(5)’08年 初夏の西積丹に新渓を巡る

 最近「北海道新聞の釣り新聞の刊行10年」を記念した渓流釣りの記念版が発行された。久々に北海道の釣り情報誌を買い求めてみると、道内120河川を紹介している。しかし、他の情報誌と特段の内容でない。

 渓秋の踏破済みも多い。


 そんな中に西積丹岬の小さな渓の情報が目に止まった。

 と云うのも、渓秋もかってこの方面のある滝(結果として珊内川支流の熊戻りの沢の滝であった)を探してみたこどがあった。


 その折の印象では、どの川も河口の小さな集落の中を三面護岸された魅力の無い渓と見て通過してしまった。

 この時の探索で、西積丹岬には珊内川以外ではイワナの棲む渓は無いと思っていた。

 今回は久々に新渓の釣行報告です。


第289新渓  724回釣行

山釣り20年目にしての大失態の巻その1

 泊村のモヘル川の大川ノ滝を目指して、地形図を入念に下調べ万全の態勢で入り渓する。


 林道にはゲイトが有り、何時もの呪いでも鍵は開かないので、橋より入渓

 水はやや茶色に濁り、川床には赤茶化たヘドロがそしてドブ臭い。
 果たして、こんな渓にイワナが居るのだろうか?

といぶかりつつ遡行すると、砂防ダムあり。

 ダム下は自然の深い滝壺となっているが魚信は全く無し。
 更に、砂防を高巻いて遡行するも全く魚信無し。

 すると行く手の遠方に何やら構築物が。

 近づいて見ると、見上げるような大ダム、これでは魚も分断されて居ない訳だと納得し、ここを高巻く。
 大ダムを高巻いて、ダム湖の上流より 大川ノ滝を目指して遡行するも全くの魚信も無し。相変わらずヘドロと異臭。

 二股地点ではこの水量が二分されてとてもイワナの棲める渓とは思われず。遡行一時間で断念。下山の帰途Tさんとアレヤ、コレヤと情報分析をするも結論を得ず。

 車まで戻り、ウエイダーを履いたまま次の茂岩川を目指す。



第290新渓  725回釣行

山釣り20年目にしての大失態の巻その2

 地形図を片手に次なる茂岩川を目指す。

 河口より小さな集落を抜けて林道に入る。

 途中、深い滝壺を持つ高い砂防ダムを過ぎる。

 「帰りに魚道を確認するが無し」


 更に進むと、土地の古老が鉢巻姿で自転車を押し登っている。

 この川で魚が釣れますか?と聞いてみると「釣り人が沢山入って小さなものまで根こそぎ持っていくのでたまに小さなものが釣れるくらいだ。」との答え。

 何れにしても、魚が居るとの確証を得て安堵。

 この古老は夏のキノコ取りとのこと。

 ほどなく、林道は川をまたぐ渡渉点に到着。森林広場と案内板があり駐車場が整備されているも、人っ子一人も無し。


 渓が二分された合流地点のようだ。渡渉点の右側の沢を見ると清冽な小さな優しい渓だ。水温も低いようだ。

 これなら何とか魚に出会えそうだ。Tさんに全てリリースを合言葉に入渓する。


 明るい黄土色石を敷き詰めた川床の右股沢。入渓すぐの落ち込みで当たり
 ちょっと強い引きに慎重に取り込むとなんと23cmの斑紋の美しい良型イワナなり。くだんの古老の話とあまりにも整備された広場周辺を考えると信じられない気分なり。
 このあとは、小さなポイントの連続ではあるが、魚影は驚くほど濃い。
 しかし、途中で尺物級をバラした以外は20cm程度止まり。

 Tさんが、この渓には尺ものは居ないのでは?

