シゲチャン日誌・2011年5月

2011年5月1日

 「早春である。確か戦後間もなくだったと思うが、小津安二郎監督の映画で「早春」というのがあった。いい響きですね。早春。いつもより少しばかり寝坊をしてしまい、フトンの中で自然と腕から足の爪先まで大きく伸びをした後、思わずあくびと涙が出る。早春って、そんな至福の時を連想する。
 相生の田畑も山々も今だ全体に茶色と灰色を混ぜ合わせたような味気無く、塞ぎ込むような景色である。ところが、あちらこちらでヤナギの先端が芽吹き出して、暗いトーンの中でヤナギの群生している所だけが、まるで薄黄緑色の雲がふんわりと浮かんでいるように見える。この光景を目にすると、心が浮き浮きしてくる。  近ごろは木々の緑が全て出揃った頃よりも、このヤナギが芽吹き出す頃の方がだんだん好きになってきた。生命の再生と始まりを感じるからなのか、それとも、大きな変化よりも、微妙さや細部の方へと関心を寄せるようになってきたからだろうか。風景に対する感じ方も、歳とともに変化してくるようである。


トッタン画
この世の愛しさとでも言うのか?何気ない日常の生活のなかで、いいなあ…と感ずることがある。それらを錆びたトタン板を使いシリーズ化している。



2011年5月3日

 寒い寒いランドの幕開けであった。ゴールデンウイークの1日からシゲチャンランドは開館したが、初日は雨。2日目は、雪がパラつき。今朝は、一面の銀世界。連日、日中でも気温が2度という真冬並である。おまけに強風が吹き荒れて、入口ののぼり旗なぞ、バタバタと音を立てて今にも千切れんばかり。このあまりの悪天候に、家に逃げ帰りたくなるほどであるが、昨日は大阪からフェリーでやってきた女性までいたことだし、そうもいかんのだ。ツ・ラ・イ。


2011年5月5日

 ランドの掃除を終え、帰り支度をしていると、駐車場に凄い勢いで家族連れの車が入ってきた。車を降りるや、30前後と見受けられる母親が、チケットハウスの料金表を見て「ゲーッ、金とるの?!七〇〇円!!高ぁ〜い」と大声で叫び、連れの男の子達は興味津々で、今にも館内に駆け込まんばかりに浮き足立っておる。閉館時間が一時間も過ぎ、帰ろうとしている矢先に「金とるの?!」と言われる筋合いはない。それでも母親は「シゲチャンランドォー見たい!!」と騒ぐ。これじゃー言いがかりを付けに来たようなものである。これには、ボクとてキレて「今日は終わったし、高けりゃー見てくれなくてもいいんだヨ」と、つい子供の言い争いみたいな言葉で返す。で、御一行は、再び慌ただしく帰っていったが、あの分では、子を引き連れ一日中あっちこっちで騒いできたのであろう。
 しかし、子供の前で、あの粗暴な言葉使いといい、人に対する作法が全くなっておらんではないか。無礼者め。と、寝る前までブツブツ独り言を繰り返す「子供の日」のオジさんであった。


2011年のランドグッズ
ランド産の落花生を使った販売作品。オープン初日に某女子がゲットし、札幌へ。



2011年5月20日

 チケットハウスでCDをかけていたら、曲と重なるように「カラ・カラ」というような金属音が聞こえてくる。はて?虫の音かと、表に出てみれば、その音は大きな石の下から聞こえてくるのだ。近くで聞くと、カエルが鳴く声のようであり、携帯電話の着信音のようでもある。誰ぞ、電話を埋めた。まさか?…。石を叩けば、音はピタリと止まる。やはり、生き物か。こういう事が大好きなココ(カミさん)を呼べば「ミミズかもしれない。ミミズが鳴くと人から聞いた事がある」と言うが、初耳である。あのニョロニョロしながら鳴くところを、この目で見てみたいものだがー。しかし、ミミズも鳴くのか?



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