階名の読み替えと純正調  = 紙の楽譜から音を取る  

   (私事ですが昨年罹った病気は半年でほゞ回復しました)

Top 調子記号と階名の読み方 階名の読み替え例 「ハモる」物理現象と音の確信 実際の音の違い 別の読み替え 楽譜(紙)から音を取る お願いと付記
    このホームページの作成者
      個人   名前:山中  東京在住
      作成 '09.6.17      更新
'23.1.22
 HP名を「楽譜の・・・」から「階名の・・・」へ変更し、内容も変更しました。
 このホームページの動作確認は Internet Explorer 11(OS:Windows 10 Pro) で行なっています。
このホームページの目的
 合唱で初めて歌う曲の各パートの旋律を覚える事を「音取り」と言っています。
 近年、その「音取り」は昔と違い、楽譜をスキャナーで読み取ってパソコンで実際の各パートの音を出す様にした「“音源”を作るソフト」が市販されている様です。
 この「音源」もパソコンも無かった昔はどうしていたのかと言うと、「コーリューブンゲン」という声楽用の教則本で音程を覚える事もしましたが、主に合唱の練習のとき、いきなり歌詞を付けるのではなく皆で階名読み《→*1をして、各“階名音”特有の感覚《→*2を覚えました。
 その為、それを繰り返すうちに その楽譜の主和音を聞いた後ではどの階名音でも即 出せる様になるし、人が何の階名音を歌っているのかが分かる様になりました。
 そうすれば音取りの為に電子ピアノや、音取りソフトも必要なくなり、音叉一本《電池不要》で「楽譜から音を取る」ことが出来る様になりますが、このホームページで言いたいことは「『音源』なんか必要ない」ということではありません。「階名読みこそが 一人一人が音に確信を持てる様になり《→*3、合唱にとって理想的な純正調《後述》のハーモニーになるのだ」と私は思います。
 また、このホームページの最後の方に、●“楽譜(紙)から音を取れる”様になる為の方法 の項も付け加えました。
  *1 近年、曲が何調であっても楽譜を「長調読み」する事が多い様ですが、あれは「階名」ではなく、音の高さだけを示す「音名」というべきものです。
 階名は、例えば 長調(Gdur)または短調(Emor)の場合、G(ハ長調読みの)を「」と読み替え、そこから「ドレミファ…」と読むのが階名です。


*2 その最初の「音取り」のとき、全パート一斉に自分のパートの階名読みをすると、和音の中で「音を取る」ので各“階名音そのもの”の感覚を覚えることが出来る様になるだけでなく、その調の中の階名音の“高さ”《そのときの音階の中での絶対音感なもの》の感覚を身に着けることが出来る様になります。
 例えば、「ラドミ」の和音が鳴っているときに「」の音を出すと、短調の中の「」の音はこういう感じのする音なんだということを実感する様になります。その感覚は、今「あ」と言っているのか「い」と言っているのか、という位 各階名音によって全く違う感覚なのです。
 また、同じ「」でも短調のときの「」の感覚(重い安定感)と、長調のときの「」の感覚(明るい希望の感じ)とは全く異るものです。
 この「和音の中で階名音の感覚を覚える」ということは、音に確信を持つ為に重要であると思います。


*3 曲の中で転調した場合、左記の「音源」でも音を覚えることは出来ますが、転調した階名を意識した方が確実に音に確信が持てます。 
 
●調子記号と階名の読み方
 音の高さには名前が付いていて、ピアノの白鍵の音はの音から上に ドイツ語音名で A、H、C、D、E、F、G《日本語名ではイ、ロ、ハ、ニ、ホ、ヘ、ト》です。
 例えば“)”の音からドレミファソラシと上がるのが長調であり、ラシドレミファソと短音階で上がるのが短調です。
 その調を表したのが楽譜の左端に書かれている調子記号(調号)ですが、その一覧表はネットの誰でもわかる音楽理論に載っています《→*3a》《→*3b
 の調子記号の場合には、長調でも短調でもその一番右のの付いた音を階名と読めば良いのです。例えば2つの長調の場合、右のの付いた音(Cis)をと読んでその一つ上の音:“”(D)から上にドレミファ・・・と読めばOKです。
 の調子記号の場合には、その一番右のの音をファにしてそこから上にファソラシドレミと読めば良いのです《調子記号が 2つ以上の場合、右から2番目の の音をにしてもOKです》。
 
  *3a その一覧表の中の“嬰〇”というのは、〇の音が半音上がった音を意味します。・・・is は ・・・の音よりも半音上がった音、・・・es(・・・s) は ・・・の音よりも下がった音を意味します。


*3b 左記サイトの一覧表で「長調」と「変長調」ではどう違うのか?という疑問が湧くと思います。
 確かにピアノの様な平均律に於いては、調子記号と音符の位置が違うだけで音は全く同じです《多分演奏方法も同じ》。しかし、後述の純正調の【表】で、前者が【表】の網目 上から3段目のを主音のにしているのに対し、後者は【表】の上から5段目の cesにしています。
 両者の音の高さの違いは半音の20%(20セント)違うだけですが・・・。
 《 (1200-92)-1088=20 セント 》 《 ces は1オクターブ上の音で比較》。

