シゲチャン日誌・2004年5月

2004年5月2日

今日ランドに来てくれたお爺さんに質問される。「ここは、どれくらい時間かけて作ったの?」。「4年かかりました」とボク。さらに「クギの補助はあったの?」ときた。「エッ!クギの補助ですか?…、自費です」と答えて、その場から去ったのだが…、どうも質問された意味が腑に落ちない。確かに、13棟もの建物であるから相当な量のクギを使った。しかし、クギに対して補助が出るなんて話は聞いたこともない。妙なことを言う人もいるものだと思いながらも、ずっと気になってしょうがない。
しばらく考え込んでから、ハタ!!と気がついた。あのお爺さんは入れ歯だったのかもしれん。それで、発音が訛って「クニをクギ」とボクには聞こえてしまったのではないか。ナルホド、釘の補助じゃなく、国の補助ということならば納得できる。久し振りに頭をフル回転させてしまったので今日はずいぶんと疲れてしまった。


特大サイズの怪鳥

休日と客の合い間を使って完成した。ランドの会長さん。いや、ランドの怪鳥。



2004年5月8日

数日前からランドのアイハウス内を、スズメのつがいが飛びまわっている。どうやら巣作りの準備をしようとしているらしい。巣を作るのはかまわないのだけれども、ヒナがかえって、舞台の上や作品に白いフンを捲き散らす。これが、困るのだ。
スズメたちは、決して行儀正しく正面のドアから出入りすることはなく、軒下の小さなスキ間を見つけては出入りを繰り返している。つまり、ボクのアイハウス工事がいかに不完全であったのかが、スズメの出入りによって証明されてしまったわけである。ハイ、スイマセン。


2004年5月12日

網走の北方民族博物館で開催されている「カナダからやって来たイヌイットの壁掛展」に行く。イヌイットとは、カナダ最北端に住む先住民のことである。
ダッフル地にフェルトを使ってイヌイットの生活、動物などを刺繍した実に素朴で味わいのある作品ばかりで、おそらく大半の作家は美術学校で特別な教育など受けたこともない人々のように思われる。稚拙であるけれど、人の動き、動物の表情など実に生き生きとしていて、切り抜いたフェルトを丹念に、そして祈るように、一刺し一刺し縫い付けている。「たまりませんね!」最近こういうものを見ると、どうしようもなくシビレてしまう。「さあ!どうだっ!!」とばかり技を見せつけようとするものは、見ているこっちが恥ずかしくなってくるのだ。
展示作品の中でも、ひときわ新鮮でショックを受けた作品があった。それは、二人の狩りをする男と白クマが描かれていて、画面全体が氷原の白、ほんのポイントにグレーと淡いブルーを使った作品である。極寒の地で暮らす者だけが知り、手に入れることができる色彩感覚。これには、思わず唸り、壁からはずして持ち帰ろうかと思ったほどだ。
どうやらボクは、日々の暮らし、営みを賛歌する行為よりも、それらを表現した人、された作品そのものの方に、グーンと引き付けられてしまうようである。そりゃー、暮らしは暮らしだもの、そんなに楽しいものじゃーない。

フジの花

昨年、立ち枯れ寸前のふじ棚を、ココ(カミさん)が枝払いしたところ。
今年は怪しいばかりに乱れ咲く。




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