(6)渓秋の還暦記念釣行記


 かねてより還暦になったら一週間仕事を忘れて山釣り三昧をと公言していたが、念願かなって道南の日本海・津軽海峡沿いの知内川、天ノ川、野田追川水系の新しい渓々を巡ることができた。

 猛烈な風速50m超の台風18号が襲った直後の釣行となり、林道は倒木が多く、目指す源流には思い通りの入渓は出来なったが、全工程 1,260kmの釣行記録をご覧あれ。




第1日目

625釣行 熊石:見市川二股川禁漁以遠区間

昨年は大物がうようよいたが気取られて惨敗す、今回は第一番の渓に選んでリベンジを期す

 Tさんに36.0cmの良形遡上アメマスが
 大物狙いのルァ−に中型居着きイワナが
 今回も50cm超級に出会うも釣りきれず残念

 この渓の林道は厄なり、今年は鋭い落石を踏んでタイヤがバ−ストする、(昨年は自転車がキャリヤごと脱落し小破)

 翌日から修理で函館まで出て1日のロスなり

 今年からタ−プテントに替えてメシッシュ張りのハウス型テントに至極快適なり


 晩餐は 刺身・てんぷら・熊石名物アワビ丸かじり



大成:あわび山荘隣接野営キャンプ場にて



第2日目

263渓-626釣行 大成:貝取澗川

 前日のキャンプ場横を流れる小渓なり

 第一ダム下でガツンと来た大ヤマベ
 水枯れで魚影の薄いこんな場所で大物とは全くの驚きだ

 上流は数ヶ所位のダムで寸断 それでもまだ新しく2ヶ所を構築中
 最奥ダム下にて20cmの小型イワナ
 3年振りの記録更新、大ヤマベ 32.5cm



265渓-628釣行 上磯:茂辺地川、西股沢川・東股沢川

 東股沢川の数少ないポイントにて、尺物イワナのペアに出会うも釣りきれず残念
 野辺地川は西股沢と東股沢共小渓で水枯れ状態
 夕食の小型イワナを数匹何とか確保
 半径30cmの巨大なマス茸発見、てんぷら・バタ−いため共、木っ端を食すようでマズイ。
 せっかく函館に着くもタイヤ型式が合わず待機
 函館近郊の上磯町の渓で停滞する


 今宵のメインデッシュは貝取澗川の大ヤマベの刺身

上磯:湯ノ川水辺公園キャンプ場にて



第3日目

266渓-629釣行 上磯:戸切地川・釜

 林道から100mの断崖を降りて遡行すると行く手を阻む大コジュル帯・釜(門と呼ぶ地域も有り)
 誰が放流したのか、釣れるのはブラウントラウト(32.0cm)ばかり、ついにイワナの魚影なし

 イワナが駆逐されないことを祈るのみ。


 早々に切り上げて源流雨鱒沢を目指すも林道に倒木。余りにも距離が遠くて徒歩を断念。
 丁度雨が降り出して再び函館に戻りタイヤ交換がやっと完了す。 



豪雨・停滞・迂回の一日

 何故か天候急変、豪雨と雷で目指す上ノ国:天ノ川水系は濁流と化す、湯ノ岱温泉をキャンセル

 キャンセルして、日本海沿いを大迂回160kmを走破して北海道最古の知内温泉に投宿

 途中偵察の渓々:天ノ川水系の膳棚川、明神沢川、中ノ沢川、上ノ沢川、 松前方面の原口川、二越川、奥末川、赤神川、妻内川、大沢川、知内川

 800年前甲斐の金山衆により発見された歴史を持つ知内温泉


 娘からプレゼントの古酒・二世古(25°)を持ち込み初のブラウントラウトの刺身と塩焼きで乾杯

 渓魚では一番身が締まりとても美味なり、渓流のギャングといつも目の敵しているがちょっと見直す



第4日目

267渓-630釣行 知内:知内川水系チリチリ川

 まだ降り続く小雨の中を支流ミナゴヤ川を目指すも、知内ダムの出現で林道は完全に水没で断念

 チリチリ川は激しい倒木で下流より釣り上がるも、平瀬でポイントも少ない、水温も高くウグイの攻撃にまいった、小型のヤマベとイワナを確認するに留まる。

 生々しい羆の糞に遭遇し、遡行を断念警笛の連続で転進する。
 コクワの実が未消化のままの生々しい羆の糞



268渓-631釣行 知内:大千軒岳・知内川本流

 大千軒岳源流への登山口
 登山者用の釣り橋
 清冽な流れの源流部、しかし魚影薄く大物は見えず
 強風・小雨の中、林道はまたもや倒木で通行止め
 しかし、今回の目標の一つである此の渓は外せない。徒歩で源流部を目指す。

 途中断崖の底を見ると3ヶ所もの砂防ダムが構築されて魚道も無い、これでは大物も魚影も薄いはずだ。イワナ27.0cm
 支流の奥二股沢も25.0cmの中型イワナ

 大千軒とは昔は金鉱山が有り千軒余の建物が建ち並び 5000人の人々が暮らしたことに由来する。
 期待の知内川水系も不発に終わり、予定の福島町のキャンプ場に着くもガ−トマンがシッカリ封鎖.....聞けばロケ予定地で立ち入り禁止。

 止む無く知内農村公園キュンプ場へ転進するも、羆出没中で閉鎖の看板なり。国道とJR海峡線に挟まれたこの場所に羆かといぶかるも...複数の地元民に尋ねると...羆出没で有名な場所とか