 
   ところが例外的に、調子記号を書かずに全曲を通じて臨時記号で済ませてしまっている楽譜が有ります。
 【下の楽譜】(「河口」)のの調子記号は私が書き加えたものですが、書き加えずにこの楽譜をそのまゝ読むとシ♭ミ♭ラ♭の音を出さなければならないので、上記の階名に慣れた人でも、実際にピアノなどで音を出してみるまでは、どういう旋律なのか分かりません 実感するのが困難です
 そういう場合には、その3つの臨時記号のを全部楽譜の左端に「移動」させて調子記号にしてみます。するとが3つですから、この調子記号は上記誰でもわかる!音楽理論によると変長調か短調ということになります。
 この臨時記号を「移動」することによって臨時記号が無くなってしまった変長調読みをしてみれば、どのパートも自然な長調の旋律になるので「矢張り変長調の曲だったのだ」ということが確認できます。
 長調と短調の定義は省略しますが、この場合 曲の最後のベースの階名は「・・・ソ・ドー」で終わっています《私が子供のころ、教師をしていた母親に「長調と短調はどこで見分けるのか?」と聞いたところ、「曲の終わりがで終わっているのが長調で、で終わっているのが短調だ」と答えました》。

 上記「3つの臨時記号を左端に纏めれば良い」と書きましたが、その纏めて書く順番には一応慣例が有って、 の場合ヘロホイニトハの調の順番《、変、変、変、変、変、変の各長調の順番》で右にジグザグに を書き加えていけば良いのです《上記サイトの「 系の調号」を参照して下さい》。
 同様にの臨時記号が沢山付いている楽譜も左端に纏めて調子記号にする場合に、トニイホロヘハの調の順番《、嬰、嬰の各長調の順番》にをジグザグに書き加えていけば良いのです《上記サイトの「系の調号」を参照》。
 なお、短調の場合、階名のからと下がったの音が主音となって その主音の音名の短調となりますが、階名の読み方は長調の読み方と全く同じになります例えば 1つの長調と短調とは階名の読み方は同じなので、この曲が長調なのか短調なのかは気にしないで階名読みをすれば良いのです
 また、短調の場合、旋律的短音階といって、音がミファソラと上っていくときファを半音上げる場合が多いので、調子記号として左端に移動させない方が良い場合が有ります。
 その他にも、本当に臨時記号として残しておいた方が良い場合も有ります《例えば下の楽譜のアルトの最後の音の 》。
 その様に、階名読みをしようとする場合、調子記号を書くのを怠ったが為に、残念ながらそういう対処をしなければならない楽譜も在ることは事実です。
   
 
●階名の読み替え例
 上記の楽譜の様に調子記号を書くのを怠った楽譜は極く少ないのですが、曲の途中が数小節~数十小節の長さに亘って実際には転調しているのに、調子記号を変えるのを怠る例はザラにあります。
 下の楽譜はワーグナー「幸あれ芸術の館」の一部で、各所で転調しているのにも拘わらず臨時記号を付けたままで、終始長調読み《短調になっている部分が有りますが》の楽譜になっています。
 しかし、この長調の“読み方”のままで楽譜から音を取るのは、余ほど臨時記号に得意な人でなければ無理だと思います。
 私は曲が転調したら素直にその転調した調の中に入って、その調の階名に読み替えて声を出し、音を覚えます。
 先ずは私の読み替えをご覧下さい《ただし、「P5」(5ページ)の大きな四角の中に書き加えたローマ字(facddegh)は、音名ではなく階名》。階名を☐で囲んだり、〇や( )で くくったりしているのはその部分の調の読み方に読み替えている部分です。
 
 

 嘗て、或る合唱団では階名で読む事を徹底した為、「難し過ぎる」と言って退団していった人が多かったと聞いていますが、それは多分 上記の“読み替えをしなかった”為、「臨時記号がいっぱい付いた状態の階名読みをしたから」ではないかと思います。
 私も最初この楽譜を見たとき、「なんだこりゃあ、難し過ぎる」と思いましたが、合唱付きの市販のCDを聴いてみたら、「あぁ、ここで転調しているから読み替えれば良いんだな」と気が付き、それらしき“調”の階名のカナを振ってみたところ、臨時記号が無くなって易しく《楽器なしで、楽譜から》音取りをする事が出来ました。
 日頃、階名読みをしていると 市販のCD《当然ながら和音付き》を聞いたとき、下の楽譜の1~2小節のベース(ベースの下)は、楽譜を見ていなくても「ラーララ、ラーミー」と聞こえてきます。そしたらその調《長調のと読み替える短調》に読み替えればいいんです。
 最近の音取りでは「音源」を使うのが普通ですが、自分のパートだけの音が出る音源ではなく、極力全パートとかピアノ伴奏付きの音源を聴いた方が良いと思います。そうすれば、上記、ザラにある “曲の途中で転調しているのに調子記号はそのまま” という部分に気が付きます。
 つまり、そういう“部分”では臨時記号が増えて曲の感じがガラッと変わるので、その音源の全パートを聴いていると “この部分は転調しているのかもしれない” と気付きます。そういう場合には上述した様に の臨時記号を、既に書かれている調子記号の右に移動させて書き加えるのです。
 そうすれば耳で聴いて「あゝ〇〇調に転調しているのだな」という事が分からなくても、新たな調子記号で た易く〇〇調の階名読みをすることが出来ます《下の楽譜の4小節の場合、どのパートにも gis cis の2つの音に臨時記号 (ナチュラル)が付いているので、その2つの を左に移動させると調子記号(この場合 )の2つが取れ長調の読み方からが1つの 長調の読み方(短調)になります》。
 ただし、合唱の場合など、「1小節の間だけ或る調に転調している」と解釈したときに やっと楽器無しでも「音が取れる」という 難曲も有ります《↓。そういうときには曲を解析して「階名で音を取る」ことは諦め、手っ取り早く「音源をそのまま覚えた方が効率的」という場合が有ります

