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「ルークじゃねーよ!仮面の新人騎士だ!」
お手製らしい謎の仮面をかぶった目の前の男は、そう言って胸を張った。
「・・・」
ロディの視線がちらりと向けられた。つっこんでやれ、という目。
(私!?こういうのはロディの役目でしょ・・・)
はそっと目を逸らしたが、その目がカタリナと合ってしまう。
カタリナはにっこり笑ってライアンの肩をぽんぽんと叩いたので、ライアンは慌ててふるふると、一生懸命首を横に振った。
仲間たちの一連の動きを見て、セシルが立ち上がる。
多分あの仮面、作りが甘いのだ。
視界がきっちり広がっていないらしい。急に静かになった部屋を気にしてか、彼は少しおろおろしているように見える。
そんなルークの後ろに回り込んで。
セシルは力いっぱい、彼の背中を平手で殴った。
それはそれは良い音が、響き渡る。
「いってええええっ!?」
思わずしゃがみこむルークの後ろから、セシルが快活に笑う。
「しょうもないこと言ってないで、さっさとそれ外しなさいよ」
「・・・お前、また力強くなったよな・・・オレもう絶対かなわねー・・・」
そう言いながらあっさりと仮面を外した彼は、泣きそうな顔で背中をさすった。
久しぶりに見るその顔に、ライアンが満面の笑みを浮かべて、カタリナが目尻を拭う。
「もうっ、カタリナったら泣かないの!」
「セシルさんが泣くからうつったんです」
「あ・・・あたしは泣いてなんかないわよ!」
やっぱり、この絆は特別。
ロディは二人の様子に静かに微笑んで、それからを促した。
未だ涙目なルークの前に回り込んで、顔を覗きこむ。
それなりに驚いたらしく、彼は少し目を見開いてその顔を上げた。
「おかえりなさい、ルーク」
きちんと正面から、目を見て笑顔でそう告げる。約束を守ってくれてありがとう、と気持ちを込めて。
ルークは底抜けに明るい極上の笑顔で、にっと笑った。
「おうっ!ただいま!」
これからもずっと、この絆は特別。
ここに6人がまた揃ったことが、何よりも嬉しくて。
ただ一つだけ残念なことがあるとすれば、それはここがセシルの部屋では無いことぐらい。
結局片付かなかったわね、と、とロディはその変わらぬ惨状を思い返して笑い続けた。