる林道の橋を目指す。

 橋より川の流れを確認するも、涸れ沢で一滴の水も無し。

 完全に目星の付け間違いと判断し、今回はこれにて断念する。




第297番新渓 第739釣行 その2

千歳:紋別川下流部



一号橋より流れに降りると、川床は全て岩盤だった。釣り用語の滑床(なめどこ)

水深は30〜50cmで渓魚が溜まれる場所がまったく無い。

しばらく遡行すると、倒木下に1m以上水深があるポイントに到達する。
 第一投で直ぐに当たり、ちょつと手応えのある引きに釣りあげると鮮やかな朱点が目に入る。てっきりオショロコマかと取り込むと何と思いもよらぬブラウントラウトの小型なり。写真に収めてリリース。

 渓流も久々のブラウンだが、これほど魚体の美しいのは初めてなり。

 このポイントで立て続けに20cm程度ブラウンを8匹釣りあげる。
 だんだん魚信が遠のき、最後の一投と決め倒木直下に餌を入れるとゆっくりと、だか重い感触が手に伝わる。水底にヘバリ付くような抵抗で期待の大イワナと思い慎重にやりとりし、タモ網で取り込む。

 なんとブラウントラウト30cmだった。
 千歳川の源である、支笏湖には放流し野生化した1m級の大ブラウントラウトが棲息しているので、こんな支流までその勢力を伸ばしているのかとガッカリ.......在来魚のイワナが駆逐されるとの危惧を抱く。....正に顔つきといい獰猛で害魚である更に上流を目指すも、平坦な流れにポイントは全く無し。
 下りの岸辺にキノコを発見「多分スギタケ」と収穫、夕飯の味噌汁の具となる。

 今年初めてのキノコ汁ごちそうさま。渓の恵みに感謝。
 更に下って、先刻のブラウンのポイントを念のため探ってみると強いあたり、タモ網で慎重に取り込むと、魚体が白く細い....良く見ると、アメマス系のイワナ28cmである。

 ダム湖から遡上したものであろうか?、この魚体の細さはブラウントラウトの勢力が多く・強いため餌が十分に捕食出来ないのでは推測する。

 その証拠にはこのポイントでの最後の一匹であることでも解る。

 もちろんリリース。
 更に橋から下流を攻めるも、行けども、行けどもポイントは皆無 結局下流では一度も竿を出さず、切り上げる。
 また、何時の日か再チャレンジしょうと思いつつ渓から上がる。

 この渓筋は幾つかの造林現場が有ったが、支笏湖の国立公園の一部に有るのか、河畔林が豊富に保たれて渓流魚には棲みやすい渓であると思う。


 帰途の恵庭市の林道出口の警備員に尋ねるとゲイトは何時も施錠中であるとか。ダンプの出入りの日のみ警備員付きで開錠しているとのこと。次回は営林署の事前情報が必要だ。


 老警備員にヤマセミを訪ねるも知らないとのこと。意外と「ヤマセミ」って知られていない存在と認識させられる。


  後日、NHK-TVビテオを注意深く見ると、「ヤマセミ」の撮影ポイントは千歳市のゲイトより可なり下流域のようだ。

 特徴のある蛇行ポイントが地形図で3km程度区間に3か所ある。次回はここを重点に探索してみようか。

 これから、晩秋・初冬に掛けて木々の葉も落ちるので見分けが付きやすい時期となるので期待できそう。

 今回の釣行は林道を彷徨っても、往復でわずか130kmの近さだった。

 更に札幌〜千歳・恵庭間は高速道路利用でとても楽チンなり。


 では、次回も乞うご期待あれ。





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