シゲチャン日誌・2002年12月

2002年12月6日

先日上京したおりにSさんと再会し、食事をしながら酒を飲む。このSさんが教えてくれた岐阜の純米酒「三千盛」(みちさかり)は今や晩酌の定番となっている。それはいいのだが、酒を酌み交わす中でSさんの口から、実にいい話がでてきて盛り上がる。
それは、ある日仕事から帰ってきてテレビのスイッチを入れたところ、高齢で名のある陶芸家が、車椅子に座り、幼稚園児を相手に絵を画く手ほどきをしているところであった。園児を前に「絵を画く時はね、よぉーく見て、よぉーく見て。大ーきく、大ーきく。ゴシ・ゴシッ!!と画くんだよ」と話していたというのだ。「コレ!ダヨネ!!」
簡潔で大きくて、いい言葉を放つ、なんと可愛い人なんだろう。嬉しくなって胸が熱くなってくる。「よぉーく見て、大ーきく、大きく。ゴシ・ゴシ!!」が帰ってきた今でも頭の中で、鐘のように鳴り響いている。


カビジィ

カニとエビが合体したので「カビジィ」と命名。
足が弱くなってきたので杖が一番の友。



2002年12月12日

寒さに対する反応は人さまざまである。ココ(カミさん)が10月末に東京の実家に帰った時のことだ。九州に住む兄。東京に住む姉。北海道に住むココの三人が集まった。きれいに北・中・南のコマが揃ったわけである。
姉さんが「寒くなってきたわね」といって石油ストーブに火を入れたのだが・・・ここで三者三様の歴然とした反応の違いがでる。姉さんはセーター姿。ココはTシャツ一枚となり、兄さんといえば厚手のトレーナー姿であるが、毛布を引っぱり出してヒザに掛けるという行動とあいなった。住むところによっては、これほど違いがでるものなのだ。
北海道人と九州人が連れだって、旅行に行く時などは、よほど入念に季節と行く先を調べあげて選ばなければならない。いかに熱愛中のカップルといえども、旅先で互いの関係にヒビが入るのは必至であろう。




2002年12月17日

最近ひんぱんに「異常」という言葉を耳にする。異常発生。異常気象。異常な失業率・・・などなど異常づくめである。
バブルがはじけて以来の経済不況・環境問題からくる先の見えない不透明感や不安感と、次々に起こる異例の出来事をからみ合わせ、ゴチャ混ぜにして「異常」という言葉が人々の中に沈殿してしまっているようだ。「すべて、今の世の中は異常だよ。悪いことばっかりさ」といって自分の中に無力感を飼いならして、あぐらをかいている。ウ、ウンザリする。
確かにさまざまな危機感があるだろうが、ボクは脳天気なので、有史以来の長いサイクルから見れば「まぁ・・・そんなこともあるだろう・・・」というところで止めておきたいものだ。


ヘッドハウス内のオブジェ

ランド内、ヘッドハウスに展示されているオブジェたち。

神聖な中にも笑いのある極楽世界が展開されている。



2002年12月26日

作業場を整理していると、拾い集めた流木の中で使えそうもないものがあり、このさい思い切って燃やすことにする。長年暮らした東京のマンション住いであれば、丸めた紙屑を流し台で燃やしたぐらいであるが。作業場の空地に小山と積み上げた木屑に火をつければ、またたく間に炎が背丈ほどまで立ち上り、日没の早まった暗闇からタモの森が浮かび上がる。ユラ・ユラと怪しく燃える炎は生き物のようで、眠っている何かを燻り出す力があるようで、しばし、動けずに見とれる。

LAND TOP