当時は土・日を利用して7点の渓魚を作成した。 当時の製作で一番苦労をしたのは、着色の難しさであった。 エアーブラシやコンプレッサーなどに可なりの投資もしたが、今一満足のいく作品はできなかった。
当時のトロフィーサイズを一応完成したことで満足し以降、サイズの更新があったのだが製作が億劫で手つかずとなってしまった。 渓秋の製作の拘りは「一木彫りに徹する」ことであった。 すなわち、鰭(ひれ)などを接着剤で後付けするのでなく原木から削り落して実物大を忠実に再現することである。
今回十数年ぶりにカービンの再開をするに当たり、拘りの「一木彫り」は勿論であるが前回今一の感であった原因は、「ウロコ」と「体側線」がないことであった。 これを着色のテクニックでカバーしょうとしたことが誤りであったことに気づいた。 それから、実物大にこだわったことである。記録としての実物大保存は「実物大写真の保存」で十分に満足できるので、今回カービングを再開するに当たり心得たのは「手軽に遊び心」を大切にすることとした。 従って、大がかりな用具への投資をしないことである。
彫刻刀を含め用具は揃え出したら限がない。 渓秋は子供たちが小学校で使ったものや、15年前に使ったものを使用。但し今回は小作品を心かけているので、それ用の小彫刻刀を追加購入をした。
木材には、針葉樹と広葉樹があるが針葉樹は柔らかく彫り易いが、長い時間では変形しやすい。 広葉樹は固く彫りずらいが変形がなく、木目もきれいだ。 今回は桂(かつら)を使用した。 写真の小カジカを彫る 木材に魚形を下書きし、大きめに鋸で木取りする。
鰭(ひれ)の部分は大きく残して粗削りを慎重に進める
粗削りが出来たら、いよいよ仕上げの削りへ 最終仕上げは、小さな彫刻刀の方が最適だ (今回新たに買い増しした小型彫刻刀4本) 今回の最大の投資はこの小型電動ヤスリだった。 細部の仕上げとウロコ仕上げには欠かせない工具です。 仕上げ彫りを終えて、義眼を入れて完成度を見て、再度手直しをする。 今回の拘りである「ウロコと体側線」を念入りに彫りあげる。 この段階で木目を生かして飾るのも美しいものです。
着色の方法としては、エアーブラシなど色々なものがあるが今回は小作品なので手描きの方法とした。
塗料についても各種あるが、一番使い易い水性速乾ラッカーが無難な材料である。 (チューブ入りが無駄が無くていい) また、渓魚特有ぼかしについては、金網+ブラシを利用しても金掛かるエァーブラシにも勝る仕上げができる。
いろいろ渓を釣行しがてら、カービングを展示する付属する小物を調達するのも、また楽しい。 今回は、カジカ実物大2匹と岩魚1/2大1匹を試作した。 山釣りファンのみなさまも一度何かを彫ってみませんか?
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