   例えば、後述の項目「●別の読み替え」の注《*1》でも述べている信長貴富作曲「新しい歌」[改訂版]などは「頻繁に転調している(??)」として階名を読み替えないと、私の場合 紙の楽譜からは音が取れません。ですから、そういう読み替えなければならない箇所が例え1小節間であっても、私は読み替えています。

 この読み替えは音取りが易しくなるだけではなく、音を“正確に”出す為にも必要だと思います。
 もしも階名の読み替えをしないと、テノールの場合、上図の赤い字の読み方になるので、とかとかの、難しい音を出さなければなりません《はポップスで倦怠感を出すとき等に使われ、1個だけポツンとが出て来るとそれなりの感覚を伴って音を出せますが、 上図の様に小節の中に5個も臨時記号が出てくるとお手上げです》。
 この臨時記号が付いた音は、小学唱歌や歌謡曲に滅多に出て来ない事が示している様に歌う頻度が少ないので難しいのです。「しかし読み替えてもソ#が出て来るじゃあないか」と仰るかもしれませんが、ソ#の音に辿り着く為の定番の、誰でもが感じを掴んでいる音なので、臨時記号の無い音と同格です。
 
「ハモる」ときの物理現象と音の確信
 お互いの声を聴いて良く「ハモる」合唱団では、自然に、各パートの「音」 つまり「空気の振動」の1秒間の繰り返し回数《周波数と言います》が整数比になる様に声を出します。 
   お互いの声を聴くよりも、ピアノを“囲んで”ピアノに合わせる「平均律合唱団」とも言えるサークルでは、ピアノの音に強引に引っ張られるので違うかもしれません。
 例えば2部合唱で最も良く使われる長三度(ド:ミ)の「和音」《この際二声でも「和音」と言わせて下さい》の周波数の比は4:5(後述の純正調の比率)です。つまり、下の【図】の様に の振動が4回繰り返す間《つまり【図】中の時間「a」から「c」までの間》に、の振動は5回繰り返します。
 この【図】は各音の倍音を取り去って単純化した音の波で表しています。
 
【図】 
   【図】の横軸は時間で、図中の a から c までの時間は、ハ長調の場合
  1/(440*3/5)*4 =0.01515 秒
です。この式の中の「/」は「÷」の意味、「*」は「×」の意味。

 とは空気が振動する現象で、音楽に使われている音は普通 空気の振動が一定時間毎に同じ振動を繰り返す音:つまり「楽音」と言われているもの。
 この周期的に繰り返される振動の、1秒間当たりの繰り返し回数(周波数)の単位は[ Hz ] (ヘルツ)です。
 上の計算の中の「440」という数値は A《ハ長調のの音》の周波数です《 440 Hz 》。
 また、「3/5」 という数値は の周波数に対する 下の の周波数の 純正調での比率であり、「4」 という数値は の音が上の【図】の時間 a から c までに繰り返す回数です。
 
 横軸の時間で、a の時間には「」の音波と「」の音波と一致していたのに、b の時間には互いに逆の音波《 b の瞬間に空気が動く方向が逆》となって打ち消し合いますが、a の時から「」の波が回,「」の音が回 繰り返した後の c の時間になると再び音波が一致して強め合います。
 この、「の波を数えて“僅か”回で2つの波が再び一致する」という事は、違う言い方では「波が一致する頻度が多い」という事になり、このことが良く“ハモる”という実感となって現れ、その結果やがて ド→ミの“音程(二つの音の高さの隔たり)”の周波数比“4:5”という数値が定着したのだと思います。
 音の「振動数を測定して数値化出来た筈がない」時代に、「数値が定着した」などと言うのは机上の空論だと仰る方がいると思います。
 しかし、その数値(4:5)を発見したのは 音程を弦の長さの比較値として数値化したピタゴラスであるとされています《ウィキペディア(ピタゴラスと音楽)》(ただし、ド:ミの周波数比は 4:5ですが、弦の長さの比は 5:4です)。
   更にド:ミ:ソの和音の場合には、の波が“僅か”回繰り返す間にの波が5回、の波が6回繰り返して 図中の c の時間に3つの音波は一致します。
 逆の例として、シ:ドの音は純正調では15:16なので、の音が15回も繰り返さないと一致しません。この様に一致する頻度が低いと「ハモらない」どころか不協「和音」?となります。ミ:ファも同じ。

