シゲチャン日誌・2007年11月

2007年11月2日

 今年のランドも無事終了し、作品たちは冬眠に入る。ところが、ボクもいっしょになって冬眠するわけにはいかない。頭の中で「さっさと、次の新しい作品を作れ」と何者かが呪文のようにささやく。ボーッと何もせず日々を過ごせたならば・・・という憧れがないわけでもないが、何せ根が生真面目というか貧乏性なのか分からぬが「やはり、作らなければー」とプレッシャーがかかる。何も作らないからといって、誰が困るわけでもなければ、迷惑をかけるわけでもないのだ。しかし、何か作っていないと生きている実感が持てないのだから困った性分である。
 春夏秋冬と季節は変わるが、これまた毎年同じことの繰り返しであり、また他の地で暮らしてみるというのであれば、新たな刺激を得ることもできるのであろうが、ランドを始めてしまった手前そうもいかん。新たに作品を作り続けて、身の回りの風景を自らの手で変えていくしかないのだ。



2007年11月3日

 ドライブがてら摩周湖へ行く。弟子屈から摩周へ向う沿道の左手に奇異な物体を発見する。それは、いかにも人工的なグリーンのメッシュでぐるぐる巻きにされた木が数10メートルに渡り林立しているのである。
 雄大な自然の中に、その梱包された木々だけをコンピュータ・グラフィックスを使ってはめ込んだようなSF的でシュールな光景なのだ。こういう物件に出合うと、ボクは飛び上がらんばかりに嬉しくなってくる。今回の奇異な物件も、実はこれからの冬に向けて造園業者が行った単なる雪囲いであったのだが、ウケ狙いの現代美術家連中がこれを見たなら真っ青になるほどのインパクトがある。時どき、工事関係者は、このような突飛なことを平然とやってのける。別に、彼らは「ここはひとつ、芸術的にやってみるだべかぁー」などと考えたうえで作業をしているわけでもあるまいが、こういった物件に出くわすたびに、ボクの目からポロポロとウロコが落ちていく。



シュールな光景
今回発見した奇異なる物件。実はこんなものが身近にあってけっこう驚かされる。やはり物は見ようであり、その感じ方ひとつで日常も楽しくなってくる。



2007年11月19日

 上京し、今日で5日目。秋葉原で人と会う約束があり、原宿駅から電車に乗ろうとして、はたと困った。あいにく、夕方のラッシュアワーである。今まで、この時間帯だけは電車に乗るまいと避けてきたけれど、約束の時間がせまっているのでやむを得ない。案の定、車内はぎゅうぎゅうに詰め込んだ納豆パックというあんばいで、実に40年振りの体験である。
 40年前、東銀座のデザイン会社で使い走りをしていた時のことだ。出勤のため、朝のラッシュアワーに電車に乗ったのだが、その日は知り合いのデザイナーからイラストの仕事をもらい、仕上げた大きな原稿袋を抱えていたのだ。身動きもとれないほどの満員電車の中、原稿が折れないようにと必死に身をよじったり、高く掲げたりするが、各駅ごとに人が押し寄せるように乗り込んでくる。これには堪らず「もはや、これまで!!」と若いボクは切れた。遅刻覚悟で四谷駅で降り、ベンチに座り込んで電車を何本かやり過ごす。切れたついでに「明日から、どんなことがあってもラッシュアワーの電車には乗るまい」と固く決意する。
 それからというもの、使い走りの分際で、出社時間は昼近くになり、やがて午後となる。これでは、ふつう即クビでしょう?ところが、この会社が特殊だったのか黙認され続けたのである。それが―未だに謎ではある。
 やがて、電車は秋葉原に到着し、車内でネバネバと糸を引くほど身近な関係になった納豆たちと別れを告げホームに降り立つ。


天使

天使です。いま住んでいる相生にクリスマスも何もあったものではないが、今年もいよいよ押しせまってきたなぁ・・・と。



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