シゲチャン日誌・2012年3月

2012年3月5日

 我が家に居着くようになった野良猫のソトサバについて以前から何度か書いてきた。さて・・・その後、飼い猫のサバとの関係はどうなっているのか。サバは毎朝、外に出してくれと騒ぐので、首輪に鎖を付けて玄関のドアーを開けると、玄関マットで日向ぼっこをしているソトサバと朝のご対面となる。甘えん坊のソトサバは「お早よう・・・」とサバに身体をすり寄せてくるが、その面をいきなり一発・二発とサバがパンチをお見舞いする。「何すんの・・・」とソトサバはうつむきうなだれてしまう。本当に気のいい奴なのだ。ソトサバが我が家にくるようになった4ヵ月の間、サバは注意深く相手の性格を観察し、見抜いた上でのパンチ攻撃であり、この家は俺のテリトリーだという自覚が芽生えてきたのである。
 ココ(カミさん)が、サバを散歩に連れ出すと、ソトサバはトコトコと後から付いて行く。接近しすぎると、サバは再びパンチを繰り出し、ソトサバはいったん離れるが、また後を追う。ココを先頭に、付かず離れずの二匹の猫の散歩は、何とも妙で滑稽であり、実にのどかな光景である。散歩から帰ってからも、二匹はくっついたり離れたりで仲がいいような悪いような関係で玄関先にいる。
 とはいえ、12年目にしてサバは、友達なし・恋人なし・嫁なしの独り身から、やっと仲間らしき者に出会えたのである。



シュールなコラージュ作品
この冬に制作したコラージュの作品。他に6点が完成し、以前からの作品を含めて合計58作でこのシリーズは終了。



2012年3月11日

 雪の上を毛虫が這い出し、越冬したテントウ虫とカメ虫も家の中を歩き出した。森の中ではカラスが細い枝をくわえて巣作りの準備を始めた。厳しかった冬もちょっとばかり春に向かっている。



2012年3月16日

 20年前の今ごろのことだ。東京から津別へ帰郷し、網走湖のそばにあるホテルに一泊した。フロントで、湖が見える部屋を頼むと、「全室が湖側に面しております」と、そのフロント係の年配の女性がおっしゃる。で、部屋に入りカーテンを開けてみたならば、窓の外は一面の雪原である。「これは畑じゃないか?!」小母さん騙したか?と一瞬疑ったが?湖は凍り付き、雪が積もっていたのである。高校を卒業するまで山に囲まれた津別で育ったので、冬の湖が凍ることを知らなかったのだ。そんなことを、まだ雪深き田畑を見ていて思い出した。



ソトサバ
ソトサバです。



2012年3月31日

 ひょんなことから藤沢周平の小説「たそがれ清兵衛」を読み始めてから、このところ藤沢周平漬けになっている。時代小説だけは昔から全く興味のなかったジャンルで、知り合いに藤沢文学の愛読者が多くいたこともあり、元来ヘソ曲がりの性格ゆえずっと避けていたのである。
 ところが、読み始めてみると物語の巧さに加え、現在にも通底する世相と人間を描いているのでついつい引き込まれてしまったのだ。現代との大きな違いといえば、武家物で最後は刀で決着をつけるというところか。特別な人間でない限り、己の中に欲望や妬み狡さなどのドロリとした感情を堆積させているもので、それらをひた隠しにして日常をやり過ごす。彼の描く小説には、それらの感情を合わせ持つ者たちや、ほろりとさせる純朴な人物が登場し、さながら人間図鑑を眺めているかのようである。
 さて・・・今夜は、寝る前どんな人間と遭遇するのであろうか。



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