 その「和音」の心地良さと、更に斉唱で歌ったときの旋律の自然さとが相まって、「“”の音はこういう感じ《冒頭で述べた各“階名音”特有の感覚であり、これはその調の中の“特定の高さ”と一対一の関係にあります》の音だ」という確信になります《ただし、上述の階名の読み替えをせず無理して 上記の音を出そうとすると、それは我々素人には使用頻度が少ない為、確信を掴むのは難しくなります》。
 ド、レ、ミ、ファ、……の階名それぞれの音にそういう確信を持てる様になったら、もう占めたもの。音取りソフト(「音源」)に頼らなくても “音は楽譜から取れる”様になります。

 この斉唱や二部合唱から、三和音以上の実に心地良いハーモニーに発展して人類が到達したのが、下の【表】の下部に示す「純正調音階」です。
 平均律は純正調音階に近い音階ですが、平均律では周波数が整数比ではない《例えば上記ド:ミの周波数比は4:5ではなく、45.0396842・・・・・・の比率》ので 厳密に言うと上記「波の一致」は永遠にありません《オクターブ違う2つの音の場合には、その周波数は平均律でも 12という整数比になるので例外》。
 しかし我々はピアノの音(平均律)を基準に考える事が多いので、下の【表】ではその平均律の音に比べて 純正調の各音は音がどれだけ高いのか、低いのかを比較しています(拡大図有ります)。
 音の絶対的な高さ(周波数)は、長調の)の音を440[Hz] か442[Hz] の音を基準にしますが《あまり一般的はありませんが 442Hz の音叉も市販されています(500円位)》、ここでは音程(周波数比)を問題にしているので、階名のの音を基準にしています。

                                    

 音程を数値で表すのに、上記の周波数比よりも一般的には平均律の半音を100「セント」として表します。
   「セント」は単純な比率ではなく、「指数対数関数」というものを使った、より人間の感覚に近いものです。
 オクターブは、「平均律の半音」という音程が12個 積み重った音程であり、周波数比では2.0ですが、セントで表すと1200セントになります。
 また、平均律の半音の音程(100セント)は、周波数比で言うと、或る音に較べて半音高い音の周波数は
  exp〔(100/1200)*ln 2.0〕=1.059463…
倍となるので、約5.9%高い周波数となります《この式の中の ln・・・ が 2.1828… 2.71828… を「底(てい)」とする対数関数で、例えば
  ln 2.71828…=1 , ln (2.71828…*2.71828…*2.71828…)=3
exp・・・ は指数関数
  exp 1 =2.71828…》。
 上記「オクターブは、『半音』という音程が12個 積み重った音程」というのを普通の数式で表すと、
  1.059463…122.0
ということになります《小さい字の 12 は、1.059463…を 12回掛け算することを意味します》。
 上の【表】にある様にの音を基準にした純正調のの音は、平均律のに比べて14セント低いのです。と組んで長三和音を作るのに頻繁に使われるソ#(図中網目の上から二段目のgis )の音にいたっては、平均律のソ#に比べて27セント(半音の3割近く)も違うのです。
   純正調の長三度の音程は平均律に比べて14セント狭いので、平均律より14セント低いから長三度上の音がソ#となるので、ソ#は 28セント《正確に計算してから四捨五入すると27セント》低いのであって、計算間違いではありません。
 
   ド・レ(d)・ミや、ファ・ソ・ラの其々三つの音の周波数は、平均律では等級数《隣り合う音同志の周波数の比(音程)が同じで、その比率1.122倍》ですが、一方、純正調では等級数《隣り合う音の周波数の差は同じ》で、上記三つの音の周波数比は8:9:10です。
 つまり、純正調ではd)の音程は 9/8《=1.125》(204セント)《大全音と云われています》であるのに対し、d)・の音程は 10/9《=1.111…》(182セント)《小全音》であるので、d)・の音程の方が 22セント(平均律全音の 11%)だけ狭いのです。
 このド・レ(d)・ミや、ファ・ソ・ラの周波数を8:9:10という整数比にしないと、周波数が整数比 4:5:6の長三和音(三角形)と、整数比 10:12:15の短三和音(逆三角形)から成る 純正調の【表】の網目構造は出来ません。
 《確認の為 逆の検算をすると、例えば【表】の様に、長三和音(周波数比が4:5:6)の fac〔ファ・ラ・ド〕の三角形の右に、くっつける様にして並べた (同)c・e・g〔ド・ミ・〕の三角形をならべ、 f〔ファ〕と a〔ラ〕の音を1オクターブ上げると fga〔ファ・・ラ〕の3つの音の周波数比は 8::10になります

 上の【表】が示す様に、平均律と純正調とが偶然ほぼ一致している音は、を基準にした場合、レギュラーな階名音では、ただし ソシレ)、ファただし ファラドファ)、の3音しかなく、は低目で、レギュラーと言ってもいいソ#はかなり低く歌わなければならないのです
 しかし、私達はこういう計算に基づいて自分の声を修正するのではなく、お互いのパートを聴き合って最も心地良い和音になる様に自分の声の高さを修正していかなければならないのは当然です。
 それには「旋律の記憶」で音を出すのではなく、上述の各階名音特有の感覚に基づいて音を出すことが、音に確信を持ち楽譜から音を取れる様になる早道になると思います。
 何故ならば、その「階名音特有の感覚」は、《上述のド:ミ:ソの例の様に》「こういう階名音の感覚の時には《周波数比が整数比である為》“良くハモる”」という実感が積み重なったものであるからです。

