シゲチャン日誌・2009年9月

2009年9月4日

 北見の大型古本店で古本4冊を買う。東海林さだおの「笑いのモツ煮こみ」・山本周五郎の「さぶ」・山田風太郎の「コレデオシマイ。」・中野翠の「迷走熱」の4冊で、400円ポッキリ。古本とはいえ、好きな作家の本がこの値段で楽しめるのは嬉しい。
 しかし、本を書く作家が古本屋に足を踏み入れることは、かなりの勇気と覚悟がいることなのではないか。一冊の本を書き上げるのは、それなりの時間と苦闘の末のことであり、ほとんど赤子を産むにも似た結晶なのである。その分身たるものが、まるで捨て子同然に棚に並んでいるのを見つけてしまったならば、どれほどのショックを覚えるのであろうか。
 棚には、かつて話題となったベストセラーが数多く並んでいるが、ベストセラーなるものは、ふだん本を手にしない人々が話題につられて買った結果である。作家は次々とヒットを飛ばさない限り、他の話題作に取って代わられる。そして過去の人となる。まあ〜大変な世界ではある。
 夏目漱石は、自分の本を求めているのは600人ほどと思っていたらしいが、何となく納得できる数字のような気がする。



森林セラピーの看板
「自然を生かしたまちづくりプロジェクト事業」のひとつとして津別町からの依頼で、この看板を制作した。
サイズは180cm×90cm。森に入ればハートも緑色に染まる。



2009年9月5日

 6月のこの日誌で、80を過ぎた老人から「ジイさん」と呼ばれ、そして40代のオーストラリア人から「ブラザー」と呼ばれたと書いた。その次が出ました。何と!!「あんたは、神さま」ときた。渡る世間、人の見方はさまざまである。


2009年9月11日

 朝、ランドに来てチケットハウスの裏戸を開けたならば、戸の隙間に薄茶色の蛾が羽を広げたまま数匹へばりついている。突っついてみたけれど、ピクリとも動かず死に絶えていた。死骸を取り除いてみれば、その下に淡い真綿のようなものに包まれて、カズノコのような卵をびっしりと産んでいた。その様は、少し薄気味悪いものに見えたが、小さな生命を綿で包み込み、これから忍び寄る寒さなどから保護しているのだと気づく。これも、有史より綿々と続く自然界の営みである。蛾といえども、その光景は切なくも神々しい。
 いよいよ、日中も寒くなると虫の知らせである。


ゴリラ
このゴリラ、顔を「マッカッカァー」にして絶叫してます。何か面白くないことがあったと推測するのだが?



2009年9月23日

 「巨人・大鵬・卵焼」と言われた時代がある。今、50代以上の人にしか通用しない死語であろう。40数年前、プロ野球界では、巨人が日本シリーズを9連覇。相撲界では、大鵬が30数回の優勝を誇り、いつも勝ってばかりの巨人と大鵬は、人気実力ともダントツであった。卵焼が並ぶ理由はよく知らないが、おそらく日本人が一番好む料理というところか。
 少年時代のボクは、まさに絵に描いたような巨人・大鵬・卵焼派であった。この言葉を耳にするたび、何とも気恥ずかしい思いをしたものだ。つまり「ミーハー・ミーハー」と馬鹿にされている気がしたからである。当時のボクは、小心者のくせして、異端者であることに強く憧れ、異端であることがカッコイイと思い込んでいたものだから、このギャップが恥ずかしかったのだ。
 で、今や相撲や野球も全く興味がない。年を重ねるごとに世間が騒ぎ立てるものなぞウンザリすることばかりで、ヘソ曲がりの偏屈ジジイになってしまったようだ。しかしながら、未だに卵焼だけは生き残っていて、ちょっと・・・コレステロールの方が気になるけれども、毎日食べたいほど、ハイ、大好きです。

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