Q&A
山口でうまれた歌「ふれあいコンサート」で行われたQ&A。
みなさんから頂いた質問に、作詞家、作曲家の久保研二氏と
制作、シンガーソングライターの落合さとこがお答えしました。
■
Q.歌はどうやったら上手く歌えますか?
■
A(久保)
音符どおりに声を出すとか、一定の声量を出すとかの、基本的なトレーニングは、
自分なりに真面目に取り組めば、なんとかなります。
それよりも、まずは歌詞を十分理解すること。自分で解釈すること。
そして自分と同化してから、丁寧に歌うこと。
重要なのは、オーバーに表現しないこと。それは嘘の表現につながるからです。
あともう一つ。落合の歌い方を真似ては、絶対に上達しません。
■
A(落合)
すべて久保さんのおっしゃる通りです。
■
Q.どういうところで歌詞が浮かぶのですか?
曲づくりの流れも教えて下さい。
■
A.(久保)
寝ている時、寝ぼけている時、お風呂やトイレ、新幹線の中やバスの中、
運転中、ソフトクリームを食べている時……。
とにかく、歌詞や言葉は、どんな場所でもどんな時でも、何の遠慮も配慮もなく、
おまけに思いっきり気まぐれに現れます。
問題は、すぐにつかまえないと、あっと言う間に逃げていくことです。
一度つかまえれば、こっちのものです。
そして、つかまえた歌詞をよく見つめると、
両脇にちゃんとメロディーを抱えているのが見えてきます。
■
A.(落合)
歌詞が浮かぶ場所は全く問いませんが、
大小にかかわらず心が動いた時(嬉しかったり悲しかったりなど)に浮かびます。
浮かんだものが姿を消さないうちに、急いですぐにメモします。
歌詞に伴ってメロディが浮かんだ時も、すぐにおたまじゃくしにするか、
ICレコーダーなどに鼻歌を録音をします。
そして、おうちに帰ってから、じっくりと煮詰めなおして「歌」に仕上げます。
■
Q.将来の夢が、歌手か歌のお姉さんです。
子どものうちからどんな練習をしたら良いですか?
(今は、ストレッチ、言葉の意味を考えて、その言葉を大切にして歌う練習、
発声練習、リラックスする練習をしています)
■
A.(久保)
ピアノやギターを適当に習い、何でもいいからオリジナルを創って歌うことです。
本をたくさん読み、映画(ハリウッドは駄目)を見て、様々な芸術に触れることです。
本格的な声楽と、カラオケは、辞めた方がいいと思います。
■
A.(落合)
私も、基本的に久保さんと同じ意見です。
特に、オリジナルを創って歌うことは、とても勉強になると思います。
■
Q.「山口でうまれた歌」は、全部、
久保研二さんが見たこと、感じたことがもとになっているのでしょうか?
少しは想像の部分もあるのでしょうか?
創作の具体的な、詞と音楽の関係をお聞きしたいです。
■
A.(久保)
どんな事実も、ことばでは、完全には伝えきれません。音ならなおさらです。
そのように、自分が見たことでも、それを他者に伝えれば、
その時点で正確には事実と異なります。
そもそも私が事実だと思っていることですら、正しいとは言えません。
自分の思い込みや、その時の感情が、無意識に影響しているからです。
ですから私は、自分の体験だとか、想像だとかの区別に、ほとんどこだわりがありま
せん。
けれども、「卒業」のような、翻訳の概念を肝とする曲は例外です。
ただ、「卒業」を含めた、どんな内容の曲でも、
私という肉体や魂を通じて世に形として出たものには、
必ず私の粒子というものが含有されているはずだと思います。
それを自覚すること。まずは、そこからスタートです。
詞と音楽についてですが、音楽の中で最も文学よりなものが歌だと思っています。
そして、詩が音に助けられたり、対等に付き合う場合、詩は詞(歌詞)に変わります。
そうでない場合も多々ありますが、私の場合のいい歌詞は、必ずいい音を連れて現れ
てきます。
歌詞の前の詩は、もう少し深い場所に大人しく沈んでいます。
■
Q.小学校の音楽の教科書から、
昔ながらの唱歌などがなくなっていると聞いています。その点をどう思われますか?
■
A.(久保)
最低、最悪なことだと思います。
一部の馬鹿な役人と、自称知識層の仕業にちがいありません。
いつまでもそういう時代が続けば、この国の精神は滅びると思います。
戦争で滅びることと、地球規模の天変地異で滅びることと、文化で内面的に滅びることと、
どれがどう違って、何がどうましなのか、私にはまだわかりません。
ただ、生理的には、文化的な衰弱が最も気色悪いです。
■
A.(落合)
唱歌には、日本独特の情緒が多く含まれています。
それを消し去ろうとする大人がいることが、残念でなりません。
■
Q.「病人のうた」の病人役は、久保さんが演じられているのですか?
■
A.(久保)
ご想像にお任せします。
■
Q.歌手になった理由を教えて下さい。
■
A.(落合)
中学生の頃の夢がドラマー(ドラムを叩く人)だったのですが、
高校生で組んだバンドでドラムを叩きながら、ついでに歌も歌っていた時
(当時、流行っていたC-C-Bのように)、
「歌がうまいじゃ〜ん」と先輩におだてられたのが、きかっけでした。
親から頂いたこの声質が、みなさんから好まれることが多かったので、
その後も、自然と続けてこられたのだと思います。
とはいえ、今は、人前で歌を歌うことの責任の重さをひしひしと感じています。
■
Q.ピアノの練習は1日何時間くらいしてますか?
■
Q.ピアノは何歳から弾いていますか?
■
A.(落合)
ありがたいことに、ピアノに着目して下さる方も多いのですが、
ご期待ほどの腕は全くなく、ピアノ譜を見ながら既存の曲を弾くことはできません。
でも「私はピアニストではなく、シンガーでありソングライターなのだから、
これでいいのだ」ということにしています。
ちなみに、習い始めたのは3歳で小学生の時に早々にやめてしまいました。
練習は毎日はしておらず、練習する時は、
弾き語りの練習(歌う練習)も織り交ぜて1日3時間程度、と少なめです。
私の練習の仕方を真似ては、絶対に上達しません。
copyright (c) nekohigeutatanesha 2010 All rights reserved.