シゲチャン日誌・2009年3月

2009年3月2日

 明日は3月3日の雛祭り。数日前から、ココ(カミさん)は、玄関の上がりに設置している車簟笥の上に、雛人形を飾り始めた。
 これらの雛人形一式は、ココが随分昔から方々の古道具屋や骨董市・雑貨屋などで見つけ集めてきた品々で、それが、良くもまあーんなに小さな物ばかり探してきたものだと感心するばかりの小物ばかりなのである。
 車簟笥の上に、赤いもうせんを敷き、雛壇に素朴な粘土で出来た男雛と女雛が、その後方に金屏風を立て、ぼんぼりや白酒と筆書きの白い壺。そして、いかにもココらしくチェリーキャンディが配置され、スポットライトが当たり、薄暗い室内のその一角だけが、花々がポッと咲き誇ったかのように華やいでいる。
 このようにココは車簟笥の上をミニギャラリーとして使い、四季おりおりの行事である正月・節分・十五夜…と一年を通して飾り付けをしては楽しんでいる。それらの飾り付けが変わるごとに、つい忘れがちとなる月々の移ろいをボクに気付かせてくれる。



国旗の顔
取材から出版まで2年を費やしたランドのガイドブックが完成。
4月22日全国発売。ランド及び北見は福村書店・北の書籍館で購入できます。(リトルモア、1890円)



2009年3月11日

 先ほどから、作業場の窓辺で、最近生まれたのか?小さなハエがガラスに頭をコツン・コツン!ぶつけては何回も何回もバカみたいに繰り返している。そして、窓枠の隅を越冬したテントウ虫までが忙しそうにセカ・セカ動き回っている。
 外は雪どけも進み、空気全体がほのかに水っぽい感じがする。冬の間、身を固くして縮こまっていた木々の木肌も身をほぐし、木の芽が発するのか、何となく甘い匂いが漂ってくる。この寒村の相生にも、春は近い。


国旗の顔
販売用のトッタン画シリーズ。いま暮らしている相生で気づいた身近なものをテーマに選び制作している。



2009年3月16日

 歌手の松山千春。あのツルツルに頭をそり上げた強面の顔で連発する、やや乱暴ともいえる言葉使いに反し、ウィーン少年合唱団のごとき澄み切ったあの歌声はどうだ。このギャップな何だ。内面は、意外やシャイで繊細な神経の持ち主であり、その反動なのか。
 ところで、彼のように声もキレイ。詩もキレイ。と同じタイプの歌手がいる。「ほら、あの歌手。誰だったっけ?・・・」とココに話しかけたが、名前が出てこない。「ほら、あの元銀行員で、頭髪の心もとない、あの歌手・・・ほら・・・」と、うわ言のように繰り返すが、顔の方は証明写真のように鮮明に浮かんでいるのだ。いわゆる老人力がついてきたのである。人の名前を忘れたからといって、その歌手とは友人関係でもないのだから、どうでも良いことであろう。「くだらん、忘れよう」といったん諦めかけて思考のシャッターを降ろすが、気になって仕方がない。これって凄く悔しい。
 こんな時は、皆どうするのだろう?知人に電話で聞くとか、色々な方法があるだろう。しかし、ボクは自力で何とかスッキリしたい。まず、「あ・・・秋田。い・・・井上。う・・・内田」と「あ」から「わ」まで試みるがダメ。次なる手は、電話帳で個人名を追いヒントを掴もうとするが、やっぱりダメ。こうなると、何日も何日もずーっと引きずってしまうのだ。我が性格は何処までもしつこい。
 ところが、気を抜いているところへ、天の啓示か?「小椋佳」がポンと来た。スッキリしたあー。「そうー松山千春と小椋佳の世界って似てません?」つまり、これが言いたかったのだ。ここまで読んでくれた人には、どぉーでも良いことでした。スイマセン。しかし、ディテールには神が宿るとも言いますから。はい。



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