シゲチャン日誌・2003年12月

2003年12月2日

小包を注意深く開けていく。中にはアメリカ製の「コダック・シグネット」が一台、中国製の「ホルガ」が二台、ロシア製の「ロモ」が一台、国籍不明のちっともシビアじゃない「シビック」が二台。と、計六台のカメラが入っている。
これらは、11月に上京したおりに、東京中のカメラ屋をかけずり回って買ったもので、手持ちで帰るのも大変なので、小包で家の方へ送っておいたのだ。いっきにカメラ六台という数が多いものか、少ないものなのかは、ボクには分からない。財布の中身と使用目的をハカリにかけながら、濡れたバスタオルを両手で絞り切るように熟考の上に熟考を重ねあげた上での結果である。
一個、一個荷物をほどいてカメラケースに納めてみれば、日本・中国・ソ連・アメリカ・国籍不明とかなり賑やかである。つまり、ボクのカメラケースの中にも、グローバル化の波というやつが、ひたひたと押し寄せてきているということだ。

写真店の看板

根室から2度ほど車でランドにきてくれて、依頼を受けていた看板が完成。写真スタジオの入り口に飾られる。


2003年12月11日

先日、例年より遅い初雪が降り、一面の雪景色となる。これが根雪となるかもしれない。この山深い相生の集落に越してきた当時、津別町に住む高校時代の同級生や知り合いたちから「相生は、寒いっしょ! なんであんなところに住むの?!」と口々に言われたものだ。確かに街から比べてみるると2、3度気温が低いけれども、氷点下になってしまえば、それほどの違いがあるとは思えない。
道産子は極端に寒がりで暑がりの人が多いと思う。室内が少しでも冷え込んでくると、「許せぇ〜ん!!」とばかりストーブの温度をガンガン上げていく。ボクから見ていると、家が燃えてしまうのではないか? そのうち機関車のように煙突から煙を吹き上げて、家が走り出してしまうのではないかと、いらぬ心配をしてしまう。

2003年12月27日

また、カメラの話になって申しわけない。中国製の「ホルガ」特有の劣悪な写りにシビレてしまい、がぜん35ミリの小型カメラで「ホルガ」なみのものが欲しくなってきた。で、11月に上京したおりに探し回ったのだけれど、見つけることはできなかった。まあ、遠くて近いものといえば、カビだらけの中古レンズぐらいのものか。カビを、探し回っていたわけではないのだ。いま時の安い使い捨てカメラといえども、もー立派に写るのである。
どうやらボクが求めているものは時代と逆行しているらしい。技術の進歩(?)というものは、性能向上主義という一本道しか突き進まないようである。ピンボケ・あいまい・味わい深さというもの全てを抹殺し、かなぐり捨てていく。これがボクにはツマラナイ。面白くないのだ。

ノーズハウスの住人

ランド内ノーズハウスに展示されている作品。ボディは釣針に似ている。2本のキバがチャーミング。


2003年12月31日
今日は大晦日。昼まえから太陽が顔を出し、家の回りの森は柔らかな日射しを浴びて、穏やかな昼さがりである。 動くものといえば、雲と、マヒワ・シメ・アカゲラなどの小鳥たち。作業場の中は、アメリカン・インディアンのフルートの曲が流れ、時はゆっくり、ゆっくりと流れていく。明日は相生に暮らすようになって、8度目の正月を迎える。


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