   上の【表】の中の「階名」の:シ:レ:ファf7)の周波数比
   
:5:6:
の等級数です。
の周波数は、c)の“3/2/2倍”(=3/4倍)の周波数の音であり、ファf7)の音はに較べて上記比の 7/4倍の周波数であるので、ファf7)の音の c)に対する周波数比は
  3/4*(7/4)=21/16
となり、従って、ファf7)の音を c)に較べた音程[セント]で表すと《セントの計算方法は 上の【表】の左に書いてある “セント=1200×ln・・・・・・” 
  1200*ln(21/16)/ln(2)=470.78≒500-29
となって、平均律のファとの差は -29 セントとなります。
 上記のファf7ではなく、普通のファfファラドファ》の平均律との差は、【表】の中にある様に僅か-2 セントです。
 ド・ミ・ソの場合、純正調では:5:6という数字が示している様に等級数です。
 ド・ソ・1オクターブ上のも、純正調では等級数です《:3:4》。
 ド・ファ・ラ・1オクターブ上のは、今回初めて気が付きましたが、純正調では 【表】の 〇 の中の分数《網目の下の表中の分数》に 3 を掛けると《:4:5:6》の等級数となります。つまり、の振動が僅か回繰り返す間にファ,ラ,上のの振動がそれぞれ 4,5,6回 繰り返して振動が一致します。
 その様に小さな整数の等級数になるという事は、波が頻繁に一致するので良くハモる事になります。
 そういう風に上の【表】を見ていると 【表】が“美しく”見えてきませんか?
 
実際の音の違い
 「じゃあ、君、平均律と純正調の“”の音を両方出してみろ」と言われると困ります。
 ♪ もしも私にパソコンの知識が増えたなら ♪、パソコンのキーボードで純正調音階を弾ける様なソフトを作って、この頁に「無料ダウン・ロード・ボタン」を作りたいとは思いますが、現在の段階では“夢”でしかありません。
   《以下はその夢の内容です。 : パソコンはキーが豊富なので 例えば 長調または短調のとき、同じ階名の“”でも【表】の4段目の編み目の dソシ)と 3段目の網目の dファラ)を出し分ける事が出来ます。
 又、2段目の gis,5段目の asなど、ピアノでは同じ音しか出せませんが、パソコンでは 2つの音を出し分けられるので、豊富な臨時記号のキーを作る事が出来ます。
 外声が fファ)と c)を伸ばしているとき、マンドリンの様なオブリガード楽器が a)から as)に下がると“泣かせ処の音”になります。
 また調を、例えば ト長調またはホ短調に切り換えたい場合には、上記階名ボタン(cddeff7……gisasなど)は共通とし、例えば数値専用キーなどを使って音全体の高さを変えます》
 そこで、当面 電子ピアノの様に音を瞬間的に切り替える事は出来ませんが スマホのキーで数秒?で切り替える方法をご紹介します。
   先ず、スマホのアプリ「Impulse」をダウンロードして起動し、「Presets」→「Userpresets」の右に在るボタンを押し、「slot 1」の「Frequency:・・・・・・Hz」の数字を押してその数値をハ長調のの周波数262Hzに変え、それを「Done」と「Save」ボタンで記憶させます。
 すると、画面3段目のボタンのうち「262Hz」のボタンが作れた筈なのでそのボタンを押して音を確かめます。
 確かめた後、音を止めるにはそのアプリを終わらせます(タブを閉じる)。
 次に純正調の等のボタンを作りたい場合、「Userpresets」の右のボタンを押して、「slot 2 」~「slot 4 」の「Frequency:・・・・・・Hz」の数字を次の様に入れ替えます。そのとき忘れずに「slot (No.)」を変えないと、「slot 1」の周波数が変わってしまいます。
 純正調の   slot 2 : 327Hz
 純正調のソ#  slot 3 : 409Hz
 平均律のソ#  slot 4 : 416Hz 。

 端末にダウンロードする電子ピアノも、機種(スマホの機種)によっては使い物にならないつまり「音取りも出来ない」ものが有ります。
 NTTドコモの標準機種:ファーウェイ HW-01K は、ダウンロード可能な全てのアプリで、キーを押してから0.2秒くらい時間が経たないと音が出て来ません《 2018年11月から2年近く経っても改善されていません》。
 0.2秒の遅れというのは電子楽器にとって致命的で、=60 位のテンポでも 16分音符(0.25秒間隔)でドドドド・レレレレと弾こうとすると、弾く人の脳が混乱して弾くことは不可能です。
 純正調と平均律との違いは、ソ#の場合が最も大きいのですが、上記アプリで数秒の時間を置いて、純正調と平均律のソ#の音を切り替えても確信が持てない位、両者に大きな差は有りません。
 だからと言って、「階名読みする《階名を意識して音を出す》ことに意味が無い」という事にはなりません。普段から「階名読み」をしていると、合唱のとき良く「ハモり」、冒頭で述べた様に「音が分かる」様になるからです。
 上記「以下はその夢の内容です。 」と書いた部分で、何故gis(ソ#)とas()との音を出し分ける必要が有るか述べます。
 ソ#の音が使われるときには、大概他のパートかピアノのパートはの階名音を出しています。つまり、ソ#の長3和音を作るのにソ#が使われます。それに対し、上記の例の様にファの短3和音と作るのに使われます(as)ソ#(gis) よりも 41セント(← 814-773)だけ高い音です。【表】参照
 
