シゲチャン日誌・2010年11月

2010年11月3日

 最近親しくなったカッちゃんが、バーのカウンターで眠りこけている。どうやらカゼ気味で薬を飲んだせいらしい。ここは、弟子屈町にあるジャズバー「K」。先ほどから、ラテンジャズのレコードがガンガン鳴り響く中、ココ(カミさん)は叫声を発し、ひとり踊り狂っている。かなり乗っている。今年のランドも無事閉館し、その解放感にひたっているのだろう。こんなココの姿を見るのも久し振りである。カウンターの隅には、シカゴに帰ったらピザの店を始めると語るアメリカ人の青年が静かにビールを飲んでいる。カウンター越しのマスターは、70を越したいかつい風貌でビールとワインをグイグイとあおり、ココが乗りそうな彼のお宝のレコードを選んでは次々とかけている。
 店全体が相当年季が入っており、両隣りの建物にささえられて、かろうじて立っているような・・・酔っ払いみたいな建物だ。入口からして、開けるにはちょっとしたコツが必要だし、トイレなど自動ドアーでもないのに勝手に閉まる。店を始めて30年と聞くが、その歴史を塗り込めたかのように天井や壁をタバコのヤニが覆い、店の中は暗く洞窟のごとし。
 この暗がりの中、ここが新宿のゴールデン街の一角なのか?それともトルコの片田舎なのか?日本なのかさえも怪しくなってきた。だいぶ楽しく酔ってきたようで、表では、月が数回ケラケラと笑う声が響き渡り、弟子屈の夜は更けていくのであった。


ヒョウタン親父の看板
このヒョウタン親父の絵看板、長いこと風雨にさらされ退色し顔面にはカビがうっすらと生えていたので、冬ごもりの前にお色直しをしてやる。



2010年11月5日

 作業場の片隅に、埃をかぶったマナ板。サンフランシスコの金門橋が描かれたお盆。中国製らしき朱色の安っぽい鏡。そして、小説「耳なし芳一」で知られる小泉八雲の手拭いが雑然と置かれている。これらは、美幌の某古道具屋で買ってきた物だ。改めてこれらの物を眺め、いかなる基準で選び、又いかなる趣味で買い求めたものなのか自分でも説明がつかない。しいていえば、見た瞬間にオッ!と響くものがあったのであろう。買い物でも、妙に小ジャレた店に入るより、「いったい、こんなモン!誰が買うんだろう?」と首をかしげたくなる品々が所狭しと並ぶ店に入る。これが面白い。


ARM サイドテーブル
今年のランドの新しい顔となったARMhouseで製作販売しているサイドテーブル。この冬も何点か製作する予定。



2010年11月20日

 東京へアートスクールの講義で出張し、その間をぬってパイプ探しをしてきた。最近は、タバコを吸う人間は片身が狭い。ところが、ボクはパイプタバコにはまってしまった。
 上京したのを、これ幸いと、銀座・渋谷などの大手のデパートなら当然かなりのパイプを取り揃えているだろうと期待していたのだが、ほとんどのデパートで喫煙具売り場が姿を消しているので驚いた。これが、世の風潮というものなのか?と二度驚いた。幸いにもMデパートの片隅で小じんまりとやっている売り場を探し、これならばというパイプを二本買い求める。
 その後、偶然にも銀座でパイプ専門店を見つけ、喜び勇んで足を踏み入れて卒倒しそうになる。店内は、ケースから壁面まであらゆるパイプがズラ〜リと「ぜぇ〜んぶ、パイプ」で埋めつくされているではないか。値段も数千円から・・・ひやぁ〜く万円近くまでとピンきりがある。パイプの世界もとんでもない世界であったのだ。
 この前まで、中古カメラの世界にはまり込み、ひと段落したと安心しておったら、このパイプの世界も底なし沼の魔界が広がっていたのである。クワバラ、クワバラ。



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