(4) '08年 暑寒別岳山系に羆と幻の大イワナ伝

 北海道も6月下旬ともなると渓谷は初夏の装い。

 今回は3年振りに、道北の北竜町を流れる暑寒別岳(1491m)山系のE渓谷を釣行を報告します。


 渓谷に繋がる6kmの林道が2005年崩壊。その時の釣行は今回と同時期であったが、雪代水の増水で遡行を阻まれて途中で断念し、急峻な直壁をよじ登り何とか林道へ到達。

 この渓で初の惨敗を期す。


 その翌年の春には山菜取りが渓に迷い渓谷の中州で死亡して見つかるとの報道。


3年振りの林道はゲートが3ヵ所になっていた。

 第一のゲイトを呪いを使って無事通過。


 第二のゲイトに入山箱、ここは親切に鍵の番号が書いてある。

 残念ながら昨日2人釣り入渓と入山届記帳有り。
 第三のゲイトも呪いを使って何とか通過する。
 今年の暑寒別岳はやはり残雪はだいぶ少ない。

 林道の崩壊も修復されて難なく川岸まで車でたどり着く。

 途中から徒歩か急な沢下りを覚悟して来たので拍子抜け。

 3年前とは打って変わって超減水の渓の流れ。

 魚止めの滝と云われる三段の滝を目指して釣行開始。



晴天と減水と遅い時間帯と前日入渓者有りでは本日はチト厳しい釣りとなる予感が?

 魚影はやはり何時もより少ないようだ。それでもTさんに早速当たり。

 ちと小さいか......即リリース。
 次のポイントで渓秋に当たり。尺物なり。

   PENTAX-Optio-woterroofにて水中撮影
 この渓のイワナの体色は黄金色で美しい。
 途中の中州で蕗が乱雑に。ヒグマの食痕跡か???

 Tさんと良く調べて....やっぱ2-3日前のりヒグマ跡と判断する。

 そういえば、入山箱に5月24日ヒグマ出没情報の注意喚起があったな。
 何時もの絶好ポイント群馬の沢の滝も減水と沢崩れで見る影も無し。

 感慨にふけって写真を撮ったところで。



「ウォ〜ン」??? 「ウワ〜ン」??? 何かの呻き声、鳴き声がしたような気がする。????? が気にも留めず。

 いきなりに背後より「今、子グマの鳴き声がしたよネ」と声がして飛び上がる。知らない間に釣り人が背後に立っているではないか。


 子グマのようなかわいい風貌(失礼)の釣り人が。

 地元の釣り師IZさん。子グマの鳴き声に間違いない。母クマも必ず居るので要注意だが、こちら3人居るのでそう簡単には襲ってこないはず。もし子グマが現れたらそれを守る母クマは凶暴で恐ろしい。


 IZさんは、こんなウイークデーに入渓者はいないだろうと思ったが林道終点に車があったので驚いたとのこと。

 本日は沢蕗を取ろうと思って来たとのこと。

 大物以外は全てリリースを心掛けているそうだ。

 我々が勧めても、決して先行しないマナーの出来た釣り人なり。



 今日は、ちょっと魚影が少ないと思いつつ遡行すると。崖のぶっつけ下で小さな当たりから強烈な引き。

 華厳5.3m-道糸1号-イワナ鈎11号の仕掛けでタモ網を使うこともなく時間をかけてやりを取り楽しみ取り込む。

 渓秋の至福のワンショットなり。



 E渓の黄金大イワナ。41.5cm-0.8kg
 三段の滝下の大プールにて、ルァーにヒット。
 36cmの滝壺の黄金イワナ
 落車のけがも癒えた釣兄Tと滝壺を背に(撮影はIZさん)

 IZさんによるとこのE渓にはオショロコマが棲息しているとのこと。

 渓秋は未だ見たこと無し。

 地元の古老釣り師によるとこの三段の滝上には60cm(ニ尺)を超える大物がうようよいる隠れ沢があるとか?。滝の左側の直壁を高巻くのがルートだそうだが。

 渓秋もあと10年若かったらきっと挑戦したろうに。残念。


 本格的山釣りの第一人者で数々の釣行本を出してる 「上野 稔」氏がかって暑寒別山系で出会った老人がこの三段の滝の上流で迷い遭難した話を紹介した釣り誌の中で、その老人がさ迷った途中で「大イワナがうようよいる沢を見た」との話を聞き、後日単独でこの滝上をくまなくさがしたが小イワナ一匹しか出会えなかった。


 この逸話の紹介釣り誌

 上野稔著「渓流巡礼三十三ケ所」 山と渓谷社刊

 「渓流フィッシングNo9」 別冊山と渓谷社刊


 との記憶を思い出した。これは本当にニ尺大イワナがいるのでないだろうか??と思う、ちなみに三段の滝上から源流までは流程約8.0km、高低差は500m 主な枝沢は5本、一泊二日の行程か?

 果たして、大物の潜むポイントを探し当てられるか。

 沢蕗のお土産担いで下山の先輩二人


 3年振りの暑寒別岳山系の釣行記録でした。

 翌日、早速釣友Aさん三段の滝源流探検をと勧めてみたが50代前半の彼もとてもそんな元気は有りませんと即答でした。


 山釣りファンの皆様また次回をご期待下さい。