別の読み替え
 冒頭の楽譜のP.4の下段からP.5ページの上段にかけては二通りの読み替え方が有りますが、☐を付けたベースの読み方ではP.5の冒頭はファーードーであり、赤字の読み方ではドーラーソーとなります。
 純正調の“”には 2つ有って、☐の読み方の“”を純正調の【表】の上から三段目の“d”(:ファ:ラ)の音を出せば☐の読み方でもハモります。
 そのとき《男声の小節の2つ目の二分音符》の和音はP.5上の2番目の四角の枠内の[d-f-a](:ファ:ラ)の短三和音(周波数比は10:12:15)になりますが、“”の音が何時も ソ:シ:レ(長三和音)の“”《【表】の上から四段目の》になってしまう傾向が有る人の場合には、赤字の読み方の方が良いでしょう。
 ☐の読み方の“”を上記の様に:ファ:ラのときの“《同表三段目の“”》で歌えば、二つの読み方の「ファーードー」と「ドーラーソー」の各音の周波数比は、どちら共「12:10:9」となり、全く同じ旋律になります《☐の読み方の場合 ベースがを歌っているとき他のパートはファを歌っている:つまり、ファラの短三和音が鳴っているので、他のパートを聞きながら歌えば自然にファラd)になります。新しい楽譜を渡されて音取りをするときも、冒頭で述べた様に全パートが一斉に階名読みをすれば、その和音の違いから d)を出し分けられる様になります》。
   因みに「カデンツ」と言われる和音練習には2種類ある様で、そのうち より一般的な アルトが「ミ・ファ・ミ・レ・ミ」と歌う「カデンツ」の の音は、他のパートがそのとき、)と)を歌って長三和音を作るので、他のパートを聞きながら歌えば自然に同表四段目のソ:シ:レ》となります。
 フリー百科事典:ウィキペデアの「純正律」《純正調》では、《純正律の》短所は、音の組によっては、純正音程から著しく外れることである。・・・・・・D:A・・・の音程を含む和音は非常に響きが悪くなると言っています。
 しかし、それは純正律のD)の音を長三和音(ソ:シ:レ)のときの c:dの周波数比が 8:9 》だけに限定しているからで、上記の様に短三和音(:ファ:ラ)の和音のときは )で歌えば「響きが悪くなる」ことはありません。純正調というのはからまでの一次元の数値の羅列ではなく、上の【表】の様に長和音の三角形短三和音の逆三角形とが隙間なく組み合わさって広がった二次元の平面なのです。
 因みに、ソ:シ:レ)と、:ファ:ラ)とでは、上記【表】の数値から、20418222 セントの違い《後者の方が低い》です。
 更に言うと、純正調では「単純な整数比」という利点を発展的に拡張した音もあみ出しています。上記:シ:レ:ファf7)のファf7)がそれです。
 上述の 長三和音と短三和音とから成る網目の中にも無い音ですが、実際の合唱の楽譜にも使われています。
  *1 例えば信長貴富作曲「新しい歌」[改訂版]の 59小節の2~4拍目は変ロ長調読みで シ:レ:ファf7)の和音として使われています。このファf7)を【表】の網目の5段目の (アッパー・バーのの音)にすると、3音の周波数比は75:90:108になるので、の音を75回も繰り返さないと3音の波は一致しません。しかし、シ:レ:ファf7)の和音にすると の音が僅か5回で3音の波が一致します。例え作曲者が敢えてハモらない (アッパー・バー)を望んだとしても、歌い込むに連れて自然にファf7)になると思います。
 この音は:シ:レ:ファf7),又はシ:レ:ファf7)の和音のとき、【表】の網目の中の どのファよりも単純な整数比で良くハモりますが、このファf7)の音は60年も前の本(活字の本)に純正調の階名音の一つとして書いてあったものです。
 上記ウィキペディア「純正律」の記述は、最近の「短い文章で済ます」というツイッター文化に汚されているのが分かります。また、そのページの中に「純正調は転調や移調が困難である」とも書いています。
 とんでもありません。転調したらその調のドレミファ…の純正調で歌えば良いだけです。
   他にも純正調の本質を理解しないで誤ったことを書いているHPは世に溢れています。
 例えば純正律、破れたり!」では、その中の「4番目の和音」でアルトの振動数(周波数)について、「アルトは・・・テノール・・・の 4/3倍・・・の音です」と書いて計算しています。その基準としたテノールの音の振動数は 「コードDm」の中の音ですからファラ)《に比べて1.111倍》です。
 しかし、の「振動数が 4/3倍」であるべきなのは、シレソ)の振動数から 4/3倍です。の音はに比べ 9/8倍《1.125倍》ですから、4番目と5番目の和音のアルト()の音は、9/8*(4/3)=1.500となり、最初の音と同じになります。
 しかし、その1.500という数字は、次に述べる様にそんな計算で弾き出すべきものではありません。
 そのHPが根本的に間違っていること。本HPの冒頭で、「各“階名音”はその調の中で特有の感覚の音だ」と言っている様に、和音が決まればその音の高さ つまり振動数は決まるものであって、そのHPの様に前の音や他のパートの音から計算するものではありません。《上記「和音が決まれば音の高さ・・・は決まる」と言っても、1つの階名音をシレソ)とファラ)とに使い分けなければならない場合も有ります。》
 序に間違いをもう一つだけ《他にも有りますが・・・》。番目の和音のテノールの音はソシレ)なので、同じ日本語階名ではあるけれど4番目の和音になったとき3番目の和音の中の
)と音の高さを違えなければなりません。つまり、そのHPの「表5」と「表6」の「コード G」の列の「1.111」は 1.1259/8)にすべきです《 22セントの違い》。

