シゲチャン日誌・2003年5月

2003年5月1日

外はみぞれ混じりの雨が降っている。
居間に面した道を、見慣れない小動物が、おぼつかない足どりで渡ってくる。サル???。庭にある松の木に登りはじめたので、双眼鏡で見てみると、モモンガであった。夜行性のはずであるが、こんな真っ昼間にどうしたというのであろう。全身がズブ濡れで、何ともあわれな姿である。10メートルほど登ると枝に移って松の新芽を食べはじめた。腹が減って日中でさえ食べる物を探し回っていたのか・・・。
しばらくして、このあたりをテリトリーとしているカラス2羽が飛んできて、モモンガを襲う。モモンガは日中、視力が低下するのだろう、重ねて全身ズブ濡れでは、思うように飛行態勢もとれず、情けなくも、真っ逆さまに落下し、地上に激突する。落ちたモモンガを再びカラスが襲う。このありさまを見ていたココ(カミさん)は、あわててコートを羽織るや、一目散に外へ飛びだし、「コラーッ!!」と雄叫びをあげて、見えなくなるまでカラスを追っぱらい続けたのは、いうまでもない。


2003年5月6日

動物の話が続く。このあたりは人の数よりも動物の数のほうが、はるかに多いのだ。
朝、台所から100メートル先にある牧草地を黒いカタマリが、ゆっくりと踊るように走り抜けていく。鼻先がツンととんがっている。熊だ。相生に住むようになって7年目にして、念願の「生グマ」を見ることができたのだ。今まで、詰め物のハク製グマやフンを道端で見たことがあるが。アナタ、野を走る生グマですよ。ココは歓喜のあまり、流れる涙をぬぐおうともせず、打ち込まれた杭のように立ちつくしている。
春霞む緑の牧草地を、朝日を浴びながらリズミカルにクマが走る。その重量級の躍動感は圧倒的に美しい。

骨の作品1

どうですか・・・。ボーンハウスでの出番を待つ、気骨のある4人組のあで姿。
他に大小45点ほど完成している。


2003年5月16日

室内で撮影した骨の作品のポジ選びをする。白と黒バックの布に骨を置いて撮影したのだが、これが難しいのだ。ボクが使っているアナログのマニュアルカメラの場合は、露出計を使って光を測り、その示した数値でシャッターを切るのだが、露出計どおりにすると、明るすぎたり、暗すぎたりとなかなか狙いどおりにはいかない。いったい、何のための露出計なのだと思うのだが、まあ、一応の目安ということで失敗を繰り返しながら覚えていくしかない。
ポジがあがってくるまでというものは、あの絞りで良かったのか、ライティングはどうっだったのだろうかと、思い出しては2、3日落ち着かない日を過ごす。この時の心境というものは、一方的にラブレターを送ってしまった後にも似て、返事は来るか?思いは届いたか?などと、あらゆる雑念がウズ巻いてモンモンとする、あんな感じだ。そう、マニュアルカメラでの撮影というものは、恋と同じなのですよ。恋。しかしながら、この自虐的ともいえるポジがあがってくるまでの待ち時間が楽しいのだから、しょうがない。

骨の作品2

シカのアゴと背骨の一部を組み合わせた作品。かなり、メンコイと思う。


2003年5月24日

大工の高橋さんと、ヒョウタン野郎を展示するイヤーハウス(耳の館)と骨の作品を展示するボーンハウス(骨の館)の打ち合わせをする。この2棟が加われば、ランド全体の作品のボリュームといい、バラエティさといい、グーンと厚みを増すだろう。自画自賛となるが、こんな空間は日本中を見渡しても、そうあるものでないと思う。
7月後半には完成の予定だ。


LAND TOP