(8)渓秋の「砂防ダムと魚道」考T


 知床半島の世界遺産登録に絡んで、国が設置した治山ダムを地元自治体が撤去する動きが報じられている。


 道北・名寄の天塩川の支流サンル川に大型の多目的ダムの建設計画に自然保護団体の反対運動を活発化させている。
等々、渓秋のような山釣り愛好家に限らず自然保護、また失われた自然を取り戻す大切さと後世に残す大切さが、近年関心の高まりを増してきている。

 そんな世論に反してもまだまだ年々新しいダムを構築する一方で、既存のダムを改修し魚道を構築する河川も出てきている。
しかし、構築基準はどうどのように決めいるのだろうか?

 隣り合う河川でも、国・自治体・放流事業者・保護河川等々で考え方が変わって来るのだろうか........お役所仕事は相変わらず予算消化が優先課題なのだろうか?

 何れにしても遅々として、無計画に思えるが確実に魚道の整備は進むだろうと期待をしつつ、渓秋が出会った、魚道を検証してみる。(息の長いものとなるが....途中報告)



検証...序編

道東十勝:音更のサクシュオルベツ川の砂防ダム

 5年前の健全に砂防機能を果たしいたダム


道東十勝:音更のサクシュオルベツ川の砂防ダム

 現在の同じ砂防ダム崩落寸前......ダム無用論ばかりでは通らないか!
 平原を流れるこの小さな河川に500m毎に延々とダムが続く。



検証...1

道南:松前の赤神川  砂防ダム

 この奥には戦前から鉱山が有ったとか、相当に古いダムの形式かコンクリ−トではなく、石積みダム。その上に近年コンクリ−トが嵩上げ改修されている。勿論魚道は無し、この源流は羆と大イワナの楽園。



検証...2

道南:松前の赤神川の取水堤の魚道

 検証..1の大ダムの下流1kmに位置する今は使われていない取水ダム

 大ダムまでヤマベの魚影が濃い、鱒放流事業のための魚道か?



検証...3

道南:熊石の見市川支流二股川の魚道
 この川は本流及び本流-支流間の1.2kmは保護河川で全面禁漁。

 このラセン階段状の魚道が4ヶ所共機能している。

 源流の魚止め滝までは、尺ヤマベと60cm超のアメマスの宝庫だが簡単にに釣れない。サケ・マスの放流事業河川で秋の河口はサケ釣りの竿が林立。

 どの河川でも河口はサケ釣り禁止のはずだが、大手を振って釣っていやがる。

 ル−ルもマナ−も無いバカヤロウ!と憤慨。



検証...4

北積丹:古平の沖村川の魚道
 河口から1.5kmの大ダムまでの間に数基の小ダムがある。

 毎年1ヶ所づつ魚道を構築して完成し真冬でも機能している。



検証...5

北積丹:古平の沖村川の大ダム大魚道
 平成10年見上げるような大タ゜ムに見事な魚道が完成。

 息の長い事業に感謝する魚道です。ただ残念なのはこの魚道構築のために周辺の河畔林を全て伐採してしまった、そんな必要があるのか。

 以来大ダム湖にヤマベを放流か?上流でも釣れだす。

 この奥は大イワナの楽園だか羆の巣である。



検証...6

道北:雄冬の岩老川の旧取水・発電ダムの魚道
 10数年程前に、此の渓の中流の源泉から引いた小さな温泉場で取水・発電ダム(写真手前)の小屋番をしていた古老の話しによると国道が開通する前の陸の孤島と云われた頃の施設だそうで(今から30数年前の頃)60cmを超える大アメマスの大群が低いダムをひと飛びで遡上して、網を掛けて捕ったとのこと。

 しかし、この故老の話しの翌年お盆に100年に一度の雨台風が襲来して渓を根こそぎ押し流してしまった。.....なんとその跡に無粋な魚道の無いタ゜ムが2ヶ所も構築されてしまった。

