2001年10月11日

大雨の中を恩根小学校の児童10名と先生たちがシゲチャンランドにきてくれる。マイクロバスから降り立った児童はそれぞれに国語の教科書を小脇に抱えている。実は一年生から六年生までの目次に僕の作品が掲載されていて、実物を児童の目で確かめ、制作者の話を聞くというのが見学の目的ということである。
僕が「さぁ〜て、どこにあるのか、わかるかな?」とのんきな声をあげてヘッドハウスのドアーを開けるやいなや、膨大な作品群の中からあっという間に捜し出し、あちらこちらで歓声をあげて教科書と見比べている。あまりの早さに僕は呆気にとられてしまった。あなどれないものです。子供たちの眼力というものは。
とりあえずの目的を果たした児童たちは我先にと小走りに各展示館に吸い込まれるように散りじりに見回りだし、各展示館からは悲鳴にも近い歓声が響きわたっている。制作者としては、もう少しじっくり見て欲しいというのが本音なのだが。まぁ、考えてみれば「うむ!うむ!」とつぶやきながら作品と対峙する子供たちの姿というのも不気味なものがあるかもしれない。子供というものは、落ち着きがないように見えて、瞬間に物を見抜く力を持っているものだ。凄いよ君達は。

Head House
見ているだけでこころが和んでしまう
作品たちがあなたをお待ちしています。
Works
ヘッドハウスの入口。
欲しい!という人が現れたほどの扉にご注目。

2001年10月23日

きのう、津別町に住むオフクロから「大根、カブ、キャベツができたから取りにおいで」と電話があり、ココ(カミさん)と一緒に軽トラックで受け取りにいく。
東京から引っ越してきてこの5年というものは毎年10月後半に入ると、オフクロのもとへ野菜を貰いにいくというのが恒例となっている。小さなオフクロと反比例して収穫された野菜のデカイことデカイこと。特にキャベツを初めて見た時はびっくりしてしまった。直径50センチはあろうか?ココは座ブトンキャベツと呼んでいる。
今年82才になるオフクロが曲がった腰をなおさら曲げて、うれしそうにキャベツを抱え込むと顔とゴム長靴しか見えなくなり、まるでキャベツが歩いているようだ。それくらいデカイ。手間隙かけて育てた野菜をオフクロから貰い、そして食べさせてもらうという、こんななんでもないやりとりが近頃とても貴重な時間なのだと思えてしかたがない。

2001年10月31日

今日はランドの最終日、明日から冬期休館に入る。友人や、オープンしてから顔なじみになった人々などが大勢かけつけてくれた。来春の5月1日までの見納めということで、それぞれお気に入りの作品を脳裏に焼きつけるように丹念に見てくれる。ランドを好きになってくれている人が、こんなにも居てくれたのだということを知り、オープンして本当に良かったと思う。ありがたいものである。
明日からの半年間は念願の作品づくりに集中できるのだ。パドックに入った競走馬のごとく鼻息が荒くなる気持ちを抑えて、抑えて、一息入れて、静かに狂いたいものである。

LAND TOP