 渓秋はこの渓相の良さだから必ず大物がいるはずと更に遡行。
 遡行すること1時間30分。木が渓に倒れているポントで大物の魚影発見。

 Tさんを呼びよせて慎重に釣り上げてもらう。

 驚くイワナの鈎を外して計量。ちょうど30cmなり。

 思わずバンザイと感無量。ついに西積丹岬で尺イワナを発見。
 魚体傷めないようにソォーッとリリース。(水中撮影)
 渓はまだまた奥が深いが。この一匹でもう充分満足なり。

 この渓がいつまでも美しくあって欲しいと願いつつ下山す。

 ちなみに水温は15℃



第291新渓  726回釣行

 昼食の為小休止。さて次はどうしょうか?何時もの渓を探ってみようか?、しかしこんな土曜日の時間では名の通った渓は釣り人でいっぱいだろうナ。


 それてあれば、左股の沢を探検してみようか?

 ちょっと、下見をしてみると。

 倒木と斜面から黒い土砂が崩れて、川床の石はうっすらとヘドロがかぶっている。水もやや薄い濁り有り。

 川幅は開けて、川面に日光が照り返している。

 朝の渓ほどでないが期待はできそうも無い渓相なり。

 ピンボケ写真で失礼。左股渓の入り口、しばらく当たり無し。
 遡行15分ほどて、水が澄みはじめてきた。倒木の下を狙うと。
 強い引き合わせるとなんと24cmのヤマベなり。

 キープの為に腹を裂くと、二度驚きの抱卵ヤマベだ。

 抱卵ヤマベが釣れる確率は2万匹に一匹だとか。

 「Troutst-Vol19号2007年10月1日発刊」資料より
 更に続けて、25cmのヤマベ、もちろんオスなり
 更に遡行するも、流れは細く、魚影も少ない。
 そして、林道の第二の渡渉点で、頭の上から人の声がする。

 駆け上ってみると、若者が二人車で立ち去ろうとしている。

 釣りに来たのかと声を掛けると「勿論。だが一匹の魚も釣れず」と去って行った。

 だが、その渡渉点のすぐ上のポイントで30cm級のヤマベの魚影発見。

 さんざん粘るもゲット出来ず。残念。と目を上流に向けると取水堤が。

 林道はこの施設の管理道路らしくここが終点だ。


 しかし、ここから上流はカジカの子一匹のみ。でここまでと竿納める。

 結局この左股渓では数匹の良型ヤマベのみでイワナは現れず。

 ちなみに水温は17℃

 後で知ることになるのだが「あと数百メートルで二股分岐点  
 その左股沢が目指す大川ノ滝」だったのだ。


 そして合流点の下流部では。


 小型ながらイワナとヤマベが釣れた。混棲しているようだ。




合流点下流部の渓相

 ちなみに水温は17℃

 小さな渓でのヤマベとイワナが棲み分ける条件は水温に有るのだろうか?

 水温の差が2℃の違いで棲み分けるとは、自然の摂理を知った思いだ。

 いろいろと府に落ちない一日を振り返りつつ。

 今回の西積丹の釣行はわずか数キロの国道の間に数か所の渓が流れ落ちる。


 帰宅ごもう一度、情報誌と地図と地形図を見比べてみると、とんでもない間違いにきずいて愕然とする。

 20年山釣りをしているが、釣行すべき渓を間違えてしまった。

 二つの川の渓筋と林道と砂防ダムの配置などが非常に似通っていることが原因か。単なる軽率か。


1. モヘル川と思ったのは玉川でした。
2. 茂岩川と思ったのはモヘル川でした。
イ.  右股渓は支流の藤の沢川
ロ.  左股渓はモヘル川の本流
3. モヘル川の大川ノ滝と茂岩川は次回探検の予定です、ご期待あれ。

 一日中いぶかりつつ遡行していても気ずかなかったんだから 軽率なんだべナ。


 もうひとつの疑問。ヤマベはどこから来たのか?。


 後日、村役場の管理課に電話にして聞いてみると。

 放流事業はしていない。この川には昔からヤマベが棲むとのこと。


 魚道も無い。タ゜ム湖も無い。小河川にヤマベが生き残るはとは有るのだろか?

 未だに信じがたい事実である。

 この小さな渓では種の存続のために抱卵ヤマベの確率は他の渓に比べて非常に高いのてはないだろうか?と推測す。


 次回この渓を訪れることが有ればヤマベも全てリリースしなくてはと反省す。



今回は長々とした報告でした。

次回をご期待下さい。


 札幌も連日25℃を超えて、夏本番近い渓秋工房より。