 段々日暮れも迫ってくるし、強風の中やっと探し当てたログキャビンのバンガロ−を交渉して今宵の寝床を確保

 今宵は、イワナ炊き込み飯、名物イカの姿焼き、珍味タコの卵巣をわさび醤油で。



第5日目

270渓-633釣行 松前:大沢川

 松前町中に流れ下る小渓、小型イワナ多し
 第一のダム下で銀ピカの遡上アメマス32.0cm



634釣行 松前:妻内川

 Tさんに37.0cmの遡上アメマス
 魚止め滝壺で大ヤマベとアメマス
 又もや記録更新の大ヤマベ 33.5cm
 国道の小さな橋下を流れるこの小渓は何時も釣り人の期待を裏切らない、僅か1kmの魚止め滝までの遡行に3時間を費やす。

 この渓は魚止め滝からが大イワナの楽園なのだ。 しかし滝上に出る林道はすっかり荒れ果てて何時 羆と出会わせても不思議ではない
少々勇気のいる渓だ。

 尺上揃いの釣果。大ヤマベは塩漬けにして持ち帰る



271渓-635釣行 上ノ国:天ノ川水系檜内沢川

 今回釣行の目的の二つ目渓、砂利床で優しい渓相で中型イワナ25cm級が濃い、下流に砂防ダムが残念
 第5日目にして納得の釣りが出来た、尺2寸の大イワナの炭火焼き美味なり
 酔いが廻ったか飯つぶだらけの不細工な握り寿司
 これ又美味なり 厚沢部:レクの森キャンプ場



第6日目

 途中厚雲峠超えのついでに、厚沢部:安野呂川・落部:上二股川を覗くも小型のイワナ・ヤマベのみ

厚沢部:安野呂川
落部:上二股川



今回の釣行の最大目的の三つ目の野田追川水系を目指して

 此の写真は平成元年10月 山釣りの師匠S老とパンケ川魚止滝釣行


渓秋が野田追川を語る時、師匠のS老を抜きでは語れない。

 当時S老はとうに70才を越しておらた、オロフレ峠のパンケ川釣行では昼飯抜きで日没にやっと下山するほどの健脚で渓歩きの達人でした。

 いろいろ手ほどきを受けた中に、記録を取る事が大事であると教えられました。

 そのお陰で膨大な記録を蓄積することが出来て本当に重宝している。

 そのS老が数有る渓の中でも、八雲:野田追川の源流のその素晴らしさ、凄さそして、鄙びた一軒宿の桜野温泉の熊嶺荘に飾ってある大ヤマベのホルマリン漬けを見たらビックリするぞ-、一度行って見ろと云われて早くも15年の歳月が経ってしまった。決して遠い処ではないのだが何故か、普通には入って行けない重々しい渓だなぁと永年思い続けていた。

 今回の釣行の締め括りはもう此の渓を絶対に外せないと思った。



274渓-635釣行 八雲:野田追川本流

 上流域の大ダム付近で50cm級の大イワナを出くわすも我が竿には反応をしめさず残念
 上流域には2人の先行者あり、大ダム下流部では28.0cm級のイワナの魚影が濃い、しかし大ヤマベのメッカとして余りにも有名な渓だか姿は見えない。

 いよいよ本命の大ダム上の源流部へと林道に戻り進むが又もや倒木なり、覚悟を決めて徒歩で倒木を乗り越え進むと、本当にホットな羆の落とし物
 これには背筋もゾクゾク、残念だか命あっての物種と警笛軒発で引き返す。



275渓-636釣行 八雲:野田追川支流中二股川

 今回の出発直前に函館の釣友、 Tさんから八雲:野田追川支流中二股川が面白いとの情報が寄せられた渓。

 それと熊嶺荘のご主人の話でイワナの濃い渓とのことで大いに期待したのだが、近年砂防ダムが3ヶ所も構築されていてついに大物は見えず...イワナ27.0cm級のみ

 支流の左股沢もダムで寸断されてイワナ25.ocm止まり



276渓-637釣行 八雲:野田追川支流釜別川

 林道沿いの小渓ながら、倒木・流木・しがらで遡行がしづらい。
 イワナ25.0cm以下の魚影が濃い渓だ。
 尺物イワナに出会うも気取られて逃がす。

 春先の増水時期には面白い渓だと思う。


桜野温泉熊嶺荘

 前日から何度も電話をするも不在、今朝直接宿を尋ねてやっと予約を取付ける

 ご主人は里の田畑に羆出没で連日出動で大忙しとか、女将は実家の石狩当別まで所要とか..二人で切り盛り大変忙しい最中との事......但し、今宵は我等の貸し切りなり


 渓流を背に露天風呂で
 女将の撮影は料理の宣伝か?主役の顔が無いヨ

 気さくな女将自慢の料理:熊肉・渓魚・刺身・イシリ鍋・キノコ・山菜・何故かカニの甲羅揚げ殻まで旨し


これが15年間思い続けた大ヤマベの砲列だ

 渓流師垂涎の的の大ヤマベなり

 昭和58年が最後の標本、最大身長32.0cm

 今回の記念すべき釣行で図らずも標本を上回る釣果が2匹大満足で美酒に酔いしれる



第7日目

638釣行 八雲:野田追川本流

 宿の下流の連続する大場所を前日の夕間詰め・今朝の朝間詰めとルア−で攻めるも反応皆無

 もう一日じっくりとこの渓を攻めたいと予定したのだが、下界よりいい加減にして帰還せよとのキツイお達しなり。これ以上の我が儘もならず。
 今回釣ったイワナは全て渓に戻した。何時の日かまた出会えるのを楽しみに取っておくことにしょう。


 中秋の月を愛でつつ・渓秋工房より

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