 上記ウィキペディア「純正律」の著述者は『純正調のは《【表】の中の》だ』という事だけを信じ、純正律、破れたり!」の著述者は『純正調のは《【表】の中の》だ』という事だけを信じたのだと思われます

●“楽譜(紙)から音を取れる”様になる為の方法
 その「方法」を述べる前に、その「方法」に関係が有る 近代の「音取り方法」の問題点を指摘させて頂きます。
 冒頭で述べたパソコンによる「音源」や電子ピアノ等の、実音を聞くことによる音取りは、一見「音の高さを覚える」ことの様に思われます。
 ところが、その電子ピアノを弾く人やそのパート全員が 1~3小節の間、間違って三度の音の違いを保ち続けた場合、誰も《指揮者によっては指揮者すらも》その間違いに気が付かない事が起こります《私はその間違いを複数の合唱団で 複数回 目の当たりにしました》。
 これは平行三度の旋律は似ているので(そっくりなので)間違いに気付き難いのです《平行三度はなぜ聞きずらいか》。
 という事は、「音取り」が「音の高さを覚えた」のではなく、実は「旋律を覚えた」ので、その旋律とそっくりな三度違いの間違いには気が付かなかったのです。
 しかし、そういう現象は、冒頭で述べた昔流の「音取り」:つまり「階名読み」で音を取って階名を意識しながら歌っていた時代には考えられないことです。何故ならば平行三度の二つの“旋律”は似ていますが、“階名音”から受ける感覚は全く異なるからです。
 「音源」によって覚えた例えば或る曲のの音は「ソファミという旋律」の最後の音として覚えたのに対し、階名を意識したの音は単独でその感覚を覚えます。旋律が変わっても各階名音の感覚は同一です。
 つまり、“階名音の感覚”“その調の中の音の高さ(絶対音感的な高さではありません)”と一対一の関係に有るので、“階名”を意識して さえすれば、平行三度の旋律が酷似していても“音の高さ”を間違える事はない訳です

 では、楽譜(紙)から 階名で音を取ることが出来る様になる為にはどうすれば良いのかを書きます。
 先ず第一に、自分の知っている曲を階名で歌います。このとき覚えたいのは階名音の感覚と音程なので、普段感じている音の高さ《ピッチ》でOKです。勿論小声でも構いません。
 効果が有りそうで最も易しい曲は「人形」(楽譜とYouTube)です《次の階名の 小節の区切り方が違いますが》。
  わぎょうは|
  |ソミー|ソミ |ソレー|
  ミ ミ|ソソー|ド|ソドー||

 同様に音が殆ど飛ばない《「ドレミ・・・」の様に音が隣り合っている》易しい曲に「靴が鳴る」が有ります。
  お て-てー|つ なでー|
  ド ドミー|ソ ソソー|ミ ミド ド|ミ レレ・|
  ミ -ラー|ド ラソー|ラ -ソ ミ|ラーラ・|
  ドーラ ド |ソ ラミ ド |ミ レレ -|ソーー・|
  ドーラ ド |ソ ラミ ド |レ ドミ -|ドーー・||

 この2曲を歌ってみると、どちらの曲のの音も2つの曲で共通した、他の音とは全く違う感じのする音である事に気が付く筈です《ただし、その感じは 冒頭の注*2で述べた長調のときの「」の感じ》。そうなったら楽譜から「階名音を出せる」第一歩を踏んだことになりますが、楽譜も上記の階名も見ないで 曲を階名で歌える様になると 徐々に以外の階名音の感じも掴んでいきます。

 次に、ファの階名音を含む曲で、短調の曲「荒城の月」(楽譜)を歌ってみます。特に、ファの音を歌っているとき「ファの音はこんな感じだ」ということを実感しながら歌うと良いと思います。
 特にその楽譜の各段の3小節目のDm(ファラの和音)を聞きながらファを歌うと、ファの感覚を早く掴めます。そのファの感覚を掴めば、たった半音しか違わないファ#の音と間違える事は絶対にありません《私が音を間違えるときは階名を読み間違えたり、階名のカナを振り間違えたりするときです》。
 また、青字で書いた)は、ソシレ)と違う感覚《=その調の中での音の高さ》を、Dmの和音を聞きながら音を出す事によって身に付け易くなると思います。
   ミミラシ|ドシラー|ファファミレ#|ミーー・|
  ミミラシ|ドシラー|ファミ-|ラーー・|
  ド-シラ|ファファミー|ファ-ファ|ミーーー|
  ミミラシ|ドシラー|ファミ-|ラーー・||


