シゲチャン日誌・2007年1月

2007年1月5日

 昨年の11月に上京したおり、オサムグッズの生みの親である原田治氏から「今、出光美術館で宗達や等伯の絵をやっていて、もう―めったに見られないだろうから絶対行ったほうがいいよ」と、強く勧められたので行ってみた。
 桃山・江戸時代にかけての浮世絵・琳派・文人画・日本陶磁などの名品が展示されており、芭蕉の「ふる池や・・・」もあったので「これが、そうなのか・・・」と軽く驚く。出色は、長谷川等伯の水墨画「竹鶴図屏風」と「松に鴉・柳に白鷺図屏風」で、この作品には思わず息を飲み、その場から動けなくなってしまった。
 題名どおり松・竹・鳥が描かれているのだが、これは一種の抽象画と見た。画面全体に霧が立ち込め・・・しかし、霧は描かれてはいない。描かれてはいないが、ひんやりとした霊的なまでの空気感を五感を通して感じとり、絵の中に迷い込み、気がつくと幽玄の世界にどっぷりと浸ってしまっていた。これぞ、天才の作。まさに神業であろう。等伯の絵は、これまでにも本で見てはいたが、ここまで凄いものだとは知らなかった。やはり、原物を見なきゃ駄目ですね。
 いいものは、時代がどう変わろうが、四百年という時を越えて、見る者の胸に矢を放つ。やっぱり魂だ。魂の入っていないものは、すぐ古くなり、飽きられる。



2007年1月16

 先日、帯広美術館の開館15周年記念展で「感じる!美術する」をテーマに、1回目のシゲチャン工作室があり講師をしてきた。20日にも2回目のシゲチャン工作室があり、ミニシゲチャンランドも展示される。
 帯広滞在中は雲ひとつない快晴が続き、こんな日を帯広の地元民は十勝晴れと呼ぶそうだ。知らなかった。他の道内各地でも、それぞれ呼び名があるのだろうか。空知晴れ。石狩晴れとか?どうなんだろう。
 このように、帯広の住人には独特の価値観と特徴があるようだ。アメリカのテキサス人が「世界中で、テキサスが一番」と自慢するように「北海道で、帯広が一番」というプライドがある。食べ物はうまいし、音楽ではドリカムが出てるし、あ、松山千春も―。スケートその他のスポーツでも世界的な選手を輩出し、小金持ちが多いという。何とも自信に満ちていて、やたら元気なのである。さて、あさっては再びバスと列車に揺られて帯広に出発だ。



記念展の看板
ボクの作品を使った開館15周年記念展の大きな看板が帯広美術展前に立っていたので、ややてれくさかった。



2007年1月27

 大寒を過ぎたというのに、テントウ虫のカメノコテントウは生きていた。テントウ虫はボクの天敵だ。敵を知るには奴らの生態を知らなければと、昨年から一匹捕まえてプラスチックの容器に入れ、作業場でひと冬観察することにした。容器の中では食うものもないし、酸素もそう持つまい。それより、作業場は氷点下の7度まで下がる日もあるので凍死するという可能性もある。いずれにしろ、そう長くは生きてはおれまいと高を括っていた。
 今朝、容器を覗いたらひっくり返って、手足を折りたたむようにして小さくなっている。ところが、ストーブをつけて9度ぐらいまで温まってきたら、手足がゆっくりと動き始めて宙を掻き出すではないか!!「し・し・しぶとい奴!!」。ストーブの近くに連れて行けば、起き上がって凄い勢いで歩き廻る始末。と、いうことは、やはり擬死状態で越冬し、春先に目を覚ますということではないか!!何たる生命力。天敵とはいえ、実にアッパレだ。もう―奴らには敵わん。オレは、一体どうしたらいいのだ。



流木

今回のシゲチャン工作室で使われた流木。これらは学芸員とボランティアの方が大樹町の海岸で集めておいてくれた。



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