 落胆より怒りを覚える。しかし。ここより遡行2時間で大崖崩れがあり流れは途絶えて見えるが、その上流は階段状の苔むした大岩をはむ流れに尺イワナが棲息している。

 ここはマムシの巣窟でもある。



検証...7

道南:松前の妻内川の旧取水提の魚道
 無名の小渓で河口から1.5kmで魚止めの滝がある。

 更に進んで1kmにこの旧取水ダムがあり魚道がある。

 下流からの遡上は無いのに魚道とは先人は心優しいのか。

 これより上流は尺イワナの入れ食いなり。羆の臭いプンプンなり。



検証...8

道東十勝:音更の士幌川の壮大な魚道
 十勝大平原のど真ん中を流れるこの士幌川は、谷地水系で浅く緩い流れである。本流との出会いの十勝川下流では名所の千代田大堰堤があり遡上するサケを一網打尽で捕獲している。この士幌川は放流もののニジマスが釣れるがそのために此の壮大な魚道が必要なのか?疑問である。



検証...9

道東:襟裳岬のシトマン川の魚止め大ダム
 海岸沿い走る国道の集落からわずか数百mに位置する。

 この大ダム下は、良型のヤマベと40cmを超えるニジマスとイワナが釣れる信じられない河川なのだ。

 このダムに魚道があれば、渓相の良い源流は渓魚の宝庫となるはずである。......残念。



検証...10

道南:今金の下ハカイマップ川の改修魚道
 日本一の清流、後志利別川の支流であるこの河川は大型のイワナ・ヤマベ・ニジマス・アメマスの魚影が濃い河川だ。

 右奥の古い階段状の魚道を廃して、左手に幅の広い低勾配の魚道を新設改修した。しかし、数キロ先の中流部から源流部には数多くの魚止めダムの連続だ。ただうれしいことに、源流まで良型のイワナが釣れる。タケノコの宝庫でもある。



検証...11

道北:大雪ダム上流の石狩川砂防大ダム
 信じられないことだが、標高1,000mの大雪ダムから標高2,000mの石狩岳の源流までに数基の砂防ダムがあるが魚道は一ヶ所も設置されていないのである。8月のお盆を過ぎると産卵で遡上の60cm級の大イワナが行き場を失いこのダム下や流入する枝沢に群れるのである。......哀れなりイワナかな!。



検証...12

道央:倶知安のポン倶登山川の頭首工の魚道
 後志の名流大河の尻別川の枝沢に当たるこの小河川に懸かる小さな頭首工である。わずかに小型のイワナが釣れる所ではあるがこんな低い堤はどんな魚でも、ひと飛びで超えられるだろうに?。わざわざ魚道を付ける意味が解せない。

 田園の小河川で考え込んでしまう。......これぞドブに金を捨てるがごとし。



検証...13

釧路湿原:音別の直別川の魚道
 河口より1km位か、見渡す限りの湿原で落差は殆どない流れだ何故砂防ダムが必要なのだろうか?、ましてや50cm程度の落差に魚道まで取り付いている。サケ・マスの為のものだろうが、彼らは3m位のジャンプはお得意ものたのだ。もう少し魚属の生態を研究をして欲しいものとつくづく思う。ちなみに早春の川は魚影皆無だった。



検証...14

消えてしまった十勝利別川の巨大堰堤
 永年夢みていた利別川高島堰堤の大アメマス釣り

 十数年振りに訪れたが巨大堰堤は跡形もなく消えていた昔はこの地方は十勝平野で有数の米処でその潅漑用水の為の巨大堰堤だったのたが.......地元の人に尋ねると数年前に解体して、下流の長大な頭首工に造り替えとか大アメマス・ニジマスのメッカとして、釣り志を飾った巨大堰堤も今は幻しになってしまった。

 平成17年4月23日    嗚呼....ただ落胆す。



検証...15

日高連峰・芽室川の大ダム
 急峻な日高連峰・芽室岳から一気に十勝平野に流れ落ちるこの渓の治水には、数基の大砂防ダムが必要なのか。



 大型のオショロコマの多いこの渓を最奥のこのダムが分断している。このダム上流も大型のオショロコマの多い場所だった。せめてこの最奥のダムだけでも魚道を付けられないものだろうか。
 同族が分断されて生き延びる姿は哀れである。しかし、数年前に下流の牧場地帯で大型のニジマスを釣り上げたことがあったが、無闇に魚道を取付けると外来種の侵入を許し、一層哀れなことにもなりかねないか?

 大ダムを前に感慨にふける。


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