 以上の曲は音が飛ばない《長調の場合からに飛んでいるのは易しいので「飛んでる」と見做さないことにし、短調の場合もからに飛んでいるのも同様とします》のですが、飛んでいる曲は更に階名音の感じを覚え易くなります
 次の曲「里の秋」を楽譜()を見ず、電子ピアノなども弾いてみずに階名で歌ってみましょう
 そのとき、その第3小節4拍目の赤字で書いたはその前の音から飛んで《ラシを飛び越えて》いるので、果たして階名が「」で良いのかどうか自信が無くなってしまいます。
 そんなときには、前の音から初めて「ラシ」《実際には無いラシを付けてみる》とか 次の音を含めて「|ミ」とか、そこだけを繰り返し歌ってみると、「」という階名読みは間違っていなかったことが確認できます。
 そうすれば例え自転車に乗りながらでも階名を確認し、階名音の感覚を掴む練習が出来ます。
 この項の最初に「先ず第一に・・・・・・階名で歌う」と言いましたが、階名そのものを暗記してしまったら この練習をする意味は半減してしまいます。自分が感じている高さの音が、どの階名音に相当するかを探って確かめることに意義が有ります。
 【表】の3段目の(長調のときのの感覚)も絶好の練習対象になります。
 《 し-か-な-|し ずなー|さ -の あ-|・・・・・・ 》
  ソ-|ド ラソー|ラ-ソ |ミーー・|
  ソ-|ド ラソー|ソ-レ |ドーー・|
  レ-ミ レ |ド レソー|ラ- ソ|ソーー・|
  ラ-ソ ミ|・ファミ ド |・ラ ソ|ドーー・||

 他に「叱られて」(楽譜)等 「飛んでる」音オンパレードの曲も有ります
 
 以上の「知っている曲を“空で(楽譜も階名も見ないで)”階名で歌う」ことは有意義ですが、階名ではなく“音名”で歌うのは、階名音の感覚を身に着ける為には有害です。
 つまり、最初の曲の「人形」がもしもニ長調であったとした場合に 音名で歌うと曲の最初の部分は「・・・」となってしまいます。
 【表】によれば階名のの音程は 204セント《大全音》であるのに対して、階名のの音程は 182(← 386-204)セント《小全音》であるので、最初の歌詞「わた~しの」の音程を大全音で歌わなければならないのに小全音で歌うことになり、異なる「」の感覚を覚えてしまいます。これでは、階名音の感覚を覚えるのには有害となる訳です。

 また、上の「里の秋」の様に音が飛ぶ曲を楽譜を見ないで歌うのはちょっと難しいので、普段の合唱練習の音取りのとき「楽譜を見ながら“階名”で」歌うという事も平行して努力し、更に他のパートの声やピアノ伴奏による和音を聞きながら階名を意識すれば、各階名音の感覚をより早く掴むことが出来ます。
 皆がいきなり歌詞を付けて歌っているときに、自分だけが階名で歌うのは恥ずかしいと思うかもしれません。
 しかし昨今の、自分のパート単独の平均律の旋律を記憶して音取りをする方法に比べて、階名で楽譜から音を取る方がより高度なもの《上述の純正調》を目指す 勇気ある行為であると思います。
 また、楽譜に階名のカナを振っておいて、実際の練習のとき階名を声に出さなくても、階名を意識しながら歌うだけで、やがて階名音が分かる様になると思います。

 更に、小学唱歌では滅多に出て来ない臨時記号も、合唱曲には上述した様な,ラ,・・・等、魅力的な音がいっぱい出て来ます。
 これらの一見難しい音も普段から階名を意識していれば、電子ピアノなどを使わなくても「取れる(その音を出せる)」様になります。その為には曲の途中で転調しているときには、「●階名の読み替え例」で述べた様に、素直に転調した調に読み替える必要が有ります。
 何故ならば転調した調で歌わないと、上述した例の様に小節の中に5個も臨時記号が頻発するという事が起こり、階名音の感覚など無くなってしまって “階名音の感覚を覚える”ことは不可能になるからです。
 私は曲を新しく覚えるとき、自分のパートの殆どの部分に消せるボールペンで階名のカナを振ります。そして、転調している部分が有る事が分かったら その部分を違う目立つ色で 転調した階名の仮名を振り直しています
 
お願いと付記
 私は和声楽や音楽史を正式に勉強した事は有りません。
 昔、読んだ本から写した【表】に数値を書き加え、合唱好きの素人である私が今までに実際に体験した事に基づいて文を書いたものですので、何か少しでも間違った事が書いてあったら是非教えて下さい。
  最後までお読み下さり、有難う御座いました。ご指摘、御助言などお寄せ頂ければ幸いです。
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   純正長音程の拡大図





















 このスライドショーは右記「・・・ルーブル美術館を全部観る」の最後のページの一部

 このホームページの作成者はエルミタージュ、ルーブル美術館を全部観るというHP《》も開いています。
 個人旅行での音楽情報も載せています。御一瞥頂ければ幸いです。

 また、HP:立ち転けと引き起こしの力学  転ばない2輪車も開いています
                                                終わり
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