Q&A


 山口でうまれた歌「ふれあいコンサート」で行われたQ&A。
 みなさんから頂いた質問に、作詞家、作曲家の久保研二氏と
 制作、シンガーソングライターの落合さとこがお答えしました。


Q.歌はどうやったら上手く歌えますか?
A(久保)
音符どおりに声を出すとか、一定の声量を出すとかの、基本的なトレーニングは、
自分なりに真面目に取り組めば、なんとかなります。
それよりも、まずは歌詞を十分理解すること。自分で解釈すること。
そして自分と同化してから、丁寧に歌うこと。
重要なのは、オーバーに表現しないこと。それは嘘の表現につながるからです。
あともう一つ。落合の歌い方を真似ては、絶対に上達しません。
A(落合)
すべて久保さんのおっしゃる通りです。


Q.どういうところで歌詞が浮かぶのですか?
曲づくりの流れも教えて下さい。
A.(久保)
寝ている時、寝ぼけている時、お風呂やトイレ、新幹線の中やバスの中、
運転中、ソフトクリームを食べている時……。
とにかく、歌詞や言葉は、どんな場所でもどんな時でも、何の遠慮も配慮もなく、
おまけに思いっきり気まぐれに現れます。
問題は、すぐにつかまえないと、あっと言う間に逃げていくことです。
一度つかまえれば、こっちのものです。
そして、つかまえた歌詞をよく見つめると、
両脇にちゃんとメロディーを抱えているのが見えてきます。
A.(落合)
歌詞が浮かぶ場所は全く問いませんが、
大小にかかわらず心が動いた時(嬉しかったり悲しかったりなど)に浮かびます。
浮かんだものが姿を消さないうちに、急いですぐにメモします。
歌詞に伴ってメロディが浮かんだ時も、すぐにおたまじゃくしにするか、
ICレコーダーなどに鼻歌を録音をします。
そして、おうちに帰ってから、じっくりと煮詰めなおして「歌」に仕上げます。


Q.将来の夢が、歌手か歌のお姉さんです。
子どものうちからどんな練習をしたら良いですか?
(今は、ストレッチ、言葉の意味を考えて、その言葉を大切にして歌う練習、 
 発声練習、リラックスする練習をしています)
A.(久保)
ピアノやギターを適当に習い、何でもいいからオリジナルを創って歌うことです。
本をたくさん読み、映画(ハリウッドは駄目)を見て、様々な芸術に触れることです。
本格的な声楽と、カラオケは、辞めた方がいいと思います。
A.(落合)
私も、基本的に久保さんと同じ意見です。
特に、オリジナルを創って歌うことは、とても勉強になると思います。


Q.「山口でうまれた歌」は、全部、
久保研二さんが見たこと、感じたことがもとになっているのでしょうか?
少しは想像の部分もあるのでしょうか?
創作の具体的な、詞と音楽の関係をお聞きしたいです。
A.(久保)
どんな事実も、ことばでは、完全には伝えきれません。音ならなおさらです。
そのように、自分が見たことでも、それを他者に伝えれば、
その時点で正確には事実と異なります。
そもそも私が事実だと思っていることですら、正しいとは言えません。
自分の思い込みや、その時の感情が、無意識に影響しているからです。
ですから私は、自分の体験だとか、想像だとかの区別に、ほとんどこだわりがありま せん。
けれども、「卒業」のような、翻訳の概念を肝とする曲は例外です。
ただ、「卒業」を含めた、どんな内容の曲でも、
私という肉体や魂を通じて世に形として出たものには、
必ず私の粒子というものが含有されているはずだと思います。
それを自覚すること。まずは、そこからスタートです。
詞と音楽についてですが、音楽の中で最も文学よりなものが歌だと思っています。
そして、詩が音に助けられたり、対等に付き合う場合、詩は詞(歌詞)に変わります。
そうでない場合も多々ありますが、私の場合のいい歌詞は、必ずいい音を連れて現れ てきます。
歌詞の前の詩は、もう少し深い場所に大人しく沈んでいます。


Q.小学校の音楽の教科書から、
昔ながらの唱歌などがなくなっていると聞いています。その点をどう思われますか?
A.(久保)
最低、最悪なことだと思います。
一部の馬鹿な役人と、自称知識層の仕業にちがいありません。
いつまでもそういう時代が続けば、この国の精神は滅びると思います。
戦争で滅びることと、地球規模の天変地異で滅びることと、文化で内面的に滅びることと、
どれがどう違って、何がどうましなのか、私にはまだわかりません。
ただ、生理的には、文化的な衰弱が最も気色悪いです。
A.(落合)
唱歌には、日本独特の情緒が多く含まれています。
それを消し去ろうとする大人がいることが、残念でなりません。


Q.「病人のうた」の病人役は、久保さんが演じられているのですか?
A.(久保)
ご想像にお任せします。


Q.歌手になった理由を教えて下さい。
A.(落合)
中学生の頃の夢がドラマー(ドラムを叩く人)だったのですが、
高校生で組んだバンドでドラムを叩きながら、ついでに歌も歌っていた時
(当時、流行っていたC-C-Bのように)、
「歌がうまいじゃ〜ん」と先輩におだてられたのが、きかっけでした。
親から頂いたこの声質が、みなさんから好まれることが多かったので、
その後も、自然と続けてこられたのだと思います。
とはいえ、今は、人前で歌を歌うことの責任の重さをひしひしと感じています。


Q.ピアノの練習は1日何時間くらいしてますか?
Q.ピアノは何歳から弾いていますか?
A.(落合)
ありがたいことに、ピアノに着目して下さる方も多いのですが、
ご期待ほどの腕は全くなく、ピアノ譜を見ながら既存の曲を弾くことはできません。
でも「私はピアニストではなく、シンガーでありソングライターなのだから、
これでいいのだ」ということにしています。
ちなみに、習い始めたのは3歳で小学生の時に早々にやめてしまいました。
練習は毎日はしておらず、練習する時は、
弾き語りの練習(歌う練習)も織り交ぜて1日3時間程度、と少なめです。
私の練習の仕方を真似ては、絶対に上達しません。



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