シゲチャン日誌・2006年5月

2006年5月3

 それは、数日前の夜8時ごろ、車で美幌から津別へ向かう帰り道でのことであった。ふだんのこの時間であれば、行き交う車もまばらであるが、今日に限ってやたらと車が多いのだ。それも美幌方向ばかりである。津別の住人はパチンコ好きが多い。きっと美幌の町に新しくパチンコ店がオープンしたのであろう。しかし、それにしても車の列は途切れることなく、煌々とヘッドライトを点した車は数珠つなぎとなって続々と続き、まるでディズニーランドの光のパレードのごとくである。
 津別の「セッション」で晩ご飯を食べようと、ドアーを開けたところ、喪服姿で食事をしている数グループが・・・。これで、先ほどまでの謎が一気に氷解する。何でも、今晩津別で葬式が2つ重なったというのだ。先ほどの光のパレードは葬式帰りの車の列に出くわしたというわけである。
 自慢にもならないが、津別が車で溢れかえるのは葬式の時だけとは限らない。全国的な過疎化の波は津別町も例外ではなく、いつ町中を通っても閑散として眠ったような町並であるが、昼時の12時となれば、ちょっと違うのだ。町は急変する。12時を告げるサイレンがけたたましく鳴ったと同時に、各職場からはじき出されたかのように車という車が町に溢れ出て、それはもうハチの巣をつついたような騒ぎとなるのだ。実は、家に帰って昼食をとるためなのだが、一体どこにこれだけの車が潜んでいたのかと目を疑うほどである。その騒ぎも、数十分後には、何事もなかったかのように静まりかえり、空き缶が転がれば町中に響き渡るほどの静寂に包まれるのだ。
 昼の12時に津別の中心街へ行くと、この白日夢のような光景が見られる。


第54回のこの日誌上で紹介した新種の恐竜。入れ歯とはいえ初めて我が身の一部を作品に移植。



2006年5月18

 北見の町をココ(カミさん)と歩いていると、ランドセル姿の子供たちが、我々を足早に追い抜いて行ったと思ったら、急に振り向き、ボクの顔をジロジロと見て通りすぎて行く。そして、またも男の子が駆け寄ってきて振り返る。「何だ?…」。突然イタズラ心がムラムラ湧き、両手を広げて「ガオーッ!!」と吠えてやったら、その男の子は目をまん丸にひんむいて小走りで信号を渡っていった。
 「変な日だな・・・今日は」とつぶやけば、「シゲのチョンマゲ姿が気になるんじゃあないの・・・」とココがいう。「そんなものかね?・・・」と釈然としない気持ちで入ったある店内でも、小さな女の子がボクをくい入るような目で見て身じろぎもしない。そのあと、火が付いたように泣き出した。このチョンマゲ姿の髪型にしてからというもの、子供の視線がハエのようにうるさい。


体長140センチほどで今春からヘッドハウスに展示している新作。新参者で身体の線が細いわりには、態度が大きく、すでに古顔の風格。



2006年5月29日

 いまランドはタンポポが咲き乱れ、建物の赤と相まって極楽浄土の世界である。これは東藻琴の芝桜にも負けてはいない。この咲きほこるタンポポを見て、お客さんが「まあーキレイ・・・」と感激し、喜んでくれる。が、ココとボクの心中は複雑だ。他人の庭の花と草は、はたから見ればいくら延びようが咲き乱れようが美しいものである。このタンポポが伸びきって、枯れたあとの始末が大変なのだ。お客さんに喜んでもらった頃合いを見て、こまめに刈り取る。ココは、草刈りをするたびに、「この広いランドの土地は、草刈りするために買ったようなものだ」と嘆くのである。



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