2001年9月2日

極楽美術館「シゲチャンランド」をオープンさせてから早いもので2ヶ月が過ぎた。オープンするまでの4年間というものは、右手にのこぎり左手にペンキと、ランド作りに集中して作業を続けてきたのだが、いざ、オープンし、チケット売り場の椅子に腰をかけた、その瞬間から何とも気が抜けてしまった。いわゆる虚脱状態というやつだ。
まあ、10年前からひそかに準備をしつづけてきて、とりあえずの完成を見たのだからだろうが、やはり常に何かを作り続けていなければ、生きている実感がしないという妙な虫が僕の体内に住みついているようだ。とにかくクローズする10月31日までは、この脱力感としばらくは付き合って新たなリズムを作っていくしかない。

2001年9月7日

ランドにはさまざまな人々が訪れてくれる。特に驚いたのがバイクで民宿を泊まり歩く若者たちだ。彼ら独自の嗅覚と好奇心と行動力で、観光ルートからはずれた彼らなりの名所というものをいち早く見つけて、ブレイクする前に心ゆくまで楽しみ、味わい。そして行く先々の民宿でクチコミでクモの巣状に張りめぐらせて渡り歩く。
人が人を呼び、大雨の中でも排気音をととどかせてやってくる。中には三日連続でやってくる人も何人かいる。と、ここまで書いているところで、また一台のバイクが入ってきた。
この火付け役はハーレーのスポーツタイプでやってきた東京在住の青木君という物静かな青年である。彼のおかげで思いもよらなかった早さでシゲチャンランドの存在が広がり、そして熱狂的ともいえるファンが確実に増え続けている。青木君には感謝するしかない。

Right & Left House
なの?
ココナツでできているなのなの族
Right & Left House の入口


2001年9月19日

草の延び具合も夏から較べて急に失速し、クルミの木も黄色く色づきはじめた。いよいよ「秋だよ」と知らせている。不思議なくらい今日はお客さんがこない。久し振りの快晴に誘われて山や湖へと秋を探しにでも出かけているのだろう。
たまにはお客さんのいないランドもいいもので、昼の弁当を落ち着いて食べることができる。椅子に深々と腰をかけて雲の流れを見るともなしに追いかける。時おりアカゲラとオオジシギの鳴き声が山々に木霊し、頭の中でも木霊して、催眠術にでもかかったかのように身体の力が抜けていく。お天道さまとここちよい秋風にしばし身をまかせていると、つい口をついてしまったのが、ああ、極楽。極楽。

2001年9月22日

4ヶ月ほどの間に赤紫色の花を咲かせたアメリカオニアザミも白い綿毛となり、落花生部隊のように飛びかっている。新たな生命の種子を大事そうに白い綿毛でくるみ、次なる環境を求め、引越しか、旅でもするかのように風に乗る。たくましい、自由なる白い旅人。

LAND TOP