シゲチャン日誌・2011年10月

2011年10月6日

 釧路動物園のオランウータンのヒナちゃんと遊んできた。室内の寒々しいガラスケースの中で、子供のヒナちゃんは干し物みたく木にぶらさがっていた。遊び相手もなくひとりぼっちで退屈そうなので、かけていたメガネを上下に振ってみる。ピカピカとレンズが光るからなのか?それとも動きが気に入ったのか・・・ヒナちゃんは駆け寄ってきてガラスに額をぴたりとくっつけて興味を示す。近くで見るとヒナちゃんのぽやぽやした長い頭の毛とつぶらな瞳はとろけるほど可愛ゆい。もっと気を引こうと何度もメガネを上下する。その間、ヒナちゃんはボクに釘付けだ。遊んだといっても、それだけのことだけど、ボクには大満足の一日であった。



2011年10月8日

 ランドにコウモリがいた。昼を過ぎて、ヘッドハウスのドアーを開けようとしたら、上の壁に何やら黒い塊があるのに気づく。それは、ハツカネズミがうずくまるような恰好で壁にへばり付いていたのである。しかし、ネズミが壁にへばり付くことなぞ出来るわけがない。よくよく見れば、小さな耳と逆三角形の顔とが確認出来る。コウモリは、てっきり羽を広げぶらさがっているものだとばかり思い込んでいたのだ。このコウモリのポーズが面白い。羽で全身を包むようにして三つ指を付き、まるでランドの従業員でもあるかのように「いらっしゃいましー」と客にお辞儀をしているようにしか見えないのである。「招きコウモリ」こんな奴だったら各館に一匹ずついてもいいもんだ。
 しかし・・・一般受けとなると、どんなもんだろう。



秋の草
草が枯れ出し緑・黄・茶・赤とそれぞれの色が絶妙に融け合う土手の秋。今にも、これらの色がからみ合いながら天に立ち上りそう。まるでゴッホの絵。



2011年10月13日

 この前まで、暑いだの蒸すだのといっていたが、紅葉も進み秋景色である。そろそろ動物も虫達も冬仕度に忙しそうで、例によってテントウ虫もランドの建物内で冬を越そうと飛んできたし、その他の虫達もこの朝晩の冷え込みでめっきり数が減ってきた。越冬する虫もいれば、死に絶える虫もいたりと、虫の世界もさまざまである。


お皿の顔
漬け物を食べ終わったら、赤とうがらしの輪切り2ケときらぶき一本が残って、顔が・・・。



2011年10月22日

 なんとも気まずい時ってあるものだ。例えば、エレベーターの中。見ず知らずの先客がいて、そこで困るのが視線のやり場と身の置き場である。目的の階までは、ほんのひと時だから特にやることもない。見たくもないエレベーターの階数を示す表示板をバカバカしくも、さも意味ありげに目で追う。又は、見たくもない人の後姿のえり元なぞを、念力でも送るかのようにジーッと凝視する。そのうち煙が出て火が付きそうになるくらいにだ。そんなことをしたくもないのだが、そうしてしまう。ただただ一刻も早く、この箱の中から逃げ出したい。おそらくそこにいる全員がそう感じているのだと思う。あとー街角を歩いていると、さほど親しくもない顔見知り程度の人が、こっちに向かって歩いてくる。ドキッ!とする。これも気まずい。まぁーだいたいは、なるべく前方を見ずに左右の看板を見たり、車の流れを見るふりをする。しかし、先方もこちらに気づく。勘でそれが分かる。さぁー困った。互いに凄く意識する。双方の演技合戦が始まり、日常の街並から一気に劇場空間へと反転する。で、かなり接近してから「おや?今日は・・・」なぞと白々しい挨拶を交わす。
 もし、これが田舎の一本道での場合だったなら最悪である。もうーこれは、道の真ん中に穴を掘って隠れるしかないであろう。



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