シゲチャン日誌・2008年11月

2008年11月8日

 テレビのない生活が12年ほど続いている。たいした理由はないのだけれど、ただ時間がもったいないからだ。知りたいと思うのは天気予報ぐらいか。これも電話による「お天気ダイヤル」で知ることができるし、コンビニの新聞スタンドでちらりと立読みすればこと足りる。
 たまの買い物で町に出ると、そば屋や、スーパーの休憩所にテレビを置いてあるところがある。相生の山奥で暮らし、ふだん小鳥や森ばかり見ているボクとココ(カミさん)には、この電気紙芝居が物珍しく、つい二人揃って口をあんぐりと開けたまま食い入るように見る。こんなところを、あまり知り合いには目撃されたくはないものだ。二人とも相当なバカッ面をしているはずだから。
 しかし、ニュースならともかく、バラエティー番組となると、ぎりぎりSMAPまでなら知ってはいるが、「誰?これ・・・」といった見たことのない若いタレントが次々と出てきて、乾いた笑いでダラダラとはしゃぎまくっている。ふと、気づけば半時ばかり付き合ってしまった己が情けなくなる。
 まぁ、ただで見ているわけだからして、文句は言えないわけで、嫌なら見なければいいだけの話だ。「やれ・やれ・・・」と二人は重い腰を上げるわけだが、やっぱり、刻々と移り変わる空や山並を見ているほうが、まだいい。



国旗の顔
今年のシゲチャンランドも無事終わり、冬期休館に入る。
手作りの看板は風雪にさらされると痛みも早いので、この春新たに作り替えた。これで2代目となる。



2008年11月15日

 東京は築地にあるアートスクール「パレットクラブ」での講義があり上京して3日目。夕方の6時に、新宿で友人らと会う約束があり、待ち合わせの店へと急ぐ人混みの道すがら、いかにも屈強そうな若い二人連れの警官に呼び止められる。「そのバックの中にナイフなど入っていませんか?中身を調べたいので交番まできて欲しい」との不審尋問である。やぶから棒に「ナイフ?・・・交番?・・・」ときたもんだから、これには思わずクラッ!ときてカチン!ときた。
 そりゃー風体は山から降りてきたオヤジ。もしくはホームレスのごとくに見えるかもしれん・・・と常日頃からそれなりに自覚はしておった。が、いきなり不審者と疑われたとあっては、我が胸中は穏やかではない。約束の時間はせまっているし、交番まで付き合ってはいられない。そこで、今日は運良く運転免許証を持っていたのを思い出し「こういう者だけどさぁー」と見せたらば「あ、失礼しました」と意外やあっけなく引き下がってしまったではないか。「あ〜ぁ、62にして、未だに不審者扱いかっ!!」
 この一件を、集まった友人らに話し、次の飲み屋へと外に出ると、デザイナーの永井が「しかし・・・新宿は大西さんみたいなアーティストやミュージシャンはゴロゴロいるのに変だなぁー。あっ!!大西さん、半ソデのTシャツ姿は目立ち過ぎですヨ!」という。「えっ!!」と回りを見渡せば、皆コート姿であり、ダウンを着込む者もいる。しかし、気温は15度もあり、歩き回れば暑くてうっすらと汗ばむほどである。Tシャツ姿の外国人はチラホラ見かけたが、なるほど・・・日本人でTシャツ一枚はボクだけだった。だって、北海道人だものー。どうやら警官は、オジさんがいけない薬でもやり興奮状態で街をうろつき、発作的にナイフで通行人を無差別に切り付けるような危ない奴と疑ったか。しかしだ。山オヤジが素っ裸で街を歩いておったわけでもあるまいし、半ソデ姿のどこが悪い。
 若い時分より度重なる不審尋問を受けてきた我が人生ではあるけれど、これからも死ぬまで「不審な男」というレッテルはついて回るのであろうか。

国旗の顔
極楽音楽隊のメンバーで名は「コンガー」、コントラバスを担当。
演奏の時、アクションも大きく力強く弾くので、あの「白鳥の湖」でさえ行進曲風になってしまう。



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