(5)真夏の道東単独釣行記


 山釣りファンの皆さんには、「渓秋の248渓流より...12選」 第7選....巨大な渓の乙女に万歳三唱の東大雪山系S渓 をご記憶しているだろうか?。

 あれから早いもので10年 今年も愛妻の4回目(10年に一度開催)の同期会に運転手をかって出る。

 今回も夢よ再びと、かねてより温めていた道東方面横断単独釣行を決行するの記。


1.先ずは道東の玄関口の日勝峠の日高のパンケヌ−シ川にて

 昨年の夏台風で寸断された林道を10km最奥の第4ダム上流に至るこのダムより上流はオショロコマの楽園だ
 雨で増水のためか小型で魚影の薄い中を2時間粘ってやっと25cmのオショロコマを仕留める、2年前の入渓ではこのサイズ入れ食いだったのだがすっかり様変わりをしてしまった。



2.北大名誉教授で農学博士 石城謙吉著「イワナの謎を追う」より

 イワナとオショロコマの棲息分布、河川残留型と降海型イワナの謎を解く研究の舞台となった根釧原野の渓々を巡る。


その1.裏摩周の棲分限界河川の標津川源流一帯を探る

 この根釧原野で伊茶仁川と標津川のみがイワナとオショロコマが混棲する川

 源流帯は期待に反してチャラ瀬でポイントは小さい
 小型のオショロコマとヤマベでイワナの魚影は無し
 これは羆の食痕跡と思われる、河原に乱れた足跡。警笛を鳴らして退散する

 他にパウシベツ川・タイラの沢・モアン川・カンジウシ川を覗くも皆小型オショロコマとヤマベのみで撤退する



その2.渓流沿いの無人野天風呂を発見する

 誰が管理しているのかパウシベツ川沿いの名付けて「からまつの湯」
 人気の養老牛温泉は満杯、やむなく中標津の鄙びた温泉宿の投宿

 野付湾の新鮮な魚貝類を期待したのだが見事に外されガッカリ。

 暑くて寝苦しい明け方の3時前に突然の稲光・雷鳴・豪雨で叩き起こされる。

 それも4時過ぎに小止み朝飯前の釣りに挑戦



その3.「たしか赤い斑点だったはずだが....」石城博士が途方くれた当幌川


 40年前の若き石城博士は当時標津農業高校の新任教師だったとか

 同僚に連れられこの当幌川で白い斑点のイワナを釣り上げ、前日隣りの忠類川で釣った赤い斑点のイワナとの違いに疑問を持ち、以来長きに渡る個人研究で、道内の河川を釣り歩きその謎を解明、論文にまとめ博士号を得られる。

 明け方の豪雨でコ−ヒ−色の水は一層濁り、胸まで有る砂地の川床は遡行に危険、一匹の魚影も見ず断念........ただ若き石城教師の思いに馳せる。



3.旭川の同人誌・北海道渓流懇話会編「山女魚に乾杯」昭和61年発行より
対馬国男氏著「道東放浪記」より標津の茶志骨川編から抜粋


 「茶志骨川は、尺ものイワナの群れる川とは言い過ぎか。とに角魚影が濃い湿地帯には珍しく清流である。イワナ・アメマスをビクに入れると肩にサロンパスを要する。40〜50cmの大イワナ・大アメマスがほりを掘っていた。」

 以来、渓秋はサロンパスの川として長き渡りその思い募らせた川である。

 石城博士の調査によると、此の川以南がイワナのみ棲息地域となる

 対馬氏お奨めの上流の西9線より入渓・小型のイワナとヤマベのみ
 コ−ヒ−色の流れで泥砂川床で遡行で益々濁る・ボサ被りで小竿も儘成らず

上流は断念し、下流の大場所に移動し期待する........


 山釣りファンの皆さんこれは何だか解りますか???正解はカラスガイ(烏貝)です

 泥砂床を遡行すると時々沓底で大きい砂利を踏んでいる感じがする

 そのうち、緩い流れの川底で根掛かりと思いきや.......ゆっくりとたぐり寄せたのは

 ご覧のカラスガイである。淀んだ流れに目をこらすと川底に無数のカラスガイが

 ちらばっていた.......子供の頃以来50年振りに手にした珍客なり

 釣果は相変わらず小型のイワナとヤマベのみ


 宿に戻り主人曰く....カラスガイは此の地でも絶滅に瀕しているとか これが棲息していることは川が綺麗な証拠だとか・・・でもネ。渓流釣りでカラスガイにはガッカリなり



4.清冽な流れで有名な西別川を探る

 流れ一面の梅花藻。早朝の豪雨で増水と笹濁り
梅 花藻の影から大物を期待するも、此処でも釣果は小型のイワナとヤマベのみ



5.十勝の釣り師情報により白糠の茶路川源流を探る

新渓262-釣行622回目

 今年5月十勝川で出会った若きルァ−マンの情報より期待を込めて入渓
 数年前にも別の十勝の釣り師情報により、隣りの音別川源流を探ったが魚影を見ることは出来なかった

 白糠に大物イワナ有りの情報も当てにならず


 このサイズばかりが沢山棲む渓



6.最後の望みを託して北海道の屋根・石狩川源流へ

十勝から上川へ東大雪を糠平湖・三国峠を越えて一気に大雪ダム湖に至る

石狩川源流にある魚留の砂防ダム下にてダム湖よりの遡上イワナを狙う

 標高2000mを超える大雪の峰々には万年雪が残る下界は30℃の暑さだが雪解けの渓水の流れる此処は別天地だ。

 下流よりルァ−の若者が遡行してくる目前でやっと待望の尺上イワナを仕留める


 北海道の高山イワナは産卵期が早い。遡上イワナのはしりか。

 長い道東の釣りの旅の締めくくりにふさわしい良型なり

 もう、この一匹で全てが報われた思いだ、早々に竿を畳んで

 ゆっくり温泉に浸かりたいなァ-



7.旅の締めくくりは忠別川源流の天人峡温泉

この源流では国立公園内に付釣り禁止とか

 根釧原野は低位置で小河川が多い、折からの夏枯れで時期も悪く惨敗す。

 秋の大雨後の増水時期に産卵遡上の大イワナに再度挑戦したいものだ。



3泊4日 1343kmの道東単独釣行記  33℃の渓秋工房より。