シゲチャン日誌・2012年1月

2012年1月3日

 年が明け、方々から年賀状が送られてくる。これが・・・辛い。10数年前から年賀状を出すのを止めてしまったからだ。東京にいるころは、年に一度のペースで展覧会をやり、案内状を書き、見にきてくれた人に礼状を出す。その数三百枚ほどで、それに年賀状が加わって、いつも宛名書きばかりしているような気がしていた。
 ボクが関連していたデザイン・ファッション業界と言われるカタカナ職業の連中は、名刺・封筒に好んでローマ字を多用し、おまけに、その文字をやたら小さく印刷する。小さいのがオシャレらしい。読むのに一苦労した挙句、地図帳を開いて住所を漢字に調べ直す。丁度そのころはバブル景気だ。カタカナ業界の連中は、競うように広い仕事場を求めて引っ越しラッシュが続く。その移転の知らせがひんぱんに送られてくる。アドレス帳は、訂正に次ぐ訂正で真っ黒となり、何が何だか分からなくなる。このアドレス帳を開くたびに気が滅入り、これからは用件のある時のみ手紙を出すことにしようと決める。
 そんなボクの勝手な事情など知らない人々がわざわざ切手代50円を使ってまで年賀状を送って下さる。一枚一枚にその差し出し人の笑顔がふわ〜っと滲むように浮かんでくる。己を不義理な奴だと思い心苦しくなる。そして、居留守を使った時のような後めたい気持ちが残るのだ。あ〜あ、浮き世の加減は難しい。


2012年1月11日

 キツツキの中で一番大きなクマゲラが家の前の森にやってきて、木の根元の方を突っ突いている。あっという間にリスが住めるほどの大きな穴を二個開け、その他にも途中で止めたのが何個かある。遠目には、穴が窓のように見えて木のビルディングみたいだ。木の中に住む虫達が、この穴に這い出してきたところをクマゲラは食べる。キツツキ達は遊びで木に穴を開けている訳ではないのだ。それにしても、クマゲラの仕事が早いのには驚かされる。


Kids Bench
「まつまえ こどもえん」の玄関ホールに設置したKids Bench。このベンチ、座ったり中を覗いたりと色々な仕掛けがあり、園児達がガリヴァーの国で遊ぶイメージで作ってみた。



2012年1月15日

 我が家に毎日やってくる野良猫のソトサバがねぐらにしていた空き家のD型ハウスが解体された。ココ(カミさん)が餌をやるようになってからは、夕飯を食べると満足気にD型ハウスに戻り寝ていたようだが、これでソトサバは冬の最も厳しい時季に安住の地を失ってしまったのである。
 これを黙って見ていられるココではない。ダンボール箱を引っ張り出してきて、あれよあれよという間にプチプチのパッキンで内側を覆い、クッションまで敷いてソトサバの家を作る。それをベランダの下に置く。これで限りなく家猫に一歩近づいたソトサバは、玄関先の餌皿とダンボールと家とを往復するのが日課となっている。


Kids House
園内のオープンスペースに設置したKids House。高さは2メートルほど。



2012年1月30日

 函館の先にある松前町に行ってきた。遠いなぁ〜、東の端から南の端までなのだから。目的は、この春に松前に「まつまえ こどもえん」が開設されることになって、玄関ホールにベンチと、オープンスペースにオブジェの製作の依頼があり、その納品と設置のための出張というわけである。飛行機と電車を乗り継いでの移動なので時間はたっぷりある。今回は、列車内で本を読む絶好のチャンスとばかり楽しみにしていたのだが、車内のアナウンスにうんざりする。「ダテ〜・モンベツ〜ウ」「オシャァ〜マンベエ」と妙な英語のお姉さんの発音が気になって、膝に本を開いたまま函館に到着。オシャァ〜マンベエ〜か・・